音の良し悪しで議論するようになったら技術者ではない

まだ趣味としては存続していますが、オーディオ産業は寂しい限りだと思います。
オーディオ産業がなぜ凋落してしまったのか、その理由は、間違ったマーケッティングにあるのだと思います。
半導体チップを小ロットで生産していた頃には、品質格差はそれなりにあったろうと思います。
それが時代が変わって、半導体製品なんか、汎用品しかなくなってしまった(汎用品以外はあったとしてもべらぼうに高価なので、特殊用途以外は実用性がありません)状況で、しかも基板ごとパッケージで販売されるようになると、品質の差がどんどん小さくなっていきます。
そこに高級化の道を見出そうとしても、スペックの差は出ないので、文学的表現で価値を訴求するしかない。
ここで登場するのが、『音が良い』という魔法の言葉です。
と、ここで思うのは、これを指標にするようになったら、技術者としては終わりだ、ということ。
数値化できる指標でなければ、その性能を向上させる道がわかりません。

音の良さを表現するのには、周波数特性や歪率のような指標がありますが、こういう指標に言及せずに漠然と、『音が良い』といっても、技術者に対しては訴求力がまったくありません。

技術的改善には、結果を変えるための技術的な変更要因が必要で、数値化された指標がなければ、改善度合いを評価することも不可能です。
よって、改善されたかどうかも分からない。
技術者なら不満がたまるはずです。
自称技術者には当てはまりまらないかもしれませんが。

指標がはっきりしなくなれば、残るのは、コストと売上という数値化された指標だけです。

文学的表現が多用されるようであれば、数値的性能差がなくなったか、むしろ悪化したかを疑うほうがいいでしょう。

計器としての人間の感覚は、不確かさが大きいので、暗示をかければいくらでも計測結果が変わります。
工業製品の誤差は、計測可能だし、不確かさも統計的にも分析可能ですが、人間計測器の不確かさは、結果の一貫性をを担保しないので、数値的に評価するのも実用的ではありません。

音が良い、という表現だけの評価を押付けることは、技術的評価を完全否定することなので、技術者目線で見るともう終わりです。

これが、オーディオ産業衰退の原因なんだろうな。


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by mcap-cr | 2018-04-12 19:26 | オーディオ一般 | Trackback | Comments(0)

工学オーディオに取組むオカルト嫌いです。


by MCAP-CR