以前に気付いて最近集中して試験しているメカニカルマトリックスという方式が気に入ったので、不定期にまとめていこうと思います。
マトリックススピーカーという方式ができたのがいつかはよく分かりませんが、有名になったのは、長岡鉄男先生のMX-1からでしょう。
私もその記事を読んだときは是非とも聞いてみたいと思いました。
MX-1は、アンバランス接続のアンプを使い、左右の差信号を電気的に合成することで、中央にL+R、右にR-L、左にL-Rの信号を出す方式です。ここでは詳細を書きませんが、電気信号の状態で、差信号を合成することが味噌です。
しかし、以前主流だったアンバランス方式のアンプは現在はあまり多くないようで、高出力なバランス方式が主流となっているようです。
バランス方式のアンプで、マトリックス接続をするとアンプが壊れるということなので、MX-1をそのまま使うのにはアンプの知識が必要です。
とりあえず、この電気式マトリックス接続の方式をEMXと呼ぶことにします。
これに対してメカニカルマトリックス(MMX)方式は、差信号を空間で合成します。
しかも、差信号となる逆相音は、スピーカーユニットの背面から出ている信号を使うので、電気的に変わった接続をする必要はありません。
下記にMMXの原理図を示します。
![メカニカルマトリックスMMX[1]_a0246407_09271154.png](https://pds.exblog.jp/pds/1/202311/18/07/a0246407_09271154.png)
振動板の背面から出る逆相音(上の図で破線で描いた部分)が、反対側のスピーカーユニットの振動板を通して音が漏れてくる。これにより左右に勝手に差信号成分(左右それぞれL-RとR-L)が合成されてマトリックス効果が生まれる。
こういう、シンプルな原理です。
MMX自体はステレオ再生の最初期からあったろうと思います。
話題になった波動スピーカーというのも、MMXだったようです。
しかし、これがマトリックス方式として分類されることはなかったように思うので、私が勝手に命名しました。
私がMMX方式の効果に気付いたのは、下図のような作品(TYPE 1)を作ったのがきっかけです。
MMX-TYPE1
これは、MCAP-CRの実験機で、箱からホースでPETボトルの空気室につないでMCAP-CRを構成していました。
タモリクラブで鳴らしたものです。
聞こえ方が想像したのとちょっと違ったのですが最初は深く考えていませんでした。
ある日、これは、反対側の音が漏れているせいではないかと思いつき、メカニカルマトリックスと命名していましたが、作品はしばらく作っていませんでした。
そして今年のオフ会ネタとして作ってみたのが、下図の方式(TYPE 2)です。
MMX-TYPE2
スピーカーユニットに、FE206Eを使用して、その薄い振動板から反対側の逆相音を大きく漏れさせるということで、作ってみると、広い音場が拡がり唖然としました。
しかも、FE206Eの正面で聞かずに済むので、あの嫌な音の直撃も避けられるという二重のメリットを感じました。
そして、小型化を目指して、Stereo誌の付録ユニットP1000Kを使い、更にツィータを追加したのがMMX-2で、
![メカニカルマトリックスMMX[1]_a0246407_09203253.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202311/06/07/a0246407_09203253.jpg)
![メカニカルマトリックスMMX[1]_a0246407_09202778.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202311/06/07/a0246407_09202778.jpg)
MMX-TYPE2+tweeterこれも同じ効果が十分に出ているうえにツィーターの効果でなかなかいい音です(自己評価)。
これをいい部屋で知らない人に目隠しして聞かせれば市販品の高級機に差をつけられるだろうと思います(これも自己評価)。
MMX方式は無理をしていないので、音は至って自然で、作るのも簡単、『なんだ。これで良かったのか。』と拍子抜けすること間違いありません。
MMXは、自由に作れるので、下図の方式(TYPE 3)でもいいでしょう。
MMX-TYPE3
他にもいろいろなバリエーションがあるので、置き場所の都合やデザイン、好みに合わせて好きにつくることができます。
注意すべきは、なるべく振動板の軽いユニットを使うことでしょう。
音の漏れ量は、振動板の面密度が小さいほど大きいので、振動板の軽いユニットのほうが、理論的にMMX効果が大きくなります。
また、吸音材は使わないほうが良いでしょう。
MMX方式の場合、箱の方式は、バッフル単板や、後面開放の場合の効果は分かりませんが、基本的には自由で、バックロードでもバスレフでも問題ありません。
好適なのは、クラシック音楽のファンで、生演奏を聴く機会の多い人には特に適していると思います。
ポップス系はどうか?私はあまり聞かないのでよくわかりません。
MMXは、おおらかな方式なので、背面の音を聴くなんてとんでもない!という潔癖症の人には向かないでしょう。