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工学オーディオに取組むオカルト嫌いです。


by MCAP-CR
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カテゴリ:スピーカー設計( 29 )

昨日書ききれませんでしたが、R社のユニットを使用した2つのシステムを聴くことができました。
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小さくて見にくい写真ですが、中央左側の2つの白っぽいスピーカーシステムです。
その右側が石田式BHBS、左側はMCAP-CRです。
MCAP-CRは私がつくったものですが、BHBSは本家の石田さんが作ったものです。
写真では、どちらも同じようなサイズに見えますが、BHBSは、少しだけ幅が狭く、内容積は小さめです。
逆に、重量は、MCAP-CRが小さく、片手でひょいと持てるくらいのものです。
BHBSは、厚い板材がふんだんに使われた高級仕様で、西洋の建築を感じさせます。
MCAP-CRは、9mm厚の松集成材で作ってあり、ダクトは、外に見えている部分が、トイレットペーパーの芯、中にある見えないダクトはキッチンペーパーの芯で、木と紙で作られる和風建築みたいです。
BHBSのほうは、集まれ!塩ビ管スピーカーさんのオフ会で聴きましたが、その後ダクトを調整したそうです。
MCAP-CRのほうは自宅で何度も聴いています。
メーカーオリジナルの箱は、黒くて見えませんが、隣のクリーム色に見えるシステムの上に置いてあります。

オリジナルは、密閉型、ミニスピーカーの音です。
私には、印象を与える音ではありません。

BHBSは、低音がオリジナルよりもずっと伸びているので、骨格がしっかした骨太の音です。
振動板の裏側に負荷を掛けて、ガンガン鳴らしてゆくという設計です。
MCAP-CRも同じように低音が伸びており、オリジナルよりも骨格のしっかりした音ですが、BHBSと比べるとガンガンいくという感じではありません。
どっちがいいのか?
という差ではなく、好みの範囲内の収まるくらいの差だと感じました。

どちらも、オリジナルとは、全く別物の音で、箱がいかに大切かを教えてくれました。

OSWさんのUP4D-CRの強烈な印象が強かったので、弱く感じられましたが、これはこれで、立派な音だと思います。

市販品には、箱の大切さを感じさせる商品ってなかなかないですね。


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by mcap-cr | 2017-08-15 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(0)
いま、一所懸命書いていたのですが、F5キー(画面のリフレッシュ)を押したら内容が全部消えてしまいました。
...
先日からF77G98-6というジャンクの150円のフルレンジにコンデンサを繋いでスーパーツィータにする実験をしています。
スーパーツィータは、10kHzより上の周波数に効果的に効いてほしいのですが、高域が強烈なソースでは、0.104μFのコンデンサで切っても定位に影響するくらい聞こえてきます。
ということで、位相を全く考慮しないデタラメ計算で、どの程度切れているのか推定してみました。
F77G98-6のインピーダンス特性はわからないので、FE83Enのインピーダンス特性で計算してみました。
コンデンサには、0.22μFを使ったものとしています。
結果は下記の通りです。
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20kHzで3.3dBほどレベル低下しているので、このくらいでも良いのかもしれませんが、313Hzでも24.6dBしか切れていません。
これでは、定位に影響するのは仕方がないのかもしれません。
できたら、10kHz程度より下はさっぱり切れているほうが望ましいと思います。
そもそも10kHzで完全に切れてしまったら自分に聞こえるかどうかという根本的な問題はありますが、その議論は無いことにしたいです。
フルレンジは、安いコンデンサ一発で切るだけでとてもきれいな音で鳴るのですが、下の方まで音圧が残る(いい加減な計算上)のが難点です。

更にキレの大きな12dB/Octっぽいネットワークにするか、別な方法を考えるか、悩みどころです。


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by mcap-cr | 2017-08-12 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(0)
前回、ダブルバスレフの公式の中の、第一共振周波数については、矛盾しないことを書きました。
問題は、第二共振周波数の計算になります。

長岡先生の説明の中には、公式を使うにあたっての重要なメッセージが隠れています。
再掲します。

第二共振周波数
『第一、第二キャビネットを合算して、(1)第一ダクトは単なる気流抵抗(2)わりと小さい)と見て、第二ダクトの共振を計算する』
もう一度式を見てみます。
公式はわかりにくいので、多自由度バスレフの計算で使ってきた形のほうを見てみます。
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ここで、上記の長岡先生の解説を見てみると、(1)については、式に織り込まれておらず、(2)については、『無視できる』という内容に変わっています。
この条件を考慮しないで、ダブルバスレフを自由に設計すると、計算式と合わなくなります

長岡先生は、計算式と合わせるために、第一ダクトの断面積を第二ダクトの断面積よりもかなり大きくとっています。
また、第一ダクトの気流抵抗の影響を小さくするもう一つの方法として、副空気室を主空気室よりも十分に大きくとっています。
これは、多少の気流抵抗があったとしても、元々小さな主空気室の影響がなくなるだけなのでモデル公式の誤差が出にくい、ということです。

こうした条件を守らずに、ダブルバスレフを計算すると、当然のことながら計算誤差(正しくはモデルの誤差)が大きくなるので、結果が合わなくなってきます。
計算がモデル公式に合わないことを誤魔化すために、空気室の算定方法を変えて独自解釈したFナントカ社みたいなところもありますが、こういうのは、よくありません。
技術者であれば、結果がモデル公式と合わなければ、合わない理由を検証して計算を修正するか、最悪でも、合わない理由を紹介すべきです。

上記のように長岡先生の紹介したモデル公式と、実態が合わない理由は、長岡先生が説明した条件を満たさずに使用するからです。

とりあえず、ダブルバスレフの公式をやっと理解できました。



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by mcap-cr | 2017-08-04 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(2)
ダブルバスレフの公式については、ずっと以前から気になっていました。
公式だけが独り歩きして、その式を元に、アマチュアだけでなく、プロの人まで右往左往している、そんな現状が気になっていました。
私は、その公式を使ったことはありませんし、深く考えたこともありませんでした。
公式の出典がどこなのかわかりませんが、長岡先生の著書には度々登場します。

その公式とは次のようなものです。

まずは、第一共振周波数です。
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次に第二共振周波数です。

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長岡先生の著書には、下記のような説明があります。

第一共振周波数
『第一ダクトによるバスレフのfdに準ずるが、第二キャビネットの影響を受けて少し上昇する』
第二共振周波数
『第一、第二キャビネットを合算して、第一ダクトは単なる気流抵抗(わりと小さい)と見て、第二ダクトの共振を計算する』

では、上記の公式の物理学的な意味を考えてみます。
公式は、2つのポートの寸法についての説明がないので、多自由度バスレフで扱ってきた記号を用いて書き直してみます。
公式は、容積の単位をリットル、長さの単位をcmとしいますが、多自由度バスレフの式では、全てSI単位に統一してあるので、混乱ご容赦ください。

まず、第一共振周波数の式です。
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上に書いたとおり、左側の赤枠の中は、主空気室のみのシングルバスレフの場合の共振周波数、右側の赤枠内は、副空気室の影響で、ダクトから見たバネ定数が増加したことによる影響の係数を表しています。
公式のほうは、係数を160と説明抜きに書いてありますが、多自由度バスレフの計算をするときは、一般の熱力学の式を使っているので少し違います。
公式で使われているγは、ダクトの長さの補正値です。
補正した長さをL3として定義すれば、もっと簡単な式になります。
多自由度バスレフの式では、ダクトの長さは補正値を使うということにしてあり、ずっとシンプルな形になっています。
γは、空気の比熱比を表すのに使っています。
これは、一般の熱力学の教科書の記号に倣ったものです。
空気の比熱比(Cp/Cv)は、1.4で、上記の式は、断熱条件の式になります。
等温条件を使う場合には、比熱比を1.0とした場合と同じになります。
一般的には、断熱条件が正しいとされています。
その他、ρは、空気の密度(1.2kg/m3)、Pは大気圧(101.3kPa)です。

では、公式の係数である160はどうなっているのか、というと、上記の式で計算すると、どちらでもありません。
容積と長さの単位を公式系に変え、係数をαとして書き直してみます。
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ここで、断熱条件では、α=173、等温条件では、α=146となり、公式の160とは、どちらも近いですが、一致はしません。
このようなモデルには、限界があるので、完全一致することは、まずあり得ません。
おそらく160が実験値に近いのだと思います。
『理論的にXXXになります。』等と断定的に書くような人は、モデルまで遡って検討したことのない人でしょう。
公式だけ覚えてきた人は、理屈を考えずに、試験結果として正解だったかどうかだけを重視するので、断定的なな書き方をしがちです。
文部省の教育方針の弊害だと思いますが、前川のような人が次官になる組織の方針なんてそんなものでしょう。
どのようなモデルが正しいのかは、実験により確かめるしかないですが、実験の検証にも不確かさが入り込むし、ダクト長さの修正モデルなどの不確かさも加わるので、簡単ではありません。
どのようなモデルにも限界があるので、100%理論的というのは、まずありえないことです。

では、第一共振周波数の副空気室による修正にはどのような意味があるのかというと、これは、ダクトのなかの空気塊をひとつの質点として見た場合に、主空気室の空気ばねと副空気室の空気ばねにより拘束されるという意味になります。
簡単に言えば、主空気室と副空気室とのバネ効果を加算したという式です。
わかりやすく書けば下記のようになります。
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確認のため、上記の式が成立することを示します。
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ダブルバスレフの公式の第一共振周波数については、上記の通り、多自由度バスレフの計算で扱ってきた式と矛盾しないことが確かめられました。

この先に、いろいろと面倒な議論がありそうです。

次に続きます。



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by mcap-cr | 2017-08-03 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(0)

R社2ウェイシステム

ひとつ前に作成したR社の2ウェイユニットを使用したシステムは、いま、OWKさんのところにあります。
そこで、外国の方に、石田さんのシステムとともに試聴して頂いたそうです。
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石田さんのシステム⇑
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⇑は私が作成したシステムです。
OWKさんのお話しでは、K国の方は石田さんのシステムがお気に入り、C民国の方は、私のシステムがお気に入りだったとのことでした。
質問を頂いたのは、私のシステムは、箱鳴りを狙って薄くしているのか、ということでした。
板が薄いメリットは、軽いこと、比較すると安いこと、の2点だと思います。
再生音量が小さければ、箱鳴りはすくないですが、音量を上げれば箱鳴りが気になるでしょう。
板を鳴らすというのも、狙ったといえば狙ったともいえますが、一番の理由は、試作だったから、ということになります。
自家用車を持っていないので、手に持って地下鉄で運ぶには、軽いほうが圧倒的に有利です。
厚くて重い箱なら、芯のしっかりした音になるはずです。
薄いのと厚いのとどちらがいいかといえば厚いほうが好ましいと思います。
それに輸送のときの破損を考えれば厚いほうが有利なことは間違いありません。

ということで、板厚を9mmから15mmに増やした図を書きました。
こちらの音も聴いてみたいなあ...


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by mcap-cr | 2017-07-16 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(0)

実効振動板容積

PUP5D-CR ver.2では、8cm弱のフルレンジユニットを片側6本も使用しているので、実効振動板面積は16cm相当を越えて、17cmくらいになっていると思います。
では、これは、17cm相当と云って良いのかというとそう単純には比較できません。
8cmユニットをたくさん使用たら、振動板も実効面積は増えますが、振幅は増えません。
ところが、口径の大きなユニットは、当然ながら、もっと大きな振幅をとることができます。
スピーカーユニットが音を出すときに駆動する大きさを評価するのであれば、動かされる空気の量をもって評価しなければなりません。
したがって、本来は、実効振動板面積ではなく、それに振幅値を掛けた、実効容積で表示しなければならないはずです。

PUP5D-CR ver.2では、同じスピーカーユニットを、スーパーツィータにも使用しています。
これは、フルレンジユニットに、1μF以下のコンデンサを直列につないで、下の周波数を切って、スーパーツィータの周波数域(超高域は期待できませんが)だけを使用する方法です。
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これは、写真のようにむき出しに置いているのですが、音は聞こえるのに、振動板を触ってみても、振動が殆ど感じられません。
これは、上記に定義した実効振動板容積が小さいということです。
空気室の容量は、実効振動板面積ではなく、物理的には、実効振動板容積で決めるべきです。
残念ながら、スピーカーユニットのスペックに振動の振幅が表示されていません。
本来であれば、
振動板振幅 xx mm /W @50Hz
のように表示スべきではないかと思います。
こういう数字が公開されていれば、箱の容量を決めるときにも参考になると思います。

実効振動板容積は、変位計とか、高速動画撮影システムとかがないと測定が難しそうですが、簡便な方法を思いついたら試したいと思います。



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by mcap-cr | 2017-07-13 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(0)
PUP5D-CR ver2のスーパーツィータの調整を続けています。
音楽ソースによって全然効き方が違うのでわけが分からなくなります。
フルレンジに使用しているユニットとスーパーツィータのユニットとが同一モデルなので、接続方法をよく考えなければなりません。
また、フルレンジユニットは広域のインピーダンスが公称値の8Ωよりもずっと高いことを考えると、コンデンサ1個でローカットしてもカットオフ周波数を20kHz近くに持ってゆくには、相当に小さな容量のコンデンサにしなければなりません。
ここで、配線の接続変更を考えてみました。
このシステムは、片側に6個のフルレンジと1個のスーパーツィータ(同じフルレンジユニット)を繋いでいます。
現状の接続は、下の図の下側です。
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スーパーツィータのインピーダンスが8Ωよりもずっと高いであろうと仮定すると、スーパーツィータのインピーダンスは無視して計算しても良いでしょう。
大体5.3Ω位になります。
この場合だと、フルレンジ1本の入力パワーが、1本接続の場合の1/4です。

配線を変えて上側の接続図にすると、フルレンジ1本あたりの入力は、1本接続の1/9です。
同じように考えて、全体のインピーダンスは、12Ωくらいです。

どちらの接続でも、アンプの出力電圧が同じなら、スーパーツィータ(+コンデンサ)への入力電圧は同じです。
ということは、上側の接続図のほうがスーパーツィータの効果が強くなります。
その分コンデンサを小さくすることができます。
こちらのほうが、調整しやすいかな?

今のアンプは低インピーダンスに強いですが、個人的には、8Ωよりもインピーダンスを下げることには抵抗があります。
接続を変えて12Ωにするか...
この改造は、面倒です。

今のままで気に入らない訳ではないですが、わざわざ変える価値があるのか...
今回も結論がありません。


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by mcap-cr | 2017-07-06 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(0)
MCAP-CRという構造のスピーカーシステムを作り始めてからもう10年くらい経ちます。
何作も作ってきましたが、このところ、設計法が何となく変わってきました。
一番変わったと思ったのは、一番新しい、メーカー製システム用のユニットを使った機種です。
以前は、共振周波数を上手に分散させて、スピーカーユニットに負荷を掛けて強引に鳴らそうと思ってきました。
このところの2作品は、副空気室の数が2です。
以前は、最低でも3つと思っていたのですが、製作が大変だし、形状が思うようにならないので、このところ副空気室は2つでもいいかな、と考えるようになってきました。

副空気室が2つの最も簡単な構造のMCAP-CRは下のようなものが簡単です。
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左のものが最もシンプルな構造で、第一号機もこの構造をしています。
右のものは、スピーカーユニットの位置を上のほうに配置したいときに考えます。
左の構造が、使う板の量が最もすくなく経済的です。

最初に変わってきたのは、外側のダクト(3と4)の長さです。
シミュレーションプログラムを作ったら、外側のダクトは短くしても、最低共振周波数がその通りに高くなる訳ではありませんでした。
このことに気付いてからは、これらのダクトは常に短めです。
最新作も、30mmと60mmです。
トイレットペーパーの芯を2本で、スピーカーシステムペアができました。
代わりに、内側のダクトは、長めです。
この長さは、ウーファーでは長く、フルレンジでは短めにしています。
これもシミュレーション結果から設計を変えて実物で確認した手法です。

空気室の容量もなるべく大きくとるようにしました。
副空気室の数を3、4...と増やしてゆくと、空気室の容量を大きく取れなくなってきます。
副空気室が少なければそれだけ、空気室の容量を大きくとれるようになります。
そして、特に大きくとるのが、V0とV2です。
V0を大きくするほうが音が綺麗になります。

一番新しいシステムは、ウーファーとツィーターの2ウェイにしていますが、音がとても綺麗です。
そして、V0(主空気室)を大きく取ると、心が落ち着く音になります。
無理をしていない自然体の音で、それでいながら、ローエンドはシングルバスレフではあり得ないくらい自然に伸びています。

いま、20cmユニットで作れないか、と相談を受けています。
いまのところユニットの素性が分かりませんが、わかれば、大体の容量が決まりそうです。
自宅で大型の箱を作るのは厳しいですが、まずは設計してみようかなと考えています。
確かに、300mm幅の板を使えば、上の図の左側の構造なら、コーナーピラー工法でV0とV2は30リットル以上確保できそうです。
本当はV0もV2も40リットル程度以上欲しいところですが。

考えているうちにやってみたくなりました。
そのために、ずっと前にFE206Sを中古で買ったのですが、もうそろそろ腐ってるかな?


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by mcap-cr | 2017-06-08 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(2)

箱の力

このところ、『新作』という名前で書いているシステムは、R社のLSxxxx(xxの部分は適当に補って想像してくださいね。画像から分かるとおもいますが)を使っています。
小型の密閉箱で、モニター用途なんかに向いているのではないかと想像しています。
この同じユニットを使って、箱を作りました。

以前、メーカーに箱屋はいるのかな?という記事で書いたように、メーカーには基本的には箱のノウハウが殆どないと思います。
どうしてかというと、箱に凝ったところで売れるわけ無い(と思っている)し、箱が違うことで音が随分違うんだ、という経験をメーカーの人がほとんどしていないと思うからです。
メーカーの人は、仕事でオーディオやってますから、個人の趣味を兼ねている人はすくないと思います。
だれだって、仕事を一年中家庭に持ち込むのは嫌でしょう。
ですから、仕事として通常のプロシージャに従って黙々とプロの仕事をこなしているのではないかと思います。
その結果として、オーディオ製品は、素晴らしい性能と品質に仕上がっています。

一方アマチュアは、というと、アンプやプレーヤーを自力で作る能力のある人はすくないと思います。
メーカーのノウハウが詰まった分野に敢えてとびこむよりは、見た目でも分かりやすい分野に参入することになります。
その中のひとつが、スピーカーシステムの『箱』というものです。
箱は、オーディオができた頃からすでに存在していますが、アマチュア向けに開拓したのは、長岡鉄男先生でしょう。
先生の文章を読んで、箱が違うと、そんなにいい音がするのか、と期待した人は多いと思います。
自分もその中の一人ですが、オーディオを趣味としないメーカーの人は、決して手を出さないと思います。
そもそも箱には可動部品がないので、音を出す部品ではありません。
箱から音が出ないわけではないのですが、自分から音を出すことはなく、受動的に音が出ちゃってるだけです。
受動的に音を出すなんて、メーカーからしてみれば、邪道だと思います。
それでも、箱無しで音を出すのに成功しているシステムは、あまりありませんが。

スピーカーシステムという性能の定まった製品がすでにあるのに素人臭い箱作りにメーカーの人が手を出すことは考えにくいです。

それでも、アマチュアの執念は素晴らしく、メーカーにはなかった新しい方式や設計法を生み出してきました。
箱がどれくらい大切なものかは、実際に体験しなければ分からない世界なのだと思います。

前置きが長くなりましたが、今回作成した箱は、一番上に書いた有名メーカーの製品の部品であるスピーカーユニットとネットワークを使っています。

これは、箱を変えてユニークなシステムを作ったら面白いね、というOWKさん(他の関係者の方かもしれませんが)の発想から出ています。

最初に製作したのは、自作のカリスマ石田さんでした。
石田さんの作品は、これです。
a0246407_11541103.jpg
集まれ!塩ビ管スピーカーさんのオフ会で少しだけ鳴らしたものです。
他の作品がメインだったので、この作品については、ご本人の解説はありませんでした。
石田式BHBSの作品で、コーナーの角を大きく落として見た目にも高級品に仕上がっています。

今回私が製作したのが、こんな作品で、石田さんの作品よりも容積は大きいですが、スカスカの軽量級です。
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方式は、副空気室が2つの標準MCAP-CR型です。
まだ、並べて比較したことはないですが、私の印象を書いてみます。

石田さんのBHBSは、低音を絞り出すようなダイナミックな音です。
低音をガンガン鳴らすことを前提に構造強度を上げ、厚い板で正統的に仕上げています。

私のMCAP-CRは、随分違う印象で、屈託ないあっさりと落ち着いた音です。
このような性格を形容するのに日本語では適切な表現が思いつかないのですが、イタリア語の単語では、"tranquillo"といいます(男性名詞単数を形容する場合)。
音楽用語にもあるとおり、心の落ち着いた、という意味です。
一般的には『静か』と訳されたりしますが、静か、という表現では表しにくい形容詞です(ラジオ講座の聞きかじりです...)。

石田さんのBHBSは、まさにダイナミック。
同じようにイタリア語の形容詞では、"dinamico"という表現がぴったりです。
スピーカーユニットの性能を余すところなく使おうという気合を感じます。

どちらも、ローエンドはどちらも30+Hzくらいと思いますが、BHBSは、スピーカーユニットが箱に命令して低音を出させているのに対し、MCAP-CRは、箱がユニットの気持ちを忖度して低音を出している感じです、
良いアンプが真価を発揮するのは、BHBSのほうでしょう。
MCAP-CRは、安いアンプでも高いアンプでも大差なく鳴ると想像します。

同じユニットを使っても性格が違うシステムができるというのは、まさに箱の力と言って良いと思います。

石田さんのBHBSは、OWKさんのところにも既に設置してあります。
MCAP-CRを持って行けば並べて比較できます。
OWKさんが近くに来られた際に、お渡ししようと思います。
力のない人でも簡単に運べるくらいの軽量級です。

できれば、石田さんを交えて、並べて試聴してみたいと思っています。
と勝手に書いてみました。


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by mcap-cr | 2017-06-07 00:00 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(4)

JSP方式について

久しぶりに風邪をひいてしまったみたいです。
仕事の打合せは変更できなかったので病院に行った後に出かけました。
夏風邪も厄介です。

ちょっと前に、共通の箱にダクトをたくさん付けても共振周波数は増えないので無駄であるということを書いたら、JSPを貶すように読めるというツッコミが入りました。
私は、JSP方式を知っていましたが、いままで、同社の製品についてコメントしたことはありません。
というのは、実際に聴いたことがないし、JSP方式が、共振周波数の多重化を狙ったものではないからです。
JSP方式は、同じダクトをユニットの周囲に複数本(製品は4本のようです)配列するところがミソということで、全体的なバランスを良くするのと、ダクトの巨大化を可能にする方式のようです。
ということで、多自由度バスレフとは目的が違う方式なので、普通のシングルバスレフに分類しています。どちらかといえば、スリット型のダクトに近いのではないかと思います。
スリット型は、ダクト部分の摩擦損失を増やして、共振を鋭くないようにすることを狙っているので、バスレフ固有の癖が出にくいのが特徴です。代わりに、共振が弱くなります。
JSP方式は、測定と聴感とで確かめた方式で、おそらく優れたシングルバスレフ型なのではないかと思います。

と前置きが長くなりましたが、先日のブログに書いた、複数ダクトの数式をまとめたのでメインのサイトのほうにアップロードしました。
シングル箱にダクトを増やしても共振周波数は増えないよ、ということを数式表現しただけなので役には立ちませんが、他に解説したものを見たことがないので、まあ暇つぶしにお読みください。

技術文書
整理番号SDOF001です。

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by mcap-cr | 2017-05-15 18:37 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(0)