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スピーカー設計の教科書に書いていないこと(1)

スピーカー設計の教科書には、書いてあることがすくないように感じています。
実験結果にもとづくであろう数式や、電気的な計算から出てきた数式は多いのですが、こと、機械工学の目で見ようとすると、内容があまりにも偏っていると感じます。
スピーカーシステムは電気で駆動しますが、その後は、基本的には機械的な動作によって、音波を発生させます。
ですから、機械的な検証を十分に行うことが先なのではないかと思います。
ということで、教科書類に書いていない話を時々書き綴っていこうと思います。

まずは、機械的な接地について書きます。

接地(アース、GROUND)は、電気的には、電位をゼロとして扱える部分に接続することです。
電気の接地で、電力系で重要なのは安全ですが、信号処理系では、ゼロ電位をつくるのに使います。
接地が悪いとノイズが乗ってきます。
メーカー製のシステムは、接地のノイズなんかありませんが、自分のような素人が真似してアンプキットみたいなのを作るとノイズに悩まされます。

よく目の敵にされるのが多点接地というもので、回路のいろいろな部分からいろんなところに接地すると、接地側の電位が揃わずに、設置側から、ノイズが入ってきたりします。
オーディオでは見ませんが、産業用の電気機器では、接地が太い銅の帯になっています。
太い銅の帯にすると、そのなかのどこに接地しても電位を同じにできる、という考え方だと思います。

実は、スピーカーシステムにも接地に相当する処理が必要です。
スピーカーシステムは、振動板(+付属品)以外を振動させないのが基本なので、振動板のついたスピーカーユニットを固定します。
この固定が接地に相当します。
接地が弱いと関係ない部分から振動が伝わり、ノイズになります。

ノイズを出さないためには、効果的な接地が必要なので、箱を重くしたり、フレームを強化したりします。
なかには、箱ではない部分にフレームを固定する手法もあります。
結果としては、みんな知っていることなので、それでも良いのかもしれませんが、電気的な接地との類似性で考えると、何が必要なのか、わかったような気がしてきます。

普通のスピーカーユニットだと、ダイキャストフレームのほうが鉄板プレスよりもいいというのは、そこから振動のノイズが出にくいからです。
Feastrexのようなメーカーが、特別オプションとして真鍮削りだしのフレームをつくるのは、振動ノイズを極限まで小さくしたいからに他なりません。
そうは云っても、他の部分も含めて総合的に評価しなければならないので、フレームだけに着目して議論してもしょうがありません。
他が似たようなもので、価格が同等の製品があって、フレームだけ違うという場合には、フレームが頑丈なものを選ぶほうがいいでしょう。

また、フレームは、頑丈な地盤(バッフルを厚くするのがこの頑丈な自分に相当する)に固定するとか、フレームが弱い場合には、マグネットを引っ張って固定するなど、こういう処理は、機械的接地を強固にするために行います。

フラフラに固定したり、箱の外面の振動を上乗せするのは、機械的接地という観点からは問題がありますが、接地によって失われるノイズを活用する方法であり、スピーカーシステムという、理想から遠く離れたコンポーネントには有効な方法といえます。
電気・電子機器には、わざわざノイズを載せるという方法は考えられませんが。



by mcap-cr | 2018-05-01 19:52 | スピーカー設計 | Trackback | Comments(0)

生演奏を主とすれば、オーディオは箱庭で充分でしょう。