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はこにわオーディオ工学研究分科会 (旧名: バスレフ研究所)

オシレータを使う(2)

便利なソフトウェアツールがあるのに何故使わないのか?

これは、自分がまだソフトウェアツールを使うレベルにないからです。
30年くらい前、まだ、ソフトウェアという言葉自体が一般的でない時代には、学士の卒業研究を含む大学の研究のためには、自分で計算プログラムを作らなければなりませんでした。
計算プログラムを作ることそのものに価値はあまりありませんが、
プログラムを作るためには、
(1)計算アルゴリズムを理解
(2)物理モデルを理解
していなければなりません。
これは、バグ出しの過程で更に磨きをかけられていきます。
だから、おかしな結果が出た場合にも、何となく変だ、と気付くし、その理由も推定できるようになります。

便利なソフトウェアツールは、手順を一般化し、特定のアルゴリズムに従って計算処理するようになっています。
ということは、アルゴリズムを理解しなければ何をやっているのか分かりません。
『今やっていることは正しいのか』
『みんなやってるから正しいんだろう。きっと。』
と葛藤を繰り返すことになります。
その挙句に、
前提条件を間違ってたから、今までの結果は全部パー~
なんてことになりかねません。

さらにもうひとつ落とし穴があります。
便利なツールによって、手順が自動化されていると、その過程に何があったのかわかりません。

音響解析の例では、
周波数分析測定中に、自動車が通って20Hzのレベルがぐんと上がった
なんていうことが普通にありえます。
大学のような立派な実験室があっても、2フロア離れた油圧機器の振動が30Hzのレベルを押し上げていた、というようなことが起こり得ます。

ということで、最終的な仕上げは便利なソフトウェアツールを使用するとしても、
単純な試験によって、大掴みにすることが非常に重要な意味を持ちます。

オシレータを使って、スピーカーシステムを検証する場合、
システムが共鳴(共振)する周波数と単にシステムの共鳴に関係なく別の要因で音圧が大きい周波数のような違いが明確に分かります。
バスレフシステムの場合は、共振周波数でダクトに手をかざすと、音圧を手で感じることができます。
さらに、単一周波数を入力した場合には、歪の状態がわかるし、部屋の癖も分かります。
こうした簡単な実験では、詳細な数値化はできませんが、まずは上記のようにシステムの特徴を大掴みにして弱点を発見することができます。

因みに、長岡式のピンクノイズ入力法では、上記のことはまったく分かりません。

石田式バックロード・バスレフシステムは、オシレータを使って分かることを発見してゆきたいと思います。
オシレータを使う(2)_a0246407_6322714.jpg

by mcap-cr | 2015-04-15 06:32 | 科学 | Trackback | Comments(0)

生演奏を主とすれば、オーディオは箱庭で充分でしょう。
by MCAP-CR

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