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工学オーディオに取組むオカルト嫌いです。


by MCAP-CR
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カテゴリ:科学( 22 )

放送大学

衆議院選の結果、とりあえず与党が勝ち、政権が覆る心配はなくなりました。
マスコミは、与党圧勝とか言っていますが、私には、希望の党と立憲民主党で100議席を超えているのが驚きです。
私には、まだテレビや新聞しか情報がない人が多いなあ、という印象でした。
テレビや新聞しか情報源がないという情報弱者が減っていけば、いくつかの野党は晴れて壊滅するだろうと思います。
マスコミフィルターのかからない情報共有が進んで、邪魔しかしない野党が自然淘汰されればいい良い世の中になってゆくでしょう。

さて、自分は放送大学の卒業生ではありませんが、以前、たまたま何回か報道大学の講義の番組を見たことがあります。
放送大学は、たぶん、名前しか知らない人がほとんどだと思いますが、なかなか素晴らしい講義をしているところです。
ということを下記のニュースを読んで思い出しました。

大爆笑に包まれたあの「事件」思い出す人も ネットで超有名だった群馬大学教授が解雇


どうやら、放送大学をバカにした教授の話がお笑いだったようですが、教授職にあっても無知な人は無知なんだと思います。


上に書いた、私が見た放送大学の講義は、制御工学でした。

もう20年近く前のことだと思います。


私は、制御工学の講義を正式に受けたことがありません。

制御工学の教科書類を読むと、ラプラス変換を使った伝達関数表現とか、状態方程式とかが説明されているのですが、多変数制御については、あまり触れられていません。

学生に多変数制御の講義をしてもわかる人が多くないのだと思います。

大学の教養課程で解析学というのを教わる場合が多いと思いますが、そこで、ヤコビアンという行列を教わります(今はどうかわかりませんが)。

ヤコビアンは多変数制御で用いられて、多変数の関係式のゲインを行列で表現したものです。

放送大学で、こんなことを説明していました。

ちょっとだけ補足すると、入力変数が3、出力変数が3(3入力3出力)の場合、入出力変数の関係は一般的に、次式のように表されます。

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ここで、ヤコビアンは、次式のようになります。
a0246407_07593252.png
ヤコビアンは、各出力変数に対する、各入力変数の影響を表す偏微分係数を並べたものです。

単純な、入出力が線型の関係であれば、ヤコビアンの各要素は定数となり、これがゲインマトリックスとなります。

入出力の関係が非線形であれば、ゲインは一定にはなりませんが、ヤコビアンは、函数としてのゲイン行列となります。

実際には、時間的に変化する過渡特性の表現が必要で、それもモデル化しないと多変数制御モデルは作れませんが、そのために必要なのがヤコビアンです。

こういう内容の講義を普通の大学てやっているかどうかは分かりませんが、放送大学ではちゃんとやっていました。


知っている人には当たり前のことなのでしょうが、解析学でヤコビアンを教わっても何に使うのか分からないと価値がありません。

多変数制御なんてごく僅かな人しか携わっていないでしょうが、制御を専門にする人なら知っていても悪くないと思います。


おそらく、大学卒業者の中でも上記のことを知っている人はすくないと思います。
例の教授は、そういうことを知らずに放送大学をバカにしてしまいました。

知らないからこそ、放送大学を馬鹿にするようことができたのでしょうね。






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by mcap-cr | 2017-10-24 00:00 | 科学 | Trackback | Comments(0)

数学と物理学

いま、私がウェブで受講して入るイタリア語の講座は、政治や社会問題から物理化学までいろいろな分野の単語を覚えられるよう教材が選ばれているのですが、数学と物理の練習に興味深い例文が出てきたので、書いておきたいと思います。

イタリア語:La materria è il materiale di cui siamo fatti.
英語:Matter is the stuff we are made of.
"matter"は、我々を構成するものである。
という意味なのですが、果たしてmatterとは何かよくわかりません。
そこでWeblioで調べると、以下の説明が出ています。

質量を伴う物;事柄
質量を伴う物から内容を伴う事柄に意味展開するが,現在では事柄の意のほうが中心

ものすごくわかりにくい概念ですが、確かに、肉体は質量を伴うもので構成されています。
ちょっと勉強になりました。

こんな文って、電流と電圧を区別できないア○ヒ新聞の科学記者とか、弾道ミサイルの飛ぶ範囲をメルカトル図法の地図に円で書いてしまうような番組制作スタッフは、#%®§&©÷¦ǼɮɱѬ...となってしまうでしょう。
そもそも、この例文をイタリア人やアメリカ人に読ませたらどうなのでしょう?

ちょっと怪しい例文も出てきます。

La forza del calore o del movimento si chiama energia.
カロリーまたは運動の力(?)をエネルギと呼ぶ(???)
英文のほうも記録していたつもりだったのですが、The powerの後ろをイタリア語のまま書いてしまっていて気付かず、正確な英語記述ができませんでした...

forzaをwordreference.comで調べてみると、以下のような訳が付いています。
strength, energy, intensity, momentum, force....
これって物理的意味を理解することなく、何となく使っている言葉みたいです。
電流と電圧の区別ができないというのと似てるなあ。
strength 強度:いろいろな定義がある
energy エネルギ:物理的には仕事や熱量のことで、単位にはジュール(J)=(N-m)を使う
intensity 集中度:いろいろな定義がある
momentum 運動量:いわゆる ft=mv (運動量保存の法則)というものですね。単位は(N-s)
force 力:単位はニュートン(N)で、kg-m/s2という単位です

物理学の最低限度の基本は次元です。
次元を元に単位が付けられます。
次元の違う物理量を同じ言葉で表すのは、間違いの元なので、高校のときに物理の授業でさんざん教わると思います。

例文を読んでいると、大人に対しても教育が必要なのだな...と思います。
試験に受からないと被選挙権や選挙権を取り上げるシステムにしたらどうなってしまうのでしょうか?


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by mcap-cr | 2017-08-27 00:00 | 科学 | Trackback | Comments(2)

どう計算するか

今年の東京音楽コンクールの予定を忘れてしまい二次予選は聴けませんでした!
残念です。
今年は声楽がないので残念な年でもあったのですが、馬鹿でした。
次の日曜のピアノの本選には行きたいと思います。


さて...全然関係ないはなしです。

ダブルバスレフの共振周波数の公式とか、計算式はいろいろありますが、私が重視する計算方法は、手計算です。
紙に書いて筆算して値を求めることが多いです。
電卓も持っていますが、手元には置いていないので、滅多に使うことはありません。
ボケ防止という目的もありますが、それだけではありません。

手計算すると、単位を間違えたり、桁を間違えたりとか、そういうことがないよう念入りに確認する必要があります。
電卓で計算してしまうと、キーをひとつ押し忘れても気付かないし、単位を間違って、桁違いの間違いをしても気付かないことが多くあります。

私の場合、計算にLibreOffice Calcも使いますが、結果に疑問を感じたときには、最後の確認には、筆算します。
当然計算精度は劣りますが、計算の方向性が間違っているかどうか、原始的に確認できます。

生物としての人間の根本的な問題として、インフラのない無人島に漂流してしまったりしたら、手計算しかできません。
頑張れば計算尺とかも作れるでしょうが、手計算より大変だと思います。
紙と鉛筆がなくても、地面に書いたりできるので、手計算が命を救うこともあるんだろうと思います。

手計算できるので、プログラム計算も信じられるのだろうと思っています。
ですから、プログラム計算しても、そのままでは信じないで、結果がもっともらしいかどうかを見ています。

似たような条件で計算して、結果が大きく違わないか
同じ条件で順番を入れ替えても結果が同じか
分割の仕方を変えても大きな差はないか
....

さすがに市販されているようなソフトではこういうことで結果がおかしい、とか発覚することはありませんが、そんなに数多く出回っていないソフトではときどきこういう計算でバグが見つかったりします。
大学の研究室とかで使っている手作りも計算プログラムも同様でしょう。

科学に相対すると、最後は、原始的な計算で矛盾のないことを確かめる必要があるのだろうと思います。


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by mcap-cr | 2017-08-23 00:00 | 科学 | Trackback | Comments(0)
下記は、私のメインのウェブサイトです。
多自由度バスレフ研究所 Project MCAP-CR
大業な名称を付けたのは、多自由度バスレフについて力学的研究をしているメーカーがあるとは思えないからです。
メーカーがやらないなら自分でやってやるぞ、という決意を込めて、上記の名称に変更しました。
中には、バスレフの多自由度化手法と運動方程式モデル、モデルの解法、ソフトウェア(取説とソースコード付き)を含め、他のサイトには書いていない内容をまとめています。
メインのサイトのほうを読まれた方は多くないと思いますが、興味を持った方は是非ともじっくりと読んで頂けますと嬉しいです。
大学で教わる内容を中心に構成していますので、特に、理工系の学生さんには、役立つ内容が多いと思います。
なぜ改めてこんなことを書いているかというと、バスレフについて、原理的な説明はほとんどないからで、電気的な式で全部説明しようとするものがたまにあるだけです(ほぼ英語だけ)。
ふつうに見つかる情報といえば、共振周波数の公式設計(公)式製作図試聴記...とだいたいこんな感じです。
英語を除くNHKの外国語講座が初級編を繰り返しているのと似ています。

それで、バスレフの話に戻ると、私のサイトである、多自由度バスレフ研究所は、私が初級編から少しずつ踏み出して開発してきた過程を書いています。
パラメータを用いる従来方式は置いておいて、力学的技術課題をみなさんと共有できれば、もっと効果的に開発して役立てられるようになると思います。
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by mcap-cr | 2017-05-23 19:45 | 科学 | Trackback | Comments(0)

不確かさ

いままで、オーディオマニアの気にする(あるかどうかも証明されていないような)些細な差についていろいろと書いてきました。
あることを測定で証明できない差を人間が感じる、というのは、心理効果であると、私は考えています。
心理効果でしか差を判定できない場合というのは、差が、人間の感じる不確かさ(uncertainty)の範囲内に入ってしまっている場合に成立します。
差が不確かさを超えていれば、判別は可能なはずです。
少し前のエントリでコメントした、ハイレゾの効果については、ようやくCDとは、不確かさを超える差があるかもというところにたどり着いて喜ばしい限りです(まだ、結論するには少し早いですが)。

不確かさという指標は、何十年も前には規格においてもあまり重視されていませんでした。
ですから、計測の精度に関わる規格についても、不確かさに関する記述が抜けていたりしました。
現在、試験や校正のラボの能力を示す規格にISO/IEC17025というものがあります。
そのなかで、トレーサビリティについて規定されていて、トレーサビリティがあると公的に認める条件には、不確かさが定量化されていることが規定されています。
不確かさを数値として表すために、各種パラメータのそれぞれの要因による不確かさの合計として、それぞれの2乗和の平方根を使ったりして表します。2乗和の平方根というのは、厳密に言えば、それぞれのパラメータが線型独立である場合に限定されるので、線型従属のパラメータがあったりすると、不確かさを多く見積もってしまうとか、ツッコミどころがあったりして、まだまだ、研究の余地の多い分野ではあります。

オーディオマニアしか感じない差というのは、心理効果だけと言ってもいいものでしょう。
不確かさを超えていれば、オーディオマニアでなくても感じるはずだし、ブラインドテストで検知可能なはずです。
そうでない差というのは、他人に暗示をかけられているか、自己暗示にかかっているかどちらかなので、暗示のための手がかりを失ってしまう(ブラインドになる)とまったく分からなくなります。

オーディオを科学的に進めるためには、まず第一に不確かさを定量的に把握するということなのだと思います。
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by mcap-cr | 2017-05-12 06:38 | 科学 | Trackback | Comments(0)
昨日は、ひとつの箱に複数のダクトを付けても共振周波数はひとつしかない、ということを数式で示しました。
残念ながら、全く別の理解をされた方がおられたので、不本意ながらまたまた補足を書きます。
複数のダクトとわざわざ書いたのは、あくまでも一般論であって、『同一のダクトを複数』というのは、その中の特殊な例に過ぎません。
ですから、わざわざ、各ダクトの断面積や長さを違う記号で表現したので、そういうところは読み飛ばさないでほしいと思います。わざわざ、長岡先生のUNIの説明まで付けたのですから。

昨日の記事を一言でまとめると、箱がひとつなら、長さや断面積の違うダクトをたくさん付けても共振周波数は増えません、というだけです。下の式を見て頂ければ、長さと断面積の違う2つのダクトについて言及していることがお分かり頂けると思います。
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空気の比熱比や大気圧のような定数は置いておいて、上の式の中で、ダクトの断面積と長さ、空気室の容積が使われているということは、考慮して解釈してください。

昨日のコメントにあったJSPというのは、シングルバスレフのダクトを4つに分解したモデルです。分類すれば、シングルバスレフの一例で、共振周波数を増やすための方式ではないことがわかると思います。ダクトを4本に分け、放射状に配置したのがJSPのポイントであって、放射状の配置でなければJSPではありません。当然、ダクトの合計面積と長さを同じにしたバスレフを作っても共振周波数は同じ(減衰項が違うので微妙に違うが)であっても、音が違います

JSPは、多自由度ではないので、いままでコメントしていませんでした。
ダクトを増やせば共振周波数が増える訳ではないというのは、長岡先生が何度も書いてこられたことなので、そこは、共通理解にしたいと思います。

私が式を示している場合には、どのような変数が使われているのかということだけは、確認してからコメントをお願い致します。


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by mcap-cr | 2017-05-08 00:59 | 科学 | Trackback | Comments(1)

MCAP-CRモデルの補足(2)

昨日のエントリで、省略した部分について少しコメントしたいと思います。
ひとつの空気室に複数のダクトを付けても、バスレフのチューニング周波数はひとつしかできません。
このことは、長岡先生の著書にも書かれていますが、計算方法は紹介されていません。
私も以前に確認したことはありますが、レポートとしてまとめてはいませんでした。
そこで、簡単に書きます。詳細はあとで、PDFで書いてアップしたいと思います。
運動方程式の導き方は、昨日のエントリにあるリンクをご参照ください。

各ダクトの断面積と長さを、それぞれ、a1、l1、a2、l2とします。
また、ダクトに含まれる空気の有効質量をそれぞれm1、m2。ばね定数をk1、k2とします。
すると運動方程式は、下記のようになります。
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この運動方程式の固有値は、次式を解いて得ます。

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2×2の行列式なので、簡単に解くことができます。
固有値λがない定数の項はゼロになるので、固有値はひとつになります。
a0246407_18042811.png
この固有値から共振周波数(チューニング周波数)を求めると下記のようになります。

a0246407_18031125.png
ここで、γは空気の比熱比、Pは大気圧、V0は空気室の容量、ρは空気の密度、πは、円周率です。
以上は、ダクトが2つあっても意味がない、という理由を数式で示しただけのもので、実用性が全く無いので、その程度の意味にとってください。
ダクトが3本以上ある場合も同様ですが、それを簡単に説明すると下記のようになるでしょう。
(1)2本ダクトの式を解きます
(2)等価の1本のダクトに統合します
(3)ダクトを1本加えます
(4)2本ダクトの式を解きます
(5)等価の1本のダクトに統合します
以上を繰り返せば、何本あっても同じことが示されます。

ひとつのチャンバーに複数ダクトってやっぱり意味ないですね。
無駄なので、エネルギを使うのはやめましょう。




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by mcap-cr | 2017-05-07 18:28 | 科学 | Trackback | Comments(5)

MCAP-CRのモデル−補足

コメント欄に非公開の質問を頂きました。
そのままでは回答のしようがないので、直接的なQ&Aではない形で補足します。
頂いた質問は、MCAP-CRの等価モデル(2)に関することです。
そのエントリーで書いたことの要点は、下記のとおりです。
  1. MCAP-CRは、振り子モデルで表すことはできない(頭脳明晰な人なら可能かもしれないが、複雑になるはず)。
  2. 振り子モデルでは、質点相互には、支点を介してしか影響しないので、ひとつのチャンバーに複数のダクトが付いているような場合を表現できない
下の図は、前のエントリーからのコピーです。図の中央右側に、バネの図がありますが、この部分が振り子モデルでは表現できない部分です。
このバネの影響が無ければ、それぞれの質点は、その支点が振動する以外は、単に自由振動しているだけになり簡単です。
ところが、質点相互の影響があると、独立には振動できず、計算が面倒です。
長岡先生のUNIというモデルのように、ひとつのチャンバーに複数のダクトが付いた形式は、宙吊りのような配置では、共振周波数がひとつしか出ませんが、床に転がすと、ダクトの外側の条件が変わってくるので、共振周波数が微妙に変わってくるのではないか、というのが長岡先生の希望的仮説でした。残念ながら、その結論部分を覚えていませんが。

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それで、頂いた質問を拝見すると、上記の内容と真逆に理解されているようでした。
もう少し補足すると、振動板の変位と各ダクト(の空気塊:以下省略)の変位を表すベクトルが下記のようなものであるとします。
a0246407_15071885.png
実際には、これらの成分の動作は独立しておらず、相互に何らかの影響があります。
そのことを表すために、相互の影響がないようにする変換を行い、下記のような新しい変数のベクトルを作ります。
a0246407_18441242.png
この変換したベクトルは、数学的には、成分が独立したものになります。
何度も書いているのですが、オーディオ雑誌では、こうした変換を前提とした議論をしておらず、各ダクトが独立した動作をするかのように書いています。
このため、ダブルバスレフ(以上)は分からない...という常套句が出てきます。

話を戻すと、変換後のベクトルの成分は、各ダクトの変位が線型独立でない場合には、成分のうちひとつ以上がゼロになります。
この場合では、階数をmとするとm<n+1ということになります。
ひとつのチャンバーに複数のダクトをつけるような場合には、x'0、x'1以外はゼロになります(すなわちm=2)。

ひとつのチャンバーに複数のダクトを付けたときの方程式モデルは、下記文書の3.3を参考にすれば導くことができると思いますので参考にしてください。

MCAP005J バスレフ型スピーカーシステムの運動方程式の導き方 2008/05/31

下記科目の教科書を引っ張り出すといいです。
(1)線型代数(理系の大学教養課程で多分必修科目/文系では選択科目)
⇛キーワード:線型独立/従属、ランク(階数)、直交化、固有値
(2)物理学(同上、前半・後半に分かれていれば前半部分)
⇛キーワード:運動方程式、二自由度
上記のとおり、大学理系の教養課程の知識で殆ど分かる内容だと思います。
高校生でも上記の二課目は、何とか読めると思います。
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by mcap-cr | 2017-05-06 10:33 | 科学 | Trackback | Comments(0)
kaneyaさんのブログを見ました。
バスレフの動作については、いまだに混乱があるのではないかと思いました。
そのページにはトラックバックするとしてこの記事を書いています。

オーディオに限ったことではありませんが、どうも世の中一般に、結論を急ぎすぎる傾向があるのではないかと思います。
オーディオの場合『それで音はいいのか?』.....と。

目の前に起こった現象は、それがたとえ簡単なことであっても、そこに至る理由があります
そこに至る理由を理解せずに目の前の現象の理由を理解することはできません。
元々は、(シングル)バスレフの音に対する疑問から始まった議論でしたが、どうしてバスレフってこういう音なのか、何故、バスレフの音を嫌う人が多いのか、その理由は、計算式モデルである程度は明らかにできます。
私は、多自由度バスレフ型のうち標準MCAP-CR型のシミュレータを作っており、ウェブサイトでも公開しています。
シングルやダブルバスレフは、一般化された標準MCAP-CRの構造に含まれるので、そのシミュレータで、解析することが可能です。
オーディオマニアが好むシミュレータは、低域のレスポンスという静特性に特化したものですが、それでは、バスレフの動作を追うことはできません。
おそらくそうしたシミュレータの中では、動作の解析も行っているのではないかと思いますが、表に出てこなければその過程を見ることができません。
私がつくったシミュレータは、単なる振動のシミュレータなので、振動のレスポンスを見ることができます。

前置きが長くなりましたが、バスレフの動作について再確認します。
バスレフ動作は、位相反転動作で語られることがあり、ヘルムホルツの共鳴器動作で語られることもあります。
そして、私が見てきたのは、専門家の中にも、両者を区別できていない人がいることです。
スピーカーの教科書のようなものを見ても、こういった区別は書いてありません。
敢えて簡単に書いてしまうと、

(1)ヘルムホルツの共鳴器(Helmholtz's resonator または cavity resonator)としての動作は、固有値(共振周波数)にだけ適用される(ピンポイント
(2)位相反転動作は、固有値とその上の周波数に対して適用される(レンジ

おそらく、最初にスピーカーシステムを開発していた人たちは、こういうことを区別していたのではないかと思いますが、その後、結果だけ覚えた人たちは、過程をしらないので、ごちゃごちゃにしてしまったのではないかと思います。それを指摘しないユーザー側の責任でもあります。

私のメインサイトである、バスレフ研究所の、マイナーオーディオ講座にこのあたりのことは書いてありますので、少し宣伝しておきたいと思います(リンクはこの記事の一番下)。

まずは、共振周波数でのバスレフ動作です。


Duct2は無視して、緑色の大きく触れているのがダクトの動作(Duct1)で、最初だけ振れてその後殆ど振れていない青緑の線が、振動板(Membrane)の動作です。
振動板の動きが小さいのに、ダクトだけが大活躍している、いわば、ダクトが勝手に鳴っている状態なので、自作マニアの多くは、抵抗の大きなスリットダクトにして、癖を軽減しようとしています。

つぎに、共振周波数より少し上の周波数です。


振動板背面の位相(逆相)が、ダクトと同相になっているのがよくわかります。

ちなみに、共振周波数よりずっと高い周波数では、ダクトの効果はほとんどなく、共振周波数より低い周波数では、ダクトから振動板背面の音波がそのまま出て正面の音を打ち消してしまうため、振動板は空振り、その周波数の音は全く出ません(振動板がバタバタ震える音(歪)を聞いて、20Hzとか再生されると勘違いしている人もいるようですが...)。

下記に詳細を書いていますので、ご参照ください。

マイナーオーディオ講座 スピーカー再生技術(6)-バスレフ型とは(その5)

シミュレーションソフトウェアのダウンロード
GUIのソフトウェアは、フロッピディスク5枚分で、Windowsシステムで実行できます。
Linuxの場合はソースコードをコンパイルして使用してください(Qt4.7が必要です)。



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by mcap-cr | 2017-04-14 21:02 | 科学 | Trackback | Comments(3)

月は自転しない?

4月5日に放送された、フジテレビ「世界の何だコレ!?ミステリー」の中で、「月の裏側が地球から見られない理由」について「月は自転をしないため」と説明するカットがあり、インターネット上で「ちょっと待て」「調べてから放送してほしい」といった指摘が相次いでいるのだそうです。
残念ながらこの番組は見ていません(というか、地上波は捏造とおバカ番組ばっかりと思っているので見ることは稀です)。
私はフジテレビは嫌いですが、ちょっとややこしくて気の毒に感じるところもあります。
こういう科学ネタはもうちょっと検証してから制作しないと同じようなことが起きるのではないかと思います。

以前に、小さな差ほど気になる人がいる、というエントリで、あるNHKの番組で、人工地震を発生させることが不可能たと発言したどこぞの教授の誤りを指摘したことがあります。
この場合は、地表近くに内部エネルギが溜まった状態では、やっとくっついている層の間にちょっとした刺激を与えれば、地震全体のエネルギよりずっと小さなエネルギで人工地震を起こすことが可能なのに、『地震のエネルギは巨大だからそんなの人為的には起こせない』というおバカな発言でした。
その発言にはツッコミが入らなかったようで、運が良く指摘されなかったのか、馬鹿すぎて指摘する気にもならなかったのだかわかりません。

こんかい、フジテレビがちょっと気の毒だと思ったのは、『自転』という用語が曖昧だと思うからです。
自転という用語をウィキペディアで調べてみると、次の用に説明されています。

本日のウィキペディアの説明
自転 (じてん、rotation) とは、物体がその内部の点または軸のまわりを回転すること、およびその状態である。

天体の自転運動を表す言葉として用いられることが多い。力学における剛体の自転は、単に回転と呼ぶことの方が多く、オイラーの運動方程式により記述できる。英語で自転を意味する spin に由来するスピンという言葉も同義語であるが、物体の自転の意味でのスピンは自然科学以外の分野で用いられることが多い。例えばフィギュアスケートにおけるスピンや自動車がスリップして起きるスピンがある。量子力学や素粒子物理学におけるスピンも語源は自転に由来するが、物体の自転とは異なる概念と考えられている。


赤字にした、『物体がその内部の点または軸のまわりを』という表現では、私にはひとつの意味に定まるとは思えません。おそらく、『その内部』、というのは物体の内部の任意の点ことでしょう。しかし、『または軸』というのは、内部の軸か外部の軸でも良いのか解釈が別れます。多分、内部の軸に限定したいのだと思いますが、混乱を避けたければ、内部の点または内部の軸、と書くべきでしょう。外部の軸を含むのであれば、公転も自転に含まれることになります。どこの点なのかどこの軸なのかについては、この説明には書いていないので、これでは何とも言えません。後半はどうでもいい内容が混じっています(フィギュアスケートの選手のスピンを自転なんていうのかなあ?)。
ウィキペディアのこの記事も物理学者が書いたようには見えない記事ですから、フジテレビと同じ程度かもしれませんが。

また、Googleで、『自転』を検索したときに、検索結果画面のいちばん上に次の説明が出てきました。

じてん
【自転】
《名・ス自》自分で回転すること。特に、天体がその直径の一つを軸として回転すること。
 「地球は一日に一回―する」


これによると、自分で回ることになっています。
果たして、天体は自分で回っているのでしょうか????
宇宙の中の物体の動きは、力学に支配されていますから、初期条件とその後に加わった外力により天体が回転していることは分かります。
しかし、それは、自分で回転していることになるのでしょうか???

要は、フジテレビの番組では、月がいつも同じ面しか見えないことを説明したかったらしいのですが、どうして月の回転が地球の回転に完璧に符合しているのか、そんな簡単に説明できることとは思えません。ちょっと似たような関係がある太陽と地球との間では、別な現象になっている(季節があるということ)訳ですから、それと比較しての説明は必要でしょう。

この騒ぎから分かることは、『知らないと、簡単だと考えてしまう』ということでしょう。
自転という言葉を聞いて、『そもそも自転って何?』と考える癖があれば、簡単に説明できないことは分かるでしょう。
もっとわかりやすくいえば、やっぱりTV局は馬鹿だった...(笑)


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by mcap-cr | 2017-04-07 21:24 | 科学 | Trackback | Comments(0)