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バスレフ研究所 Personal Audio Laboratory

ASD-STE100を読む

このところ、CDのリッピング(というより、整理してCDを探す必要のないようにすること)が必要だと思うようになったので、少しずつリッピングを進めています。
その過程でだんだん分かってきたのは、リッピングソフト(私の場合には"Asunder")を上手に使えば、かなりの手順が簡素化できるということです。
以前に書いたように、後からファイル名を変更したり、m3uファイルを書き直したりする必要はほとんどありませんでした。
m3uファイルはCD1枚毎にできるのが、セット物の場合は面倒ですが、これも"cat"コマンドで連結できるので、簡単になってきました。
また、オペラは別格で面倒ですが、曲ごとにひとつのフォルダにまとめてしまえば、1曲通しで聴けるようになるので、別な良さも出てきます。
もう少し手順を標準化できたら少しずつ2年位で全部リッピングしたいと思います。

全然関係ないお知らせです。
ウェブサイトで配布しているシミュレータのプログラムを最新のGCCでコンパイルするとエラーになることがわかりました。
main()

int main()
に変更すると、エラーがなくなります。
これを変更し、マニュアルを一部加筆したものに更新してあります。
更新は、下記サイトのみです。
http://mcap-cr.com/
FC2とWEBCROWのサイトでは更新していません。
このブログからのリンクは、何故か更新しようとしても拒否されるので、WEBCROWのままになっています。
申し訳ございません。

さて、今日の本題に入ります。
爺の手習いで英語を勉強していますが、米国のAMAZONで購入したThe Insider's Guide to Technical Writers by Krista Van Laan という書籍にちょっと良い情報があったので、紹介します。

ここで紹介されていたのは、Simplified Technical English という標準書です。
この標準書は、ASD-STE100というもので、宇宙産業のための英語の文書の書き方の標準書です。
ちょっと古いものが簡単にダウンロードできますが、最新版は、ASDのサイトに行ってリクエストすればメールで送ってくれます。
日本時間の午前中にリクエストを出しましたが、1時間もしないうちにメールで送ってくれました。

宇宙産業では、ちょっとした間違いが死亡事故に直結するので、誰でもが間違いなく理解できるよう記述方法を定めているのだそうです。
382ページありますが、これがなかなかおもしろいです。
使用して良い単語のリストがあったりします。

例文もなるほどと思います。
たとえば、下記のような表現は許容されていません。

For this procedure, make sure that one person is available for back up.
(私訳:この手順では、控えの作業員が1名いることを確認してください。)

STCでは、上記の文を下記のように書き直します。
Two persons are necessary to do this procedure.
(私訳:この手順を実施するには2名必要です。)

確かに、控えが1名というのは、1名いればその場に控えが来なくても良いようにも解釈できます。
そう解釈されてしまうと、1名作業になってしまい、事故の原因になるかもしれません。

こんなのもありました。

STC外の用法: The temperature must be adjusted.
STCの用法:   Adjust the temperature.

STC外の用法も一般には許容される書き方ですが、STCでは手順は命令形で書かなければならないそうです(関連記事)。
関連記事のところでは、半導体の試験片を試験語30分放置する指示を、受動態の例で書いている例を紹介しましたが、STCに従うと、私の思ったとおりの命令形で書かなければならないそうです(ホッ!)。

STCでは、同じ単語で動詞と名詞の使い方がある場合に、用法が制限されたりもします。

STC外の用法:Check the laptop battery.
STCの用法:Do the check of the laptop battery.

STCでは、"check"という用語を動詞として使ってはならないそうです。
確かに英語はその柔軟性の故に、構文がわかりにくくなりがちです。
解釈が複数あるのも珍しくありません。
わかりにくいのは、外国人だからという理由ではなくて、ネイティブの人にも同じことのようです。
確かに、以前一緒に仕事したことのある、元オリンピック強化選手の書いた英語は、何を書いているのか分からなかったことを思い出しました。

こんなふうにいろいろな制限がありますが、最初に挙げた書籍の著者は、STCを参考にしても良い、くらいの書き方で、STCを推奨している訳ではありません。
簡潔に明快に書くことができれば、必ずしもSTCに従う必要はないそうです。
STCに従うと、動詞として使っていはいけない単語を回避するために、"Do the check.."のように回りくどい言い方が必要になる場合もあります。
STCの説明を見ると、STCの用途を限定しているので、STCに完全に従えばいいという訳でもなくちょっとややこしくてどんどんドツボにハマっていく感じです。

こういう情報に接すると、日本の工科系学部での英語教育がいかに間違っていたかが分かります。
いまはどうなっているのかわかりませんが、私が教養部の頃は、文学とか哲学みたいな題材の本を順番に読まされて訳させられました。
それが、難解で構文が簡単にはわからないものでした。
学部に上がってからは、外国語は1ヵ国語だけになったので、英語を外してドイツ語にしたら、もっとちゃんとした先生にあたってまともな授業になりました。
工科系の学生には、STCみたいな英語を教えるほうがずっと役に立つでしょう。

日本語でもややこして意味のわからない文章をよく見かけるので、STCみたいな標準書が必要なのではないかと思います。



# by mcap-cr | 2019-04-18 06:33 | 外国語 | Trackback | Comments(2)

スピーカー・ユニットを含むオーディオ製品の好みは、あくまでもその人個人の趣向によります。
ある人にとってはすばらしいものが別なある人にはゴミだなんていうことは普通にあることだと思います。
製品として面白いから好きだ、メーカーの方針が好きだ、他の人が使ってるから好きだ(嫌いだ)、この音が好きだ...好みに理由は何でも良く、本人に納得できれば、あるいは、できなくてもなんでもありだと思います。

そんな気持ちで、ブログに表示される広告(広告があるから無料でブログスペースが使えます)に、面白そうなスピーカーユニットを見つけました。

共立プロダクツという販売元の商品で、パイオニア製造のもののようです。
おもしろいのは、ダブルヴォイスコイルになっているところで、6オームのヴォイスコイルが2つあります。
並列につなぐと3オーム!
直列接続で12オームというのは、どういう使い方を想定しているのでしょうか?
口径が公称10cmというのは使いやすいと思います。
また、マグネットがやけに大きくてダブルになっています。
ダブルの意味があるかどうか分かりませんが、パークオーディオの限定品と似たようなマグネット形状です。
フレームは、いかにもパイオニアらしく、小さすぎる感じですが、うまくマウントできれば剛性には問題ないと思います。
端子部分が2箇所あるので、マウントする穴の上下か左右に切り欠きを入れる必要があるかもしれません。
周波数特性の上限は15kHzなので、ひょっとしたら、スーパーツィータの追加が有効なのかもしれませんが、聴いてみないと判断できません。
10cm口径というのは、8cmより低音を出しやすいので、使いやすいサイズです。

これを買ってみるか、というと、まだ死蔵しているユニットがごろごろあるので手を出さないでしょうが、血気盛んな頃だったら飛びついていたでしょう。

MCAP-CRのような多自由度バスレフ方式を採用すればそこそこの音が出てしまうのに慣れてしまったので、最近は、以前のような期待感はありません。
以前は、こうしたらどんな音になるんだろう?という期待感の元、工作が楽しみでしたが、最近は新鮮な感動が無くなったと思います。
最近は、低音はもう分かったから気にせずに中高音の好みにシフトしています。
生の音楽を聴く機会を増やしたので、オーディオに対しての期待度が下がったということもあるのかもしれません。

でも、今の手持ちのユニットをほぼ使い切ったら手を出してみたい製品です。
使ってみたらゴミだと思うかもしれませんが、素晴らしいと思うかもしれません。
それまで売ってるかな?


# by mcap-cr | 2019-04-17 06:54 | 工作 | Trackback | Comments(4)

そういえば、大山さんからのメールマガジンに、MarkAudioのOM-MF5の評判がいいと書いてありました。
私は好きでないので次のオフ会に5セット持っていきます。
ほしい方には差し上げますのでオフ会にいらしてくださいね。
こういうのも好き好きということで、多くの方に評判がいいものが、私には全然不要だったりします。
このように趣向がバラけるのが正常で、みんなが同じようになると、オーディオ市場は成り立ちません。

話は変わりまして、棚に収まりきらなくなった音楽CDをどうやって整理するかというのは私の課題です。
リッピングしてデータ保存すればいいのではないかという意見をいただき、いままで挑戦しては諦めたことを思い出しながらもっといい方法はないかと検討を始めました。
試行錯誤の苦しみです。

問題のいちばん大きなジャンルは、オペラです。
標準的なオペラは、CD3枚分の容量で、各CDに20〜30のトラックがあります。
各CDに記載された文字情報は、同じ曲の録音であっても全然統一されていない場合があります(というかそんなのばっかりの気もします)。
しかも、ファイル名となる文字情報がやたらと長いのも特徴です。

これを、リッピングソフトでそのまま処理しても、名前が整理されていないのであとで分からなくなることは間違いありません。
また、ミュージックサーバーから直接聴く場合に、順番に聴いていくのにも支障をきたします。

よって、手順が簡単かつ聴くときに都合が良いように作業方法を考えなければなりません。

いままでやって失敗した方法を列挙します。
(1)リッピングソフトのデフォルト設定でそのまま実行する
−CDがどれだか分からなくなり混乱したのでボツ
−その他OSの文字数制限を超えて再生できなくなったものも現れてボツ
(リッピングソフトに何を使ったかは忘れましたが...)
(2)リッピング前にリッピングソフトの画面を見ながらテキストを書き換えていく
−時間がかかりすぎてボツ

こうやって整理していくと意外に問題点は少いようです。
ということで、現在試行錯誤で最もうまくいきそうなのは、以下の手順です。
これは、オペラのように1曲でCDが複数枚の場合を想定しています。

(a)作業用ディレクトリを作成し、そこに、リッピングソフトの(ほぼ)デフォルト設定でそのまま実行する。
(b)ソフトが作り上げたディレクトリ名を変更する。
(c)1曲全部終わるまで、(a)と(b)を繰り返す。
(d)作業用ディレクトリを作成し、そこに、CDのディレクトリ内のファイルを全部コピーする。
(e)作業用ディレクトリ内の音源ファイル名を変更する。
変更ルールは、
CD1の場合には、ファイル名の先頭に"a"を付ける。
CD2の場合には、ファイル名の先頭に"b"を付ける。
以下同様。
(コマンド一発でファイル名を変更する方法を知らないので、下記のようにしました。
$ rename 0 a0 0*.wav
$ rename 1 a1 1*.wav
$ rename 2 a2 2*.wav
$ rename 3 a3 3*.wav
こうすることで、トラック番号01...の付いたファイル名はa01...に変更されます。
トラック数が30未満なら2で終了。40以上あれば更に続けます。
面倒ですが、こうすることで、順番にできます。
m3uファイルを使用できれば、ファイル名を変更する必要はあまりありませんが、m3uファイルを使えない場合には、ごちゃごちゃになるのを避けるためこういうファイル名の変更が有効です。)
(f)最終的な保存ディレクトリを曲ごとに作成し、作業用ディレクトリ内の音源ソースファイルを、保存ディレクトリに移動する。
このプロセスをCD1枚毎に実行する。
(g)テキストエディタで、m3uファイルを結合し、ファイル名の先頭にa, b, cなどを付けていく。
(h)音楽プレーヤーソフトでm3uファイルを開き、順番に再生し、漏れのないことを確認する。
ファイル名を1文字ずつ長くしたので、OSの制限にかかってしまう場合があります。
また、ここで確認しないであとからバグを発見すると切ないです。

ここまでやってしまえば、CD数枚分のオペラ作品を通しで聴けるのでCDより良いかもしれません。

いまのところこれが実用的にはベストな気がします。


# by mcap-cr | 2019-04-16 06:31 | 音楽ソフト | Trackback | Comments(6)

昨日は、東京芸術劇場で、アマデウス・ソサイエティ−管弦楽団第52回演奏会を聴きました。
アマデウス・ソサイエティ−管弦楽団は、プログラムによると、慶応大学のワグネル・ソサイエティ−管弦楽団の卒業生を中心に結成されたそうです。
演奏会は年に2回くらいなので、普段は別な仕事をしている方が集まって演奏するという感じなのではないかと思います。
プログラムは、
レスピーギ『ローマの噴水(泉)』
ラベル・ピアノ協奏曲ト長調
サン=サーンス・交響曲第3番
指揮:川本貢司
ピアノ:福原彰美
オルガン:小高園里子
シートは全席2,000円です。

私は、2階席のやや後方中央左端の席を確保できました。
この演奏会をどうして選んだかと云うと、実にオーディオマニア的な理由です。
サン=サーンスの交響曲第3番は、オルガンで有名です。
交響曲にオルガンというのも斬新ですが、そこに可聴帯域外の超低音が加わるというのは作曲家の意図もあるのでしょう。
オーディオでも三十数ヘルツを再生するのは簡単ですが、それより下は極端に難しくなります。
普段聴いているのと比べて実際にはどうなのだろうかと気になります。

ピアノの福原さんは、チェロのワレフスカの相棒として国内外で同行しているそうです。
前回のワレフスカのリサイクルのときは、ピアノはよくわかりませんでしたが、今回は主役なのでよく分かるでしょう。

演奏は、ローマの噴水から。
この曲にもオルガンのパートがあります。
これは知りませんでした。
確かに振動が来ている...
サン=サーンスのようにわかりやすくオルガンが入っている訳ではないので、オーディオ的にはこちらの再生のほうが難しいのではないかと思います。
東京芸術劇場にはオルガンが2台あり、今日は、モダンオルガンのほうで演奏です。
モダンオルガンは、顔のように見える現代アートのようなデザインです。

ラベルのピアノ協奏曲は、福原さん、流石にすばらしいです。
なめらかに、克明に音を刻みます。
こういうピアニストの演奏を手軽に聞けてしまう時代になったのですね。

さて、サン=サーンスです。
オルガンがはっきり聞こえてきます。
三十数ヘルツのパートは、音量を別にすると自分のオーディオ装置でも同じようなバランスで聞こえていることが分かりました。
生で聴くと、それより下(多分)は極端に聴こえづらくなります。
いま、なんとなく30Hz以下の低音がなっているのではないか?という感じで時折普通とちがう空気の振動を感じるくらいです。
昨日、東京藝術大学の奏楽堂で聴いたことを書いた記事のとおり、やっぱり三十数ヘルツより下の周波数になると、はっきりとはわかりません。
楽音ではなく、オルガンだけを鳴らせば分かると思いますが、音楽のパートとして他の楽器(しかも爆音)と共に聴くと、どこで鳴っていうのかほとんどわかりません。
最後は、他の楽器も入り乱れて音響的にもクライマックスです。
これをオーディオ装置でできるというならハイエンドオーディオ屋さんに示してほしいと思います。

結局、オーディオ再生の参考のためという目的でまとめてみると、三十数ヘルツ以下を頑張って再生しても音楽としての聞こえ方はさほど変わらないということです。
意味がないかといえばそういうことではなく、有名なサン=サーンスでは、あまり変わらないかもしれませんが、アンコールとしてやってくれた、レスピーギの『ローマの松』の最後の部分を聴くとやっぱり30Hz以下も意味はおおありなのだろうと思いました。

ローマの松は、高校生のときに、チェリビダッケ指揮読売日本交響楽団の演奏を東京文化会館で聴きました。
最後は大音響でしたが、今回とは、違いました。
それは、東京文化会館にはオルガンがない、というのが理由だと分かりました。
ローマの松のオルガンは、ほとんど耳で聞こえない周波数を続けて鳴らします。
これが、体全体に対する圧迫感として生理的影響を与えます。
演奏が終わった後もしばらくは、顔や皮膚にビリビリ感が残った感じでした。

オーディオ的観点でまとめると、
(1)耳に聞こえる部分だけで良いなら、三十数ヘルツまで再生できれば十分。
この程度であれば、13cm級のMCAP-CRでも余裕で再生できます。
(2)生理的影響を楽しみたければ30Hz以下の帯域まで再生しなければならない。
これは、たぶんフルレンジでは無理だろうな...
しかし、大口径ウーファーだと固有振動の制御が難しいので、自然な超低音は出ないだろうと思います。
やはり、三島のkenbeさんがされているように、振動板の中口径ウーファーにパワーをブチ込むのが良いだろうとおもいます。

たまには、こうやって生音で刺激を感じるのが良いですね。


# by mcap-cr | 2019-04-15 07:23 | オーディオ一般 | Trackback | Comments(2)

東京藝術大学では、同声会という制度があり、受賞制度があるのだそうです。
そして、昨日は受賞者の新人演奏会が東京藝術大学の奏楽堂で行われました。
旧東京音楽学校の奏楽堂というのが近くにあり紛らわしいのですが、藝大構内の奏楽堂は、収容人員1,100名の立派なホールです。
しかも、名のある大聖堂にあるような立派なパイプオルガンが設置されています。
演奏会は二部構成で、13時からが第一部、18時からが第二部です。
標準的なオペラ作品を2曲聴くぐらいの時間がかかりました。

第一部

佐藤初音さん(オルガン)
パイプオルガンの演奏は、荘厳な感じがあり、私には、演奏の良し悪しというのはあまりピンときません。
ヴィドールという作曲家について、まったく予備知識がなく、わからない曲だったのが自分の勉強不足だと思いました。
パイプオルガンは、オーディオ的には超低音の音源として興味のあるものです。
低音に集中して聴いていましたが、三十数ヘルツよりも低い周波数だと、もうどれくらいの周波数か、どうれくらいの音圧なのかも分からないだろうと思いました。
三十数ヘルツは、オーディオで聴いていてもよくわかるし、体や脳に対するインパクトが大きいですが、たぶんそれより低いと、ホールで聴いていてもよくわからないのだろうと思います。

上田実季さん(ピアノ)
ブラームスの『4つの小品』から3曲を演奏しました。
自分のイメージに違わない丁寧な演奏で、音をひとつずつ大切に、作品に敬意を払って奏でるということを、特に意識して研鑽されているのだろうと思います。すばらしい。
上田さんの演奏は、PTNAの入賞者演奏会でも聴く予定なので、とても楽しみにしています。

川崎愼耶さん(ピアノ)
矢代秋雄のピアノ・ソナタです。
まさに現代音楽という感じですが、先日このホールで聴いた現代音楽(記事)のような、不思議な感じではなく、CDがあれば買いたいと思いました。
強奏から静寂まで巧みに弾き分け、強いインパクトで、作品の狙いをえぐり出すようでした。
見事というしかありません。素晴らしい演奏でした。
しかしながら、途中で弦が切れてしまっていたたそうです。
そういえば、最初の方にあれ?と思う部分がありましたが、そこだったのかどうかは分かりません。
ピアノ線は鋼なので、疲労で切れます。
おそらく、亀裂が成長してきていて、ちょうど切れる頃だったのでしょう。
弦が1本なくなっても、素人にはよくわからない作品だったのが幸いでした。
予定外の修理による休憩となりました。

地咲由里さん(ピアノ)
ラヴェルの作品です。
ラヴェルが目指したであろう、音と光と色とすべてが印象的に表現されていました。

京増修史さん(ピアノ)
第一部でただひとりの男性です。
ショパンを、感情で突っ走るような感じではなく、淡々としかも叙情的に奏でていきます。
ここまでで4人目のピアノですが、皆さんそれぞれに音楽性の違いがあって、意図があって演奏曲目を選んでいるのでしょう。
京増さんのピアノは、原曲への忠実さを意識して演奏しているのではないかと思いました。

間世田采伽さん(ピアノ)
はじめて聴きましたが、ハチャトリアンのピアノ・ソナタは、現代音楽的な感じなのですね。
ババジャニアンの作品も含めて、素人の知らない世界を奏でてくれました。

北川千紗さん
北川さんは、2012年に東京文化会館少ホールで行われた、ガダニーニ・コンクールという楽器の会社のイベントで初めて聴いてショックを与えてくれた人です。
当時15歳、ふつうの中学生という感じでしたが、演奏は、キリッと引き締まり、はじめて聴いた当時、こういう演奏家がいることにショックを受けました。
そのときには、すでに、演奏家として完成しているという印象を持っていました。
今回は、どうか。
北川さんは、自分の演奏に酔って満足してしまうことはなく、常に前進を続けるタイプのようです。
曲と作曲者に敬意を払い、表現を研究し、地道に積み重ねていく努力家なのだろうと思いました。
過度に演出すること無く、姿勢良く、さらっと、力強く、情緒を込めて演奏します。
15歳のときは、これ以上の完成はないだろうと思っていましたが、更にずっと進化していました。
演奏家の鏡のようなタイプなのだろうと思います。
演奏が見事なだけでなく、演奏家として見事だと思いました。

高木凛々子さん
高木さんは、東京音楽コンクールは制することができませんでしたが、ハンガリーでソロを演奏するなど、あちことで活躍中で。演奏家として絶頂期にあるのだと思います。
自信がみなぎっていました。
その裏に、ちょっと危険な香りが...

堀真亜菜さん
バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番です。
ヴァイオリンの音を深く奏でますが、まだ弓のストロークには余裕があります。
素人の私には、少し個性的な演奏なのかと思いました。
カザルスが、軽んじられていたバッハの練習曲をひたすら弾き続け、とうとう曲そのものの地位を最高位まで引き上げてしまったという逸話を思い出しました。
堀さんの奏でるバッハは、本当に見事、高音の輝きから深々とした音まで、バッハが意図したであろうことを研究してえぐり出すようでした。
見事でした。

弓場友美子さん
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第3番を演奏しました。
藝大の同声会で受賞された方は皆さん見事な演奏だと思いました。
バッハ、ベートーヴェンと続き、小難しく曲と向き合うのから、少し解放してくれて気持ちが和みました。

安保有乃さん
ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第4番です。
弓場さんに引き続き、しんみりと、気持ちを和ませてくれました。
こういう曲が、私の音楽を聴く趣味としては、ベースになっていることがよく分かりました。
心地よいひとときを有難うございました。


第2部

三井千絵さん(長唄)
私は日本人でありながら、邦楽は、積極的に聴くことがなく、貴重な経験でした。
長唄は、西洋的な曲や歌唱方法とは違い、直接的に感情に訴えるのではなく、聞き手の感情を通して訴えるような表現なのだと思いました。
徐々に声量も上がってきました。
伴奏の三味線の音は、遠く離れていても高音がバチバチと攻めてきて心地よいひとときでした。

町田夢子さん(箏曲生田流)
楽器の『コト』といえば、琴だと思っていましたが、箏もことなのですね。
伴奏に三絃という楽器がありますが、三味線とは名称が違うので別な楽器なのでしょうか?
途中から歌唱が入りました。
町田さん本人が歌っているようにも見えましたが、よくわかりませんでした。
自分にはちょっとむずかしい曲でした。

河合雪子さん(フルート)
ニールセンのフルート協奏曲ですが、オーケストラではなくピアノの伴奏です。
考えてみれば、練習のときにオーケストラが付き合うのは大変なので、練習用のピアノ伴奏には楽譜があるのでしょう。
ピアノの伴奏だと、ソナタのようかと思いきや、協奏曲は、ピアノとフルートの掛け合いになり、その微妙な距離感を演出してくれます。
ソナタだピアノとの関係が同時進行のことが多い印象がありますが、協奏曲だと、それぞれが微妙に距離をとったハーモニーになるのだとこのとき初めて感じました。
河合さんのフルートは、心地よく、とてもいい印象でした。

三界達義さん(クラリネット)
シューマンの幻想小曲集です。
音が伸びてなめらかです。叙情表現も素晴らしいです。

吉本拓さん(クラリネット)
ライネッケのソナタ『ウンディーネ』は、聴いたことのある曲でした。
体を揺らしながら伸びやかに演奏します。
ピアノとの掛け合いが見事です。

米本紋子さん(トランペット)
ネルーダのトランペット協奏曲です。
ネルーダのことは知りませんでしたがいい曲だったのですね。
トランペットも伸びやかでとてもいいです。
昨年の東京音楽コンクールのときは、金管の皆さんとても苦労していましたが、それは審査員が難しい曲を強いただけなのかな?
米本さんは、リラックスしていた感じでとても素晴らしい演奏でした。

安久津理子さん(テナートロンボーン)
トロンボーンにも種類があったのですね。
WWEでウッズが吹いている(似つかわしくない比較ですが)のと比べて割と長く見えました。
小さい音から大きいおとまで表現の幅が広いし、体も揺らしながらいい感じです。

足立歌音さん(ソプラノ)
深々として声で伸びやかです。
メゾでもいけるのではないかと思いました。
素晴らしいです。

五十嵐彩香さん(メゾソプラノ)
よく通る響き渡る声で、破綻がありません。
声の伸びも見事です。

西田幸里海さん(ソプラノ)
マイアベーアの『私につきまとう軽やかな影』は難しそうな歌でした。
西田さんは無理に声を出さず、丁寧に歌い上げます。
伸びた声も特に高音が美しいです。

森實あかりさん(ソプラノ)
コスプレのような金や銀のようにきれいに染めた髪で登場し驚きました。
出で立ちとは対照的に中田喜直を日本語で歌ったのはまた見事でした。
メゾのような深々として声で、声量も十分でした。
美しい声で、喝采も多かったのは、素晴らしさの現れでしょう。

渡邊美沙季さん(ソプラノ)
ロッシーニが見事です。
ああ、これがロッシーニの声だ!
もっと体力を付けると更に素晴らしいでしょう。

佐藤克彦さん(バリトン)
よく響き渡る声で、ステージの左右で声が反響するのが見えるようです。
これがオペラ全曲に亘って続けば本当に最高の歌手になれるでしょう。
最後は、緊張からか、ピアノを無視してスタスタと歩いていってしまったのが残念でした。

鳥尾匠海さん(バリトン)
ヴェルディの始まりがちょっと弱い感じがしました。
後半のトスティでは調子が上がりました。
終了時に"Bravo!"の声が聞こえたときあまりにも美声だったので本人が言ったのかと思ってしまいました。
そんなわけないですよね。
その声がとてもいい声だと他の方も思ったようで、その方向を向いている人もいました。

中尾奎五さん(バリトン)
ずっと仁王立ちでフィガロを歌います。
仁王立ちではありますが、肩に力が入っているという感じではなく、これもいいですね。

牧山亮さん(バス)、平塚太一さん(ピアノ)
深い声がよく通ります。
とても心地よい。
最後は、牧山さんと平塚さんが握手、抱擁してたたえたり、和ませてくれました。

今回は、大学が、優秀な卒業生にプロモーションをプレゼントするための企画なのでしょう。
皆さん本当に素晴らしい演奏・歌唱でした。
プログラムとして全体が構成されている訳ではないので、名演奏家、名歌手のパフォーマンスではありながら、都度空気が変わってしまうという結果として面白い演出でした。
とにかく長いので、全部聴いた人は多くなかったかもしれません。
本人は出番以外はないので、自分の番が終了した後は、リラックスして聴いていたのかもしれません。

これから演奏を職業としていく皆さん、ぜひともこの世界で大成して続けていければいいなと思います。

奏楽堂は素晴らしいホールですが長時間座るにはシートが硬いのが気になりました。
次回は、飛行機の座面に置くクッションを持っていこうと思います。


# by mcap-cr | 2019-04-14 08:59 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)