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by MCAP-CR
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政局化してしまった豊洲市場

歴史を築いてきた築地市場が無くなるのは寂しいですが、老朽化が激しく既に役割を終えてしまったと思います。
そこで移転は已む無いことでしょう。
豊洲がベストだったかどうかはわかりませんが、既に出来てしまったものをいまさら引き伸ばすのは、正しい手法とは思えません。
ここに来て、科学的に間違ったアプローチが明確になって来ました。

溜まったものを処理して捨てるだけの地下水の水質をモニターするのは必要なことですが、モニターすべきなのは、処理前後の水質で、重要なのは処理後の水質です。
それが、あたかも処理前の水質が飲料水レベルでなければ衛生上の問題が発生するかのような報道が為されています。
これは、報道各社が馬鹿であるのと、政局化を悪巧みしているとの両方の要素があり、悪質なので、排除してゆくべき話です。
知事側も、報道を利用している感があり、正しい手法をとっているとは思えません。
元々、豊洲の地下水は、飲料水レベルに近い品質なのですが、基準値を超えたとか何とか騒ぐことが手段となり政局化されてしまいました。

そこに来て今回明確になったのは、水質検査が科学的に正しい手法をとっていなかったということです。
報道がどの程度正確なのかは不明ですが、新しい分析の結果は、溜まっていた地下水を分析したということです。
それ以前は、溜まっていた地下水を除去して、新しく湧いてきた水を分析していたそうです。
溜まっていた水は、元が地下水であっても、そこに、新たな物質が加わるので、それを分析しても地下水を分析したことにはなりません。
全然違う結果が出るのは当然のことです。
ベンゼンが79倍検出されたとか、何か違うことをやっているとは思っていましたが、これほどお粗末とは思っていませんでした。
しかし、元々都が実施していた分析も完全ではありません。

試験所の能力に関する国際規格は、ISO 17025です。
IS17025に適合している試験所の分析結果は、世界中で、正しい分析結果として主張することができます。
ところが、都が選定していた試験所は、ISO17025認定の試験所ではありませんでした。
ISO17025の要求事項を大雑把に表現すると、国際基準に対してトレーサビリティーがあるということなのですが、トレーサビリティーについて、ちゃんと理解している人はほとんどいないと思います。
トレーサビリティーの要件はトレーサブルと認められた手順で実施していることなのですが、その要件は、重要なのは概ね次の通りです。
  1. 国際基準(国家基準は国際基準にトレーサブルとされます)にトレーサブルな基準器を使用していること。
  2. 試験、検査、検証手順が正当なものであると認められること。たとえば、JISxxxxに準拠している等です。ただし、JISxxxxやISOxxxのような標準書は、規範を示しているだけで、そのまま実施することができないので、不完全な部分を補筆したり、実施可能な手順に書き直すことが必要です。
  3. 手順書に従って教育された作業者が作業していること。
  4. 結果の不確かさが数値として算定されていること。
この他にも、クレーム対応の手順書や記録システムがあるとか、最新の手順書を保持しているとか、いろいろな要求がありますが、特に重要なのは、上記の4点と思います。
トレーサビリティーについては、上記の1だけが要件と理解している人が多いですが、実際には、少なくとも2〜4がなければ、ISO17025認定のラボとはなりません。
今回の都の例を見ると、都の担当者は、全く理解していないので、必要な技術基準に対する欠格者であったと考えられます。
また、試験所側も、サンプル採取法に対して正しく助言していなかったと疑われ、ISO17025認定試験所であれば処分を受けるレベルです。

ちなみに、試験所にお墨付きを与えるISO17025の認定機関は、かなりの数があり、日本国内でも、IA Japan(産総研)やJAB(民間)等があります。
また、米国では、NVLAP(NISTの一部)やA2LA(民間)等があります。
ISO17025準拠は、試験所が自分で名乗ることも認められていますが、これら認定機関が認定した場合には、その機関のロゴ付きの検証報告書が発行されます。
ただし、認定には認定される範囲が明示されているので、そこから外れた試験には、ロゴを付けることができないとか、一歩踏み誤ると認定取り消しになるので、認定試験所はそれだけ維持が大変だということです。

政局化のために、正しい手続きを無視するってどうなのよ、ということです。
ますますマスコミ不信、政治不信が続くな、と思います。


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Commented by kaneya at 2017-03-05 22:43 x
まあ、政治は人間のやることですからね。

小池都知事の父は石原元都知事の後援会だったのに、小池都知事の父が選挙に立ったとき、石原さんからあまり選挙応援をしてもらえなかったらしいです。

そんなこともあり、小池都知事は豊洲問題で仮想敵の一人に石原元知事を選んだ可能性があると思ってます。

検査方法の違いが出たのは、豊洲を進めたい今までの都知事と都政の関係者が進めた検査と、豊洲問題で仮想敵に打撃を与えたい小池都知事の検査という面が何か関係していそうな気がします。
Commented by mcap-cr at 2017-03-06 21:35
kaneyaさん
コメント有難う御座います。
政治は関係ない人からみれば難しい人間関係があるのでしょうが、科学的なことはしっかり対応して頂きたいなと思っております。
このままでは知事も信任を失いかねないと危惧しています。
by mcap-cr | 2017-03-05 10:01 | 科学 | Trackback | Comments(2)