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はこにわオーディオ工学研究分科会 (旧名: バスレフ研究所)

MCAP-CRの等価モデル

多自由度バスレフは、通常の(シングル)バスレフと比較すれば、メリットの多い方式ですが、いまだに手を出す人が少い技術です。
ですので、一般的な多自由度バスレフについては、もっと分かりやすいモデルを作れないかと、前から気になっていました。
振動のモデルは振り子で表現するのが簡単ですが、MCAP-CRになるとちょっと複雑で、思いつきませんでした。
が、しばらく前に思い付いたので、完璧なものではありませんが、忘れないうちにメモしておきます。
シングルバスレフの振り子モデルは簡単で下記のような感じです。
MCAP-CRの等価モデル_a0246407_09280148.png
天井に糸で2つの質点を並べて糸で吊るします。上の質点が振動板で、下がダクトです。
上の糸が、スピーカーユニット自体のばねと、箱の空気によるバネを足したものです。
糸が短いほうが、固有振動が小さくなる、すなわち、バネが強くなります。
下の糸が、箱の空気によるダクト側のバネです。
同じ箱でも、ダクトの断面積が大きなほうがバネが強くなります。
したがって、ダクトの断面積と振動板の有効面積が同じでない場合は、振動板側とダクト側とのバネの強さは違います。
そして、振動板に駆動力を与えると、振動板とダクトの中の空気塊(以下単に”ダクト”と表記します)とが、固有振動を伴って揺れます。
共振周波数付近では、振動板とダクトとが逆方向に揺れ、また、揺れも大きくなります。

これに対して、ダブルバスレフは、下の図のようになります。
MCAP-CRの等価モデル_a0246407_09280016.png
動作は、シングルバスレフよりも複雑で、主な共振モードは2つあります。
ひとつの共振モードは、ふたつのダクトが逆方向に激しく揺れるモード、もうひとつは、ふたつのダクトが同じ方向に揺れ、それが、振動板とは逆方向に触れているモードです。
多分、振動力学等の一般知識ではなく、オーディオだけに特化した専門家は、こういうこと書いてもなんだか分からないと思います。
設計によって、共振モードの様子がかなり違うので、いまだに『ダブルバスレフは解明されていない』と(一般知識がなくオーディオに特化した)専門家が言う訳です。
ダブルバスレフのモデルは、私が書くまでもなく元々解明されているのですが、既知のことと未知のことが区別できない人は、全部まとめて『分からない』といいます。
これに対して、一般的な科学、工学を勉強した人は、『ここまでは分かるが、ここが分からない』といいます。
ダブルバスレフの力学はほぼ解明されていますが、それを実際のスピーカーシステムに当てはめてみても、完全なシミュレーションができるわけではないので、分からないといえば分からないとも言えるのですが、分からないのは、アプリケーション部分の話であって、そういうことを言うなら、シングルバスレフだって分からないし、バックロードホーンなんか、殆ど分かりません。
こうやって、既知と未知を区別しないで、超常現象のように話す専門家は、もっと勉強して欲しいと思います。

最後にMCAP-CRを振り子のモデルにしたのが、下の図です。
実は、ちゃんと動作を表現できていない部分があるのですが、雰囲気として見て下さい。
MCAP-CRの等価モデル_a0246407_09545093.png
見た目は複雑なのですが、よく見ると、ダブルバスレフが並んでいるだけです。
MCAP-CRモデルは、糸の長さも、質点の大きさもバラバラで、それぞれが、いろいろなモードで共振するので、シングルやダブルバスレフと比べると癖が出にいのが特徴です。
癖が出にくいと、低音楽器の音階が聞きやすくなり、すっきりとした音になります。
また、ローエンドの周波数を延ばしやすいのが第二の特徴です。
元々は、ローエンドを延ばしたかったための工夫ですが、いまは、癖がすくないという特徴のほうがMCAP-CRのメリットとしては大きいと思います。
しかし、ダブルバスレフで『分からない』となってしまうと、MCAP-CRでは、とてつもなく難しいように見えると思います。
ちなみに、動作を表現できていない部分とは、このモデルでは、m1~m4相互の影響が、m0を介してしか伝わらないという部分です。
空気室という万能バネは、あらゆる方向に働くので、これを振り子モデルで表現することは今のところ成功していません。
上のモデルの不完全性を説明する例は、m5~m8がない場合でも、m1~m4が独立して動作してしまうので、空気室ひとつの多自由度バスレフが出来てしまうことです。
ですので、こんな感じ、と気軽に見て下さい。

突然ですが、このブログは、科学というジャンルにしています。
その理由は、エキサイトブログには、『オーディオ』というジャンルがないからです。
どうしてないのか知りませんが、オーディオという趣向自体が、このブログをジャンル分けした人々の頭のなかに浮かばなかったか、既に廃れてしまったと認識されているからだろうと思います。
では、どうして廃れてしまったのか、と考えてみると、オーディオ趣味は科学的でなくなったからだと思います。
オーディオマニアの中には、科学的考証から外れて、超常現象で語ろうとしたり、科学的思考を否定するような人達が多いように見えます。
このブログには、音楽や美術なども取り上げていますが、例えば、美術は、科学的に解釈されており、科学がなければ、分類もできません。
これは、年代測定とかではなく、絵画技法が、科学的分析に基き開発されているということです。音楽についても同様です。
これに対して、オーディオは、科学的な開発段階が終わっていないのにもかかわらず、超常現象で語る(超常現象でしか語れない)人が絶えません。

最近、ケーブルの違いやハイレゾの違い等について書いてきましたが、これは、科学的思考を持つか、という命題について、皮肉で書いてきたものです。
違いの有無を科学的に検証できる、測定結果やブラインドテスト等の結果を思い込みだけで否定するような人達は、自分の生活が、全て科学技術に支えられている事実に気付いて欲しいと思います。






by mcap-cr | 2017-03-20 15:05 | 科学・工学 | Trackback | Comments(0)
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