美味過ぎてはいけない

先日、新橋のあるビルで庶民的過ぎるがちょっと有名な洋食のオムライスを食べました。

そこは行列ができるのですが、その時間は待っている人が少かったので、2人目に並んでみました。

味は、．．．

不味くはない。

美味いには美味いがそんなに驚くほどではありません。

でも、それを頂いていて、美味過ぎないことの大切さを思いました。

私の自宅の近所には、いままでも、かなり美味い店がありました。

それは、とびきりの美味さでしたが、続きませんでした。

美味過ぎると、常時は利用できません。

それは決して価格の問題ではありません。

美味過ぎると、食べるのがもったいなくなってしまう。

だから、何かないとそこに行って食べようとは思わなくなります。

普段使いにはオーバースペックは適さない。

そんなところなのでしょう。

最初の新橋の洋食の話に戻ると、自分でも練習すればできそうな味でした。

すなわち、云ってみれば、自分のほうが上手に作れるかもしれない。

その程度のところをついているので、これだけ長く続けられるのでしょう。

美味過ぎないこと、これが継続していける秘訣なのではないかと思います。

こういうのは何でもそうです。

高価すぎるのもだめだし、品質が良すぎるものもだめです。

食器だって、高価過ぎずに、ほどほどのところで買い換えられるほうがいい。

肉のような素材だって、ひと手間加えて旨くなるもののほうがいい。

もつ煮込みとか牛筋肉が好まれるのもそんな理由でしょう。

ひょっとすると、クラシック音楽が好まれないのも良すぎるからかもしれません。

日常から離れた良さを追求するには、そういう環境がなければなりません。

私の場合は、クラシック音楽も日常に近い上野で聞けますが、それは近くに住んでいるからであって、遠くから聞きに来るには、日常的な感覚ではなくなるかもしれません。

結局、美味過ぎる、良すぎる、そういうものは、ほんの一握りしか残れないのかもしれません。