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はこにわオーディオ工学研究分科会 (旧名: バスレフ研究所)

東京藝大・同声会新人演奏会

東京藝術大学では、同声会という制度があり、受賞制度があるのだそうです。
そして、昨日は受賞者の新人演奏会が東京藝術大学の奏楽堂で行われました。
旧東京音楽学校の奏楽堂というのが近くにあり紛らわしいのですが、藝大構内の奏楽堂は、収容人員1,100名の立派なホールです。
しかも、名のある大聖堂にあるような立派なパイプオルガンが設置されています。
演奏会は二部構成で、13時からが第一部、18時からが第二部です。
標準的なオペラ作品を2曲聴くぐらいの時間がかかりました。

第一部

佐藤初音さん(オルガン)
パイプオルガンの演奏は、荘厳な感じがあり、私には、演奏の良し悪しというのはあまりピンときません。
ヴィドールという作曲家について、まったく予備知識がなく、わからない曲だったのが自分の勉強不足だと思いました。
パイプオルガンは、オーディオ的には超低音の音源として興味のあるものです。
低音に集中して聴いていましたが、三十数ヘルツよりも低い周波数だと、もうどれくらいの周波数か、どうれくらいの音圧なのかも分からないだろうと思いました。
三十数ヘルツは、オーディオで聴いていてもよくわかるし、体や脳に対するインパクトが大きいですが、たぶんそれより低いと、ホールで聴いていてもよくわからないのだろうと思います。

上田実季さん(ピアノ)
ブラームスの『4つの小品』から3曲を演奏しました。
自分のイメージに違わない丁寧な演奏で、音をひとつずつ大切に、作品に敬意を払って奏でるということを、特に意識して研鑽されているのだろうと思います。すばらしい。
上田さんの演奏は、PTNAの入賞者演奏会でも聴く予定なので、とても楽しみにしています。

川崎槙耶さん(ピアノ)
矢代秋雄のピアノ・ソナタです。
まさに現代音楽という感じですが、先日このホールで聴いた現代音楽(記事)のような、不思議な感じではなく、CDがあれば買いたいと思いました。
強奏から静寂まで巧みに弾き分け、強いインパクトで、作品の狙いをえぐり出すようでした。
見事というしかありません。素晴らしい演奏でした。
しかしながら、途中で弦が切れてしまっていたたそうです。
そういえば、最初の方にあれ?と思う部分がありましたが、そこだったのかどうかは分かりません。
ピアノ線は鋼なので、疲労で切れます。
おそらく、亀裂が成長してきていて、ちょうど切れる頃だったのでしょう。
弦が1本なくなっても、素人にはよくわからない作品だったのが幸いでした。
予定外の修理による休憩となりました。

地咲由里さん(ピアノ)
ラヴェルの作品です。
ラヴェルが目指したであろう、音と光と色とすべてが印象的に表現されていました。

京増修史さん(ピアノ)
第一部でただひとりの男性です。
ショパンを、感情で突っ走るような感じではなく、淡々としかも叙情的に奏でていきます。
ここまでで4人目のピアノですが、皆さんそれぞれに音楽性の違いがあって、意図があって演奏曲目を選んでいるのでしょう。
京増さんのピアノは、原曲への忠実さを意識して演奏しているのではないかと思いました。

間世田采伽さん(ピアノ)
はじめて聴きましたが、ハチャトリアンのピアノ・ソナタは、現代音楽的な感じなのですね。
ババジャニアンの作品も含めて、素人の知らない世界を奏でてくれました。

北川千紗さん
北川さんは、2012年に東京文化会館少ホールで行われた、ガダニーニ・コンクールという楽器の会社のイベントで初めて聴いてショックを与えてくれた人です。
当時15歳、ふつうの中学生という感じでしたが、演奏は、キリッと引き締まり、はじめて聴いた当時、こういう演奏家がいることにショックを受けました。
そのときには、すでに、演奏家として完成しているという印象を持っていました。
今回は、どうか。
北川さんは、自分の演奏に酔って満足してしまうことはなく、常に前進を続けるタイプのようです。
曲と作曲者に敬意を払い、表現を研究し、地道に積み重ねていく努力家なのだろうと思いました。
過度に演出すること無く、姿勢良く、さらっと、力強く、情緒を込めて演奏します。
15歳のときは、これ以上の完成はないだろうと思っていましたが、更にずっと進化していました。
演奏家の鏡のようなタイプなのだろうと思います。
演奏が見事なだけでなく、演奏家として見事だと思いました。

高木凛々子さん
高木さんは、東京音楽コンクールは制することができませんでしたが、ハンガリーでソロを演奏するなど、あちことで活躍中で。演奏家として絶頂期にあるのだと思います。
自信がみなぎっていました。
その裏に、ちょっと危険な香りが...

堀真亜菜さん
バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番です。
ヴァイオリンの音を深く奏でますが、まだ弓のストロークには余裕があります。
素人の私には、少し個性的な演奏なのかと思いました。
カザルスが、軽んじられていたバッハの練習曲をひたすら弾き続け、とうとう曲そのものの地位を最高位まで引き上げてしまったという逸話を思い出しました。
堀さんの奏でるバッハは、本当に見事、高音の輝きから深々とした音まで、バッハが意図したであろうことを研究してえぐり出すようでした。
見事でした。

弓場友美子さん
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第3番を演奏しました。
藝大の同声会で受賞された方は皆さん見事な演奏だと思いました。
バッハ、ベートーヴェンと続き、小難しく曲と向き合うのから、少し解放してくれて気持ちが和みました。

安保有乃さん
ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第4番です。
弓場さんに引き続き、しんみりと、気持ちを和ませてくれました。
こういう曲が、私の音楽を聴く趣味としては、ベースになっていることがよく分かりました。
心地よいひとときを有難うございました。


第2部

三井千絵さん(長唄)
私は日本人でありながら、邦楽は、積極的に聴くことがなく、貴重な経験でした。
長唄は、西洋的な曲や歌唱方法とは違い、直接的に感情に訴えるのではなく、聞き手の感情を通して訴えるような表現なのだと思いました。
徐々に声量も上がってきました。
伴奏の三味線の音は、遠く離れていても高音がバチバチと攻めてきて心地よいひとときでした。

町田夢子さん(箏曲生田流)
楽器の『コト』といえば、琴だと思っていましたが、箏もことなのですね。
伴奏に三絃という楽器がありますが、三味線とは名称が違うので別な楽器なのでしょうか?
途中から歌唱が入りました。
町田さん本人が歌っているようにも見えましたが、よくわかりませんでした。
自分にはちょっとむずかしい曲でした。

河合雪子さん(フルート)
ニールセンのフルート協奏曲ですが、オーケストラではなくピアノの伴奏です。
考えてみれば、練習のときにオーケストラが付き合うのは大変なので、練習用のピアノ伴奏には楽譜があるのでしょう。
ピアノの伴奏だと、ソナタのようかと思いきや、協奏曲は、ピアノとフルートの掛け合いになり、その微妙な距離感を演出してくれます。
ソナタだピアノとの関係が同時進行のことが多い印象がありますが、協奏曲だと、それぞれが微妙に距離をとったハーモニーになるのだとこのとき初めて感じました。
河合さんのフルートは、心地よく、とてもいい印象でした。

三界達義さん(クラリネット)
シューマンの幻想小曲集です。
音が伸びてなめらかです。叙情表現も素晴らしいです。

吉本拓さん(クラリネット)
ライネッケのソナタ『ウンディーネ』は、聴いたことのある曲でした。
体を揺らしながら伸びやかに演奏します。
ピアノとの掛け合いが見事です。

米本紋子さん(トランペット)
ネルーダのトランペット協奏曲です。
ネルーダのことは知りませんでしたがいい曲だったのですね。
トランペットも伸びやかでとてもいいです。
昨年の東京音楽コンクールのときは、金管の皆さんとても苦労していましたが、それは審査員が難しい曲を強いただけなのかな?
米本さんは、リラックスしていた感じでとても素晴らしい演奏でした。

安久津理子さん(テナートロンボーン)
トロンボーンにも種類があったのですね。
WWEでウッズが吹いている(似つかわしくない比較ですが)のと比べて割と長く見えました。
小さい音から大きいおとまで表現の幅が広いし、体も揺らしながらいい感じです。

足立歌音さん(ソプラノ)
深々として声で伸びやかです。
メゾでもいけるのではないかと思いました。
素晴らしいです。

五十嵐彩香さん(メゾソプラノ)
よく通る響き渡る声で、破綻がありません。
声の伸びも見事です。

西田幸里海さん(ソプラノ)
マイアベーアの『私につきまとう軽やかな影』は難しそうな歌でした。
西田さんは無理に声を出さず、丁寧に歌い上げます。
伸びた声も特に高音が美しいです。

森實あかりさん(ソプラノ)
コスプレのような金や銀のようにきれいに染めた髪で登場し驚きました。
出で立ちとは対照的に中田喜直を日本語で歌ったのはまた見事でした。
メゾのような深々として声で、声量も十分でした。
美しい声で、喝采も多かったのは、素晴らしさの現れでしょう。

渡邊美沙季さん(ソプラノ)
ロッシーニが見事です。
ああ、これがロッシーニの声だ!
もっと体力を付けると更に素晴らしいでしょう。

佐藤克彦さん(バリトン)
よく響き渡る声で、ステージの左右で声が反響するのが見えるようです。
これがオペラ全曲に亘って続けば本当に最高の歌手になれるでしょう。
最後は、緊張からか、ピアノを無視してスタスタと歩いていってしまったのが残念でした。

鳥尾匠海さん(バリトン)
ヴェルディの始まりがちょっと弱い感じがしました。
後半のトスティでは調子が上がりました。
終了時に"Bravo!"の声が聞こえたときあまりにも美声だったので本人が言ったのかと思ってしまいました。
そんなわけないですよね。
その声がとてもいい声だと他の方も思ったようで、その方向を向いている人もいました。

中尾奎五さん(バリトン)
ずっと仁王立ちでフィガロを歌います。
仁王立ちではありますが、肩に力が入っているという感じではなく、これもいいですね。

牧山亮さん(バス)、平塚太一さん(ピアノ)
深い声がよく通ります。
とても心地よい。
最後は、牧山さんと平塚さんが握手、抱擁してたたえたり、和ませてくれました。

今回は、大学が、優秀な卒業生にプロモーションをプレゼントするための企画なのでしょう。
皆さん本当に素晴らしい演奏・歌唱でした。
プログラムとして全体が構成されている訳ではないので、名演奏家、名歌手のパフォーマンスではありながら、都度空気が変わってしまうという結果として面白い演出でした。
とにかく長いので、全部聴いた人は多くなかったかもしれません。
本人は出番以外はないので、自分の番が終了した後は、リラックスして聴いていたのかもしれません。

これから演奏を職業としていく皆さん、ぜひともこの世界で大成して続けていければいいなと思います。

奏楽堂は素晴らしいホールですが長時間座るにはシートが硬いのが気になりました。
次回は、飛行機の座面に置くクッションを持っていこうと思います。


by mcap-cr | 2019-04-14 08:59 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)
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