人気ブログランキング | 話題のタグを見る

はこにわオーディオ工学研究分科会 (旧名: バスレフ研究所)

第18回東京音楽コンクール弦楽部門本選

昨夜は東京音楽コンクール弦楽部門の決勝が行われました。
第二次予選が激戦で誰が本選に進んでも納得だったのですが、ここに残った方々は先生方が審査した結果残ったので、更に激戦でした。
結果については後で書きます。

指揮:角田鋼亮
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

1.福田麻子(ヴァイオリン) FUKUDA Asako, Violin
J.シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
二次予選で感じたのと同様、いぶし銀のような演奏スタイルで、細かいところまできっちりと演奏します。
前回優勝した関朋岳さんの演奏を思い出しながら聴いていました。
関さんと比べてどうかというのは分かりませんが、円熟した素晴らしい演奏でした。
オーケストラの調子がまだまだだったのが残念でした。

2.北村陽(チェロ) KITAMURA Yo, Cello
D.ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 Op.107
二次予選では、深々とした響きを聴かせてくれました。
今回最年少の16歳ですが、そういう若さではない音楽性で魅せてくれました。
オーケストラのないソロの部分は本当に見事。
作曲者に聴いて欲しかった。
オーケストラのほうはまだちょっとくすぶりがありますが、福田さんのときよりはいい感じになってきました。

3.有冨萌々子(ヴィオラ) ARITOMI Momoko, Viola
B.バルトーク:ヴィオラ協奏曲 Sz.120 ※シェルイ補筆版
自分にはあまり馴染みのない難解な曲というイメージがありますが、有冨さんにかかると、そういう難しさではなく、もっと優しく語りかけてくれる作品です。
二次予選のときは、少し気になったところがあったのですが、この演奏では、有冨さんの芸術と音楽性が満開になりました。
音の響きは他を寄せ付けないし、演奏のどこをとっても文句なし。
前回より更に進歩を感じさせてくれました。

4.佐々木つくし(ヴァイオリン) SASAKI Tsukushi, Violin
J.シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
福田さんの演奏のように細かいところまで冷静にきっちりと聴かせてくれます。
福田さんと違うのは、暖かみを加えたところだと感じました。
意図して暖かみを加えたのではなく、作品に向き合った結果でしょう。
姿勢も素晴らしいし、音も素晴らしい。
ヴァイオリン部門(ではないが)では、今回は、頭抜けてトップだと思いました。

5.前田妃奈(ヴァイオリン) MAEDA Hina, Violin
P.I.チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
わりと渋めの作品の後は、飛び抜けて人気のチャイコフスキーです。
前田さんは、パフォーマンスに徹しすぎたように感じました。
その場のノリで爆発、そういったものを意図したのか分かりませんが、自分にはウケ狙いのように感じられたのが残念でした。
確かに会場では大受けでしたが、途中、ちょっと、んと思うところもありました。
二次予選が素晴らしかっただけに少し残念でした。

今回は、前回を上回る激戦となりました。
私は、聴衆賞を誰にするかちょっと迷ってしまいました。
前回より更に進化を魅せて、完璧だった有冨さん。
ショスタコービッチを深く深く聴かせてくれた最年少の北村さん。
シベリウスで、北欧の憂鬱な感じだけではなく暖かみを聴かせてくれた佐々木さん。
この3名の中から一位が出るだろうと思っていました。
結局聴衆賞は、有冨さんに1票。

審査結果は、...

第18回東京音楽コンクール
弦楽部門 本選結果

第1位
前田 妃奈(ヴァイオリン) MAEDA Hina, Violin

第2位
佐々木 つくし(ヴァイオリン) SASAKI Tsukushi, Violin

第3位
福田 麻子(ヴァイオリン) FUKUDA Asako, Violin
北村 陽(チェロ) KITAMURA Yo, Cello
有冨 萌々子(ヴィオラ) ARITOMI Momoko, Viola

聴衆賞
前田 妃奈(ヴァイオリン) MAEDA Hina, Violin

※同位に複数名いる場合は演奏順です。

審査員も困ったようです。
結果全員3位以上ということになりました。
予算があれば全員一位にしても良かったのかもしれません。

素人ながら、いろいろと考えてみました。
私は普段録音物で音楽を聴くほうです。
これを録音して何十回か聴いて投票したらどうなるか?
全然違う結果になるでしょう。
こういうコンクールが結果としてパフォーマンス(演奏という意味じゃなくて和製英語の)になるのはやむを得ないと思います。
しかし、録音したものを何度も聴くと、ぜんぜん違うものが聞こえてきます。
その場のウケが良かったものは、往々にして何十回もの再生に耐えません。
そういう観点で選ぶと、福田さん、北村さん、有冨さん、佐々木さんの演奏が飛び抜けていて、最後は曲の好みになるでしょう。
審査員もその場の雰囲気というフィルターをカットして何度も聴けば、また違う部分が気になってくるでしょう。
技巧的に差がない場合、どうやって決めるのか?
私は音楽性と楽曲解釈によって決めるのだろうと思っていましたが、今回は少し疑問符が付きました。
会場を沸かせるのも確かに重要なスキルですが、それは素人評価でもいいことです。
ひょっとして、師匠や学校などのフィルターがかかっているのか(何故か藝大の人は一位にならないことが多く感じる)?

一位になれなかった皆さんは、これにへこたれることなく、芸術を極められることを切に願います。

by mcap-cr | 2020-08-28 06:48 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(4)
トラックバックURL : https://mcap.exblog.jp/tb/240548619
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by muuku at 2020-08-28 08:29 x
基本に立ち返って考えて見ると、審査員は個人的な評価はさて置きコンクールの目的に沿った判定をせざるを得ないのでしょう。東京音楽コンクールの目的は「新人音楽家を発掘し、育成・支援を行う」となっています。
発掘・育成が目的ならば現時点よりも才能の伸びしろがもっとも大きい音楽家を選ぶことになるかと思います。もっとも才能の伸びしろなんてどうやって判定するのかわかりませんが^^;
ここが審査員が審査員たる所以ではないでしょうか。ある意味でこの音楽家を育てて見たい(後継者候補?)と思わせられる人なのかなと想像します。
選ばれた人がその後、成長し音楽家として活躍していれば審査員の面目躍如と言ったところなのでしょうね。
Commented by tincan at 2020-08-28 09:14 x
人間は目からの視覚情報が90%以上だという説もありますから、その説から言うと演奏を主体として競争させるなら、聴衆も審査員も目隠しして審査せねばなりせん。大げさな身振りで容貌の良い選手がドラマティックに視覚的表現したならば良いお点を取ってしまいます。
ついでに、どこの大学を出たとか、誰それに幼少のみぎりから師事しているとか、名前とか年齢とか、よく考えればコンペには全く関係ない事で、尚且つ純粋に考えれば審査にバイアスを掛けかねない情報は、一切知らせない、と徹底せねばなりません。
ここまでしても、ようやくフェアな審査に80%位近づけたかな、というレベルでしょう。神ならぬ身の他人に対する評価は難しいものです。
オーディオのブラインドテストでは音量合わせが難しいとか。1db違っても印象が異なってくるとか聞いております。生演奏の場合、音量は演奏側の責任ですから、この点気が楽ですね。
雑念
この季節、シベリウスのヴァイオリンコンチェルトは良い選曲ですね。その点で有利に働くか(笑)しかしクールな曲調の中にも暖かみを加えると演奏印象が良くなる。
音楽は難しいもんです。私なんか沢山の聴衆の前でパフォームするなんて、考えてもイヤな事ですけど、若い人たちは勇敢だ。
Commented by mcap-cr at 2020-08-28 12:26
> muukuさん
伸びしろという観点でいままでの結果を見ていると、年齢が低いのが圧倒的に有利という感じです(声楽除く)。
大学在学中のほうが大学院生よりも有利、という感じでした。
伸びしろという目に見えない点を評価するとなると不透明な結果になりやすいので、大きなコンクールだとそういうところに商業主義が入りやすいようです。
東京音楽コンクールくらいの小さなコンクールでは、肩書の実績を増やすために出ている人が多いのでしょう。
コンクール上位が他の人よりも実績を上げているかはよく分かりませんが、上位のひとは、東京文化会館のイベントに呼んでもらえるというメリットがあります。
今回の結果は二次予選を含めて微妙だったなあ...
Commented by mcap-cr at 2020-08-28 12:51
> tincanさん
何事もビジュアルが大きくモノをいうと思います。
本人を知らなければビジュアルがいいほうが特ですから。
演奏についても姿勢でずいぶん見た感じが違いますが、実際に音も違うだろうと思います。
表情については微妙で、変えないほうがいいのか大きく変えるほうがいいのかわかりません。
ご指摘のように、本来のコンクールにはどこそこの学校を出たとかどういう先生に教わったかとかは関係ありませんが、実際には、一次審査の足切りに使われています。
逆に言えばそれ以外には使ってはいけないはずですが、実際には無いわけではないと思います。
ひょっとしたら録音にして審査するほう匿名性が分かっていいのかもしれませんね。
そういうコンクールがあれば面白いですが、無理でしょうね。

シベリウスの協奏曲は今回2度聞きましたが、チャイコフスキーを2度聴くほうが多そうです。
できたらシューマンやってほしいですが、課題曲のリストにありませんでした(泣)。
彼らは聴衆の前で演奏するのが喜びなんだと思います。
聴くほうとしては、満員の大聴衆にしてあげたいと思っています。
そうしないと興行成り立たないわけですし。
芸術の世界に経済は無理なのかな?

生演奏を主とすれば、オーディオは箱庭で充分でしょう。
by MCAP-CR
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

最新の記事

趣味の違いは小異大異
at 2022-06-28 06:37
雑談
at 2022-06-27 06:15
何度も聴いて新しい発見
at 2022-06-25 16:34
自分の装置基準
at 2022-06-23 12:22
背中を見せる
at 2022-06-21 06:33
音源メディア
at 2022-06-21 06:30
ドミンゴは流石
at 2022-06-20 06:23
"サウンド変換"ソフトのバグか?
at 2022-06-19 10:43
パソコンのメンテナンス
at 2022-06-16 12:36
久しぶりにCDリッピング
at 2022-06-15 06:19
脳内補正
at 2022-06-14 06:23
まとめて聴くものではない
at 2022-06-13 06:21
パソコンの環境整備
at 2022-06-12 08:47
淡い期待が尽きる
at 2022-06-10 06:27
iPhone 壊れる
at 2022-06-08 06:40
オーディオ趣味の二極化
at 2022-06-08 06:39
小型コンピュータの修理(2)
at 2022-06-07 06:20
ケンプの録音を聴く
at 2022-06-06 06:18
小型パソコンの修理??
at 2022-06-05 16:01
回転ムラが気になる...
at 2022-05-31 06:23

以前の記事

2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月

最新のコメント

> muukuさん ピ..
by mcap-cr at 16:09
ピアノロールはオンオフで..
by muuku at 13:54
> muukuさん 以..
by mcap-cr at 10:53
車田さんの電子ピアノの話..
by muuku at 09:56
> rokuさん ご紹..
by mcap-cr at 12:23
>ひょっとしたら、自分が..
by roku at 07:38
> tincanさん ..
by mcap-cr at 12:43
キビシィー、ポスターの写..
by tincan at 11:23
> muukuさん い..
by mcap-cr at 12:13
> grigriさん ..
by mcap-cr at 12:07

最新のトラックバック

島谷技研
from 島谷技研
musica
from musica
明日9/24(月祝)はス..
from 集まれ塩ビ管スピーカー主宰 ..
美しい美宮殿装飾と世界屈..
from dezire_photo &..
年末自作スピーカー系イベント
from 集まれ塩ビ管スピーカー主宰 ..
究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
光と色彩を愛し生きる喜び..
from dezire_photo &..
新国立劇場バレエ団のソリ..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
日本初公開のルノワール絵..
from dezire_photo &..

検索

ファン

ブログジャンル

画像一覧

イラスト:まるめな