2017年 04月 14日
今更ながらバスレフの動作について
バスレフの動作については、いまだに混乱があるのではないかと思いました。
そのページにはトラックバックするとしてこの記事を書いています。
オーディオに限ったことではありませんが、どうも世の中一般に、結論を急ぎすぎる傾向があるのではないかと思います。
オーディオの場合『それで音はいいのか?』.....と。
目の前に起こった現象は、それがたとえ簡単なことであっても、そこに至る理由があります。
そこに至る理由を理解せずに目の前の現象の理由を理解することはできません。
元々は、(シングル)バスレフの音に対する疑問から始まった議論でしたが、どうしてバスレフってこういう音なのか、何故、バスレフの音を嫌う人が多いのか、その理由は、計算式モデルである程度は明らかにできます。
私は、多自由度バスレフ型のうち標準MCAP-CR型のシミュレータを作っており、ウェブサイトでも公開しています。
シングルやダブルバスレフは、一般化された標準MCAP-CRの構造に含まれるので、そのシミュレータで、解析することが可能です。
オーディオマニアが好むシミュレータは、低域のレスポンスという静特性に特化したものですが、それでは、バスレフの動作を追うことはできません。
おそらくそうしたシミュレータの中では、動作の解析も行っているのではないかと思いますが、表に出てこなければその過程を見ることができません。
私がつくったシミュレータは、単なる振動のシミュレータなので、振動のレスポンスを見ることができます。
前置きが長くなりましたが、バスレフの動作について再確認します。
バスレフ動作は、位相反転動作で語られることがあり、ヘルムホルツの共鳴器動作で語られることもあります。
そして、私が見てきたのは、専門家の中にも、両者を区別できていない人がいることです。
スピーカーの教科書のようなものを見ても、こういった区別は書いてありません。
敢えて簡単に書いてしまうと、
(1)ヘルムホルツの共鳴器(Helmholtz's resonator または cavity resonator)としての動作は、固有値(共振周波数)にだけ適用される(ピンポイント)
(2)位相反転動作は、固有値とその上の周波数に対して適用される(レンジ)
おそらく、最初にスピーカーシステムを開発していた人たちは、こういうことを区別していたのではないかと思いますが、その後、結果だけ覚えた人たちは、過程をしらないので、ごちゃごちゃにしてしまったのではないかと思います。それを指摘しないユーザー側の責任でもあります。
私のメインサイトである、バスレフ研究所の、マイナーオーディオ講座にこのあたりのことは書いてありますので、少し宣伝しておきたいと思います(リンクはこの記事の一番下)。
まずは、共振周波数でのバスレフ動作です。

Duct2は無視して、緑色の大きく触れているのがダクトの動作(Duct1)で、最初だけ振れてその後殆ど振れていない青緑の線が、振動板(Membrane)の動作です。
振動板の動きが小さいのに、ダクトだけが大活躍している、いわば、ダクトが勝手に鳴っている状態なので、自作マニアの多くは、抵抗の大きなスリットダクトにして、癖を軽減しようとしています。
つぎに、共振周波数より少し上の周波数です。

振動板背面の位相(逆相)が、ダクトと同相になっているのがよくわかります。
ちなみに、共振周波数よりずっと高い周波数では、ダクトの効果はほとんどなく、共振周波数より低い周波数では、ダクトから振動板背面の音波がそのまま出て正面の音を打ち消してしまうため、振動板は空振り、その周波数の音は全く出ません(振動板がバタバタ震える音(歪)を聞いて、20Hzとか再生されると勘違いしている人もいるようですが...)。
下記に詳細を書いていますので、ご参照ください。
マイナーオーディオ講座 スピーカー再生技術(6)-バスレフ型とは(その5)
シミュレーションソフトウェアのダウンロード
GUIのソフトウェアは、フロッピディスク5枚分で、Windowsシステムで実行できます。
Linuxの場合はソースコードをコンパイルして使用してください(Qt4.7が必要です)。
なんというか、バスレフの共振は、バスレフの共振を押さえる方に働くのでなく、ユニットの振動を抑えるように働いているので、バスレフの共振は野放図になるのかなと漠然と考えています。
作用・反作用という用語の使用方法が適切でないように思います。
作用・反作用の法則は、釣合とは全く別の概念なので、注意が必要です。
動力学の場合には、静的な釣合の条件にない場合には、質点に加速度が発生します。
アンプ⇛ボイスコイル(振動板)⇛ばね⇛ダクト⇛ばね⇛ボイスコイル(振動板)⇛アンプ
とこんな感じの力学モデルになります。
ダクトの空気塊は、抵抗等がなければ共振モードでは振幅が無限大になります。
実際には空気抵抗やバネの非線型性等の要因で振幅は無限大にはなりませんが、抑えが効かないので、駆動する振動板側には大きな力が必要になります。
電気インピーダンスがどう変わるかというのは私には解説できませんが、結果としては、共振点では、インピーダンスが低くなります。
F0の信号をユニットに流すと、磁界の中のコイルに電流を流すので、コイルには力が働き、動きます。磁界の中で、コイルが動いたことによって、今度はコイルは(逆)起電力が働き、F0の信号を打ち消そうとする向きに電流を流そうとします。
作用・反作用と言ってもいいと私は感じてます。
力学での力の釣り合いの結果は、静止運動か等速運動になります。ユニットの動きでは出てくるかな?

