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はこにわオーディオ工学研究分科会 (旧名: バスレフ研究所)

自作スピーカーの板材

私の新しい自作スピーカーの板材は9mmで、薄いなあ〜と思い、そのようなことを書きましたら、コメントをいくつか頂きました。

私なりの板材の選定方法について書きたいと思います。

まず、自作について、尊師のような存在の長岡鉄男氏のことについて書きます。
長岡鉄男氏の著作は、雑誌の記事も含めてかなり読みましたが、氏は、厚くて重い材料がお好みだったように印象を受けています。
厚みについては15mmより薄い材料を使った作品を記憶していません。
そんな理由で、自作派は、15mm以上の厚みの材料を使うことが多いのだろうと思います。

厚みの選定については、注意が必要です。
最近は、ホームセンターなどのパネルソー等でまっすぐに直角に切って貰えることが多いので、カット面の凸凹がないため、イモ継でも、隙間ができるようなことが無くなってきました。
しかし、長岡鉄男氏が自作記事を書き始めた頃は、まだ、手鋸で切る人もいたため、断面が真っ直ぐではなく、イモ継では接着に隙間が出ることが多かったろうと思います。
私が中学の技術家庭で教わったときは、少し大きめに切って、鉋で寸法を仕上げるのが定石でした。
最初は私もそうやってスピーカーを自作しましたが、まっすぐにはならなかったため、釘を使っても隙間が出てしまいました。
それが、パネルソーでまっすぐに正確に切ることができるようになると、工作の能率も一変しました。
もはや釘は必要なく、ボンドを塗って、ハタガネなどで押さえれば強力に接着できます。
長岡氏が、自作記事を書いていた頃は、まっすぐに加工できないことを前提に、漏れがなるべく少なくなるように厚い板を選んだのだろうと思います。
ところが、それが、理由抜きで一般化してしまった。
そんなところだろうと思います。

厚い板の最大のメリットは、上記のとおり接着が強力にできることだと思います。
接着面が大きければそれだけ接着力が強いというのが当然のことだからです。
次のメリットは、剛性が大きく、質量も増える(密度が同じ場合)ため、振動しにくいことだろうと思います。
箱から余分な音を出さない、というのが、理想だからです。

ところがメーカー品、特に舶来品には、薄い板でヘナヘナの箱というのが結構ありました。
それはそれで、箱の振動が、弦楽器の胴のような役目をして、いい感じに響くので、好まれたりもしました。
長岡式は、それとは逆の方向に行っていた訳です。

私は、どうするかというと、基本的には、板の厚みの差は、容積を同じに作れば、計算値には影響しないため、気にしなくなりました。
音は違いますが、MCAP-CRのような複数の部屋に仕切る構造の箱は、剛性が強いので、薄い板で作っても強度の問題はありません。
また、薄い板は曲がりやすく製作誤差を吸収しやすいメリットもあります。
薄い板のもっとも大きなメリットは、軽いことで、運搬が楽です。
自家用車を持たない自分には、大きな板を運搬するのが無理なので、もはや厚い板を使うことは実用的ではなくなりました。
また、スピーカーユニットも、振動板の裏側のマグネットが大きすぎるので、箱側に音を抜く面積を確保するためには、厚い板では加工が必要になってしまいます。

ということで、私の場合、12mmが標準でした。
しかし、シナベニアからラワンベニアに材料を変更すると、密度が大きくなるので重くなります。
ラワンにこだわる理由は、素人向けの仕上げには、ラワンのほうが良いと判断したからです。
重いラワンは、サブロク9mmでもかなりの重量で、運搬が大変です。
まして、12mmはなおきつい、ということで、9mmにも手を出すようになりました。
剛性が欲しいと判断した場合には、角材で補強します。
補強することで更に剛性が大きくなるので、結果として薄い板でも問題がなくなりました。

では、厚くて重い板は駄目なのかというと、決してそんなことはなく、遮音性の良い広い部屋でパワーを入れて鳴らすなら、厚くて重い板がメリットになります。
そうでない場合には、重くて疲れる、カネがかかる、廃棄に困る...と悪い事のほうが多くなるでしょう。

でも、20cm級のスピーカーユニットを使うなら、最低15mmで補強をたっぷり入れるとか、21mmや24mmにすることも必要だと思います。
私の場合は、そういう大きなユニットを使う場所がないため、結果としてどんどん薄型化していくだけの話です。

とりあえず、10cmくらいまでなら12mm厚で何作品か作ってみて、問題がありそうなら厚くするというようなことでいいのではないでしょうか。

9mmより薄いと、木口に釘が打てないし、接着面積が減るので、イモ継には向きません。
却って面倒なので、9mmが最も薄い限界なのではないかと思います。

深く考えなくてもいい話なのかとも思います。


by mcap-cr | 2019-06-11 06:15 | 工作 | Trackback | Comments(2)
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Commented by uta at 2019-06-11 12:56 x
誰かが目的を持って決めたことも
理由も正しく理解されず、真似をするだけでは
電気部品の修理と同じく、失敗を伴いますよね
廉価なアンプで聴ける環境であれば、交換する方が勉強と失敗、安全面で見て効率的と思ってしまいます

箱を正確に支持し、発生した反作用の効率的な減衰を行うのがインシュレーターの役割で
フロントバッフルの振動はスピーカーユニットの取り付け面、フレームに影響するので板厚や補強の重要度は高そうです
何でもかんでも厚くして重くして補強するだけでは根本の解決にはならない気はします

マルチスピーカーはウーファーなど重たい物がが下にくるので重心は下がりますが、フルレンジ一発やエンクロージャーの形式によっては
重心の高さが箱全体の振動を大きくし、定位感や位相乱れに繋がりそうです

これらは箱自体が重たかったり、バランスが良ければ、影響度は減っていくと思うので
妥当な結果は得られるでしょうから定説として定着するでしょうね
Commented by mcap-cr at 2019-06-11 17:31
> utaさん
厚くて重い材料を使うのは自作の常識といえる形になっていると思います。
ただ、ご指摘のように、意味があってその意味を持たせるためにそうすべきであって、何でもかんでも厚く、重くというのでは深く考えていないだけ、となってしまいます。
もちろん、意匠があればそれが理由になります。
振動、搖動の対策だったらトールボーイ型は合理的な解決法ではなく、旧来の安定型のほうが良いことになりますが、設置スペースの最小化、音場感低下対策という意味では、トールボーイ型のほうが優れています。
物事の多くは妥協の産物なので、制約の中での最適化で決めていくことが必要なのだと思います。

生演奏を主とすれば、オーディオは箱庭で充分でしょう。
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