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はこにわオーディオ工学研究分科会 (旧名: バスレフ研究所)

ブランド価値

先日、お宝何でも鑑定団という長寿番組を録画したものを見ていたら、オーディオアマニアの人が出ていました。
独力でオーディオを研究したら3千万円かけてしまったとのこと。
私よりさらに年配の方でした。
研究を重ねて三千万円か...
私とは全然違う研究結果ですが、そういうものなのでしょう。

古い話ですが、いまでもそうかもしれないのに、潤滑油のグレードの違いがあります。
潤滑油の缶にはグレードを示す☆マークがついていて、4つ星が上級グレードで5つ星が最上級グレードを表しています。
しかし、工場では、4つ星と5つ星を区別せずに、缶だけ変えていると聞いたことがあります。
自分で確認した訳ではないので、真偽の程は明らかではありませが、これは、潤滑油工場で働く方から直接伺ったことでした。

ウソのようなこの話には合理性があります。
管理する側にしてみれば、性能差に対するコスト差がそれなりにない限り、最上級の手前のグレードを最上級グレードに合わせてしまえば製造コストが下がります。
スペックのほとんど同じグレードをそれぞれの基準で管理するのはコストがかかります。
☆☆☆☆☆>☆☆☆☆よりも、☆☆☆☆☆=☆☆☆☆のほうが製造コストも品質管理コストもかからない。
販売側からすると、性能にゆとりを求める顧客のニーズに応えるためには、最上級グレードの製品が必要です。
こういうことがあっても全く不思議ではありません。

オーディオ製品もこれと似たことが昔からありました。
わざわざグレードの違いを出すために製造ラインを別に作るのはコストがかかります。
だから、部品や製造工程を共有化する。
結果として上位グレードも低位グレードも見た目以外は変わらない。
長岡先生は、再低位グレードが一番コスパが良いと書いていました。
私もこのことはよく感じます。

高級オーディオ趣味の客層の年代が高いことを考慮すると、高級機の高域側の周波数レンジ広げることに、技術的な意味はありません。
高域側のレンジを拡げるというのは、分解能を上げるということであり、それが人間に判別可能かどうかということを別にすると意味はあります。
また、出力性能を上げることに意味はありますが、高出力が必要なのは本当に一握りのマニアだけです。

庭が何百(千?)平米もあるような豪邸に住んでいるわけでもなく、音響対策をしていない一般住宅に居住するのなら、アンプの実出力は10W(8Ωで)もあれば、近隣問題を引き起こすのに十分な音響パワーを出すことができます。
もちろん、出力が2Ωの場合の表示とかチップのスペックを表示しただけとかのインチキ臭い性能表示の場合はこの限りではありませんが。

結局、高級であることを示すものはブランドくらいかもしれません。
ブランドバッグやブランド時計も同じようなものでしょう。
ブランド品のいいのは、リセールバリューが高いことでしょう。
高級時計なんか購入金額よりもリセール金額のほうが高かったりすることがあります。

私はそういうの苦手です。
義父の形見分けのRolexの時計も使っていますが、ゼンマイ式なので、使わないと止まるし、毎日数秒進みます(進んだり遅れたりしたり、常に遅れる側の誤差が嫌なので、若干進む側の誤差に設定してもらっている)。
Rolexは機械式としては驚くべき精度ですが、一般のクォーツ式は月に数秒しか狂わないし、電波式時計だと自動で時刻修正してくれるので、そちらのほうが工業的にはスペックがはるかに上です。

私の場合は、音楽会に行くとき以外はCASIOの電波式腕時計を使っています。
この時計にはいろいろな機能がありますが、使い方を覚えるのが面倒なので時刻表示機能以外使っていません。
しかし、音楽会に行くときは誤設定で音を鳴らしてしまうのが怖いので、ゼンマイ式のRolexを使います。
普段使っていないので、そのときだけネジを巻いて時刻を適当に合わせる。
ぴったり合わせても狂うので意味がありません。
つまり、自分にとってのRolexのメリットは、音が鳴らないことだけです。
でも、ムーティの演奏を聴きに行くときには使いました。

これは高級の証か?
低性能=高級、という事例でしかないでしょう。
ブランド時計はブランドバッグと同じで、性能が高い訳ではなく、ブランドに投資している。
嫌な言い方をすれば、見栄のための投資です。
確かにRolexはコストがかかります。
オーバーホールしたものをタダでもらったのに、オーバーホール代が高いので、いままでに、そこそこ高額なアンプが買えるくらいのオーバーホール代がかかっています(いま使っているデジタルアンプだと3桁台買える)。
CASIOの電波式腕時計何個買えるんだよ?
いや~、ばっかじゃね?
これ正直な本音です。

by mcap-cr | 2024-04-22 06:58 | オーディオ一般 | Trackback | Comments(0)

生演奏を主とすれば、オーディオは箱庭で充分でしょう。
by MCAP-CR

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