スピーカーシステムの電気的シミュレーション(2)

スピーカーシステムの電気的シミュレーション(1)という記事で、密閉型については、電気的シミュレーションと機械的な振動の運動方程式の形が一致したということを書きました。
回路図を再掲します。
a0246407_16364624.png
密閉型の場合には、振動系が振動板しかないので箱のコンプライアンスは、一通りに決まります。
ところが、これが、バスレフになるとうまくいきません。
バスレフでうまくいかない理由は、ダクトの断面積とスピーカーユニットの振動板実効面積が一致していないと、箱のコンプライアンスが同一にならないためです。
ダクトの断面積とスピーカーユニットの振動板実効面積が同等というシステムは実用性がないので、こんなものを議論しても仕方がありません。
電気回路の等価図を見ても、箱のコンプライアンスは一定値として処理されています。
運動方程式モデルで一番苦労したのは、断面積の違いを運動方程式に織り込むことでした。
しかし、電気的シミュレーションには、そのパラメータがない。
このままでは埒が明かないので、電気的シミュレーションに詳しいある方にアドバイスを求めました。
話がうまく噛み合いませんでしたが、ヒントを頂いたのでここに備忘録として載せます。

箱のコンプライアンスは次式で表されるとのことでした。
a0246407_13560300.png
確かにここには、断面積の要素が入っていません。
記号の説明として、ρは空気の密度、Vは箱の容量、cは音速です。
音速は次式で表されます。
a0246407_13560663.png
ここで、γは、空気の比熱比(低圧比熱÷定容比熱)、Pは大気圧です。

ところで、箱のばね定数は次式で表されます(私のウェブサイトの技術文書の項に細かい説明があります)。
a0246407_13564831.png
これらの式を睨んでしばらく考えたら次式のように変換できました。
a0246407_13565274.png
これは、最初の式のコンプライアンスに相当します。
a0246407_13565600.png
式の形は違いますが、結局同じものに帰着しました。

そこで、箱のコンプライアンスが一定値になるよう変数の変換を試みました。
箱のばね定数は、断面積比の2乗に比例します。
ということは、コンプライアンスは、断面積比の2乗に反比例するということです。
すなわち、
a0246407_14160684.png
という変数を質点の変位の代わりに導入しました。
すると、運動方程式は下記のようになりました。
a0246407_14125247.png
こうすると、前回の比較表が下記のように変わります。
a0246407_14044606.png
こうすると、バスレフであっても、変位に面積の要素を織り込んだので、コンプライアンス一定として扱えるはずです。

これでようやくバスレフモデルの比較ができるかな?
ここから先は落ち着いて考えてみます。


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Commented by Kuni at 2018-09-05 23:06 x
倒れてしまいそうな数式。現象を、式で表せるって凄いです。
FF225WKの箱は、ポートが機能していないような…。
音が聞こえないぐらい小さい。ティッシュペーパーも動かない。
やっぱり、もっとパワーを入れないと駄目なのかもしれないですね。

Commented by mcap-cr at 2018-09-06 06:14
> Kuniさん
工学は数式が命のようなところがあって、やっぱり数式が大切なのだと思います。
ポートを効果的に効かせるには、ポートの効く周波数域と音楽のその周波数域が一致していることが重要です。
ポップス系だと50Hzも要らない場合があるので、それより下に共振周波数を持ってくるとほとんど効かないだろうと思います。
ポートの周波数を上げるには、断面積を大きくする(結構な改造が必要)、ポートを短くする(中に鋸を突っ込んで切るのはしんどい)、容積を小さくする(水入りペットボトルを詰め込むと簡単です)という方法があります。
もっとも、必要な帯域が再生されていれば、ポートが効いていなくてもいいと思います。
by mcap-cr | 2018-09-05 19:21 | 科学 | Trackback | Comments(2)

工学オーディオに取組むオカルト嫌いです。


by MCAP-CR