2020年 01月 18日
上野deクラシック-原裕子とジェイコブ・ケラーマン
私は、そんなに興味がある訳ではないのですが、その後の飲み会が楽しみです...
昨晩は、東京文化会館小ホールまで、原裕子さんのヴィオラとジェイコブ・ケラーマンのギターによるコンサートに行きましした。
原裕子さんは、第5回東京音楽コンクールの弦楽部門で二位を獲得しています。
入賞者に対しては、主催者が、コンサートの機会を提供してくれるので、その一環のイベントです。
昨年の東京音楽コンクールがもう第17回だったので、12年も前の入賞者です。
プロファイルを拝見すると、現在は、ヨーロッパを活動拠点にして活躍されているようです。
ヴィオラといえば、忘れられないのが、一昨年の弦楽部門の有冨萌々子さんです(二次予選の記事)。
有冨さんが、ヴィオラの凄さを聞かせてくれてから、ヴィオラに注目するようになりました。
ヴィオラはオーケストラの中では地味な存在で、音域が他の楽器と被るので、全体が鳴っている中でヴィオラ部分だけ抽出して聴くことはなかなかできません。
しかし、単独演奏や小編成となると別で、その魅力を聞かせてくれる楽器です。
曲目は、前半が、ペルト作曲のフラトレスから。
弓の先端部分を使った高音の繰り返し連続音から始まります。
擦弦楽器の場合、弓の先端部分を使うのと、中間部分を使うのとでは、音が結構違います。
胴の共鳴音に対しては、違わないものでも、元となる擦過音が違うとかなり違って聞こえます。
それと、フラジオレットを多用した表現になっています。
フラジオレットは、左手の指をしっかり抑えずに軽く触るようにして、弦の共振をコントロールするものですが、これって教わる初期の段階で苦しんだりする技巧のひとつです。
かすかに触るのと安定して維持する、しかも右手を安定して動かす...
才能のない子どもたちは、このあたりで苦労したりします。
二曲目の、ブリテン作曲(ケラーマン編曲)のラクリメ〜ダウランドの投影、は更に技巧的に難しくなっていて、ダブルフラジオレットを多用しています。
ダブルフラジオレットは、パガニーニが編み出した技法らしく、二弦同時にフラジオレットで鳴らします。
単弦のフラジオレットでさえ難しいので、才能溢れない人が使うことはない奏法でしょう。
前半の二曲は、ちょっと現代音楽っぽくて難しい感じがしました。
ギターのケラーマンさんは、話すことはなかったのですが、原さんが調弦中に少し解説してくれました。
ピアノは高価なので、資金的にゆとりのない作曲家はピアノの代りにギターを使うそうです。
しかし、曲によっては調弦を少しずらして演奏可能にするなど、難しい技法があるものですね。
ギターは音量の小さい楽器なので、どう聞こえるか気になっていましたが、小さなPAを控えめに使っていました。
PAの音が良かったので、不自然さは全然感じませんでした。
クラシックギターの音は、ちょっとほっとするところがあり、優しい音色にほっとしますね。
後半は、シューベルト作曲ケラーマン編曲のアルペジオーネ・ソナタです。
ふつうの名曲になってちょっとほっとしました。
私の席からはケラーマンさんは見にくかったのですが、原さんはほぼ正面から見えました。
原さんは、藝大で有冨さんの先輩にあたります。
有冨さんとは演奏スタイルが違っていて、音楽に対してはグリグリと遠慮なく詰めていく感じです。
激しい表現が多く、座位でも体を大きく動かす演奏スタイルです。
ときには、つま先が上を向いてしまうことがあり、脚が攣ったら大変だと心配してしまいましたが、普段から鍛錬している方にはそういう心配は無用なのでしょう。
立位で演奏するほうが良かったように見えましたが、ギターと同等の高さを保持したかったのかもしれません。
演奏する様は大演奏家のように見えました。
ヴィオラは、こういうスタイルでも素晴らしいし、有冨さんのように徹底して響かせる、聴かせる、というスタイルも素晴らしいと思います。
東京音楽コンクールが原さんのプロとしての出発点になったのかわかりませんが、私が聴いてきた方たちもこうして自分のスタイルに磨きをかけて、国内外で活躍されることを期待しています。
ところで、このヴィオラという楽器の名前が気になったので調べてみました。
violaは、イタリア語では女性名詞
ヴァイオリンは、イタリア語で、violinoです。
男性名詞ですが、viola(女)のちびっこ(男)という感じの言葉でしょうか。
チェロは同じくイタリア語で、violoncello(男性名詞)。
コントラバスは、同じくイタリア語でcontrabbasso(男性名詞)。
violaだけ女性名詞です。
でもviolinoは、子供っぽい感じの男性名詞なので、母子という感じなのかもしれません。
子供ほどピーピーしていないしっとりと優しい感じというのがヴィオラなのでしょうか?
どうでもいいことですが考えてしまいました。

