人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ホールで聞く生の音

先日東京文化会館小ホールで長井充さんのピアノのリサイタルを聞いた。
長井充さんのことは不勉強で知らなかったが自分の母親と同い年であることを知った(どうでもいいか)。
前半では、少し指の衰えを感じるところがあったが、後半は見事に巻き返した。

小ホールは日本の演奏会場としては小ぶりだが、それでも、欧州の小都市にあるオペラ劇場と同じ位の収容人員がありそうだ。幸いにも全席自由席で、多少の空きがあったので、前半と後半とで座席をがらっと変えて聞くことが出来た。

前半は、ステージに向かって右側最前列、ピアノまでの距離は2メートルと少しといったところだった。ピアノの音はきつく感じるかと思ったが意外にもなめらかできれいな音だった。恐らく、ピアノ演奏を録音するときにマイクを置く位置に相当するようなところで聞いたのだろうか。

演奏会ではいつも感じるのだが、オーディオではこの音は再現できない。自分のオーディオでという断り書きが付くのではなく、何千万円、何億円の装置でも無理な話と思う。本物とオーディオ装置との差は歴然としていて、それと比べると自分の装置と超高級装置との差など無きに等しいかもしれない。自分が音を評価する際のリファレンスはあくまでも生の音なので、上記の理由により超高級オーディオなど所有欲が沸かない。そんなカネがあったら、ウィーンやパリなどに何度も聞きに行ったほうがよいと思う。実際に、自分の場合、オーディオへの投資金額より、海外旅行に投資する金額のほうがはるか高い。

後半は座席を最後列から2列目に変更した。最前列ではピアノの音はなめらかで美しかったが、この席では、少しざらついて感じた。高音は低音より距離による減衰が大きいはずなのでもっと大人しい音に感じるかと思ったらむしろ逆に感じた。高音が強いほうがなめらかに感じるのだろうか。そう云えばオーディオマニアで医師だった義父は、高音がしっかり出るほうが音が柔らかく感じると言っていたっけ。

実際の演奏会では、座席によってこうも音が違うのだから、オーディオの音の差を云々するのはどうなのだろうか。オーディオの枠の中だけでオーディオを語ることの多い現状には疑問を感じる。

また、生の音が存在しない音楽ソースもある。ポップス系の録音は、エンジニアが徹底的にいじっているし、それが前提なので、誰も正しい再生音を知らない。だからこういうものは、録音エンジニアか、演奏している人がいいと云えばそれが最高の再生音なのだと思う。原音再生と云ったって無理な話なので、聞いている人が良ければそれでいいのだ。

クラシック系のソースには、原音にかなり近いものが記録されていそうに感じるものがある。1970年代には、結構録音をいじるのがはやったようだが、おおむね90年以降は、改善されているように感じる。50年代、60年代の米国の録音には素晴らしいものが多いと思う。こういうものを聞くと、それなりにオーディオに投資する意義を感じる。とは云っても、アラブの富豪ほどの金持ちにならなければ、ン百万円、千万円の投資をする気にはなれない。生のほうが圧倒的にいい。

自分にはほどほどが合っている。
by mcap-cr | 2011-12-29 10:01 | オーディオ一般 | Trackback | Comments(0)

生演奏を主とすれば、オーディオは箱庭で充分でしょう。