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カテゴリ:音楽・コンクール( 128 )

Music Dialogue室内楽塾 in 東京 2020ーファイナルコンサート

素晴らしかった!
前日にリハーサルを聴講した室内楽のファイナルコンサートを聴きました。
開場は同じ旧園田邸なので、満員でもそんなに数は入りませんが熱気でいっぱいになりました。

演奏順は、前日と違い、まずは
メンデルスゾーンのピアノ四重奏曲第2番ヘ短調作品2。
前日は、主題の引き継ぎ方や文化や民族的背景まで含めた作品の理解の仕方について指導を受けていましたが、本番では、そういう指導を全部自分のものにして、チーム一丸で音楽を奏でます。
それぞれが、他の奏者の状況に気を配りながら次々にパスを渡していきます。
いろいろと指導を多く受けていた小形さんのピアノも軽やかです。
小形さんは、最年少でまだ高校一年生なのですね。
今後も楽しみです。

次は、ブラームスの弦楽六重奏曲第一番変ロ長調作品18。
これが聴きたかった曲です。
特に第二楽章はヴィオラが美しく旋律を奏でます。
有冨萌々子さんのヴィオラは特に見事。
前日のリハーサルでは大山先生の指導がいちばん厳しかったですが、それを自分のものとして、先生の音を超えていきます。
いちばんいいところは弟子に渡す先生の心遣いも粋ですが、それに応える弟子のほうもまた見事。
途中で、楽器の固定具が外れてしまいヒヤヒヤしましたが、見事に切り抜けてくれました。
有冨さんのヴィオラの音に秘密には、こういう道具もありそうです。
ヴァイオリンの小林佳奈さんの音もメンデルスゾーンのときより更に活き活きと音楽になっていきます。
同じヴァイオリン同士の大塚百合菜さんとの間の受け渡しの妙も見事です。
チェロの佐古健一さんの音は、前日のリハーサルでも素晴らしかったのですが、仕上げの状態では、他の楽器との融合で更に艶をましています。
先生の金子鈴太郎さんとの協奏も素晴らしい。
いつまでも聴いていたかったです。

休憩を挟んで、最後は、ドヴォルザークのピアノ五重奏曲イ長調作品81。
実は、私はドヴォルザークのこの曲のCDは持っていませんでした。
何となくドヴォルザークとは波長が合わないような思い込みがありましたが、こうやって最高の演奏で聴くと、そういう偏狭な心持ちではいけないことが分かります。
全員が一丸となってドヴォルザークの思いを伝えてくれました。
最後は大盛り上がりのフィナーレです。

終わった後に、受講生の方々と講師の先生からコメントがありました。
日本では室内楽の人気が低いらしく、こういう機会はあまりないのだそうです。
皆さんは、この機会を通して、おそらくん年分を学んだようでした。
大山先生は、超人並の体力だと思っていましたが、さすがに最後はちょっと疲労していたように見えました。

こういう環境で聴く室内楽というのは、人生初めての経験でした。
ちょっと勿体無いですが、また、こういう環境でも聴いてみたいと思います。

皆さんお疲れ様でした。
よいひとときを有難うございました。


by mcap-cr | 2020-02-24 06:55 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

Music Dialogue室内楽塾 in 東京 2020ーリハーサル最終日

昨日、『面白そうなイベント』と題した記事で書いた、Music Dialogue室内楽塾 in 東京 2020(リンク)のリハーサル部を聴きに行ってきました。
場所は自由が丘にある旧園田高弘邸(現在は私邸のため非公開)の広間です。
広間は、40畳以上はありそうです。
演奏者部分は、天井が屋根の形状の斜面になっており、高いところで4m以上あるだろうと思います。
客席部分は、椅子を並べたものですが、特別に天井が高い訳ではありません。
ピアノが常設してありますが、オーディオルームとしても使われているようで、オーディオシステムも設置してありました。
この部屋であれば高級なシステムでも十分に実力を発揮できるだろうと思います。
場所は閑静な住宅街で、外の音はほとんど聞こえません。
とはいっても特別な防音設備がある訳ではなく、演奏の音は、外の道路でも聞こえました。
防音のオーディオルームを作るよりも広い空間で自然の減衰を活かし、かつ外が騒がしくないのは、オーディオマニアには垂涎の環境だろうと思います。

そういうオーディオのことはどうでもいいのですが、Music Dialogueは、音楽家の育成に尽力する一般社団法人で、塾長は、大山平一郎さんです。
大山さんは、ロサンゼルス・フィルの主席ヴィオラ奏者や副指揮者を務めていた人で、現在は、サンタバーバラ市のThe Lobro Chamber Music Projectの芸術監督などを務めています。
講師は、もう一名チェリストの金子鈴太郎さんで、国内外のコンクールで有償、入賞経験があり、国内のオーケストラで主席客演を務めるなどしている方です。

リハーサルの最初は、ブラームスの弦楽六重奏曲第一番変ロ長調作品18。
ヴァイオリンが大塚百合菜さんと小林佳奈さん、ビオラが塾長の大山平一郎さんと有冨萌々子さん、チェロが講師の金子鈴太郎さんと、佐古健一さんの6名で六重奏です。
生徒が重要なパートを弾きます。

大山平一郎さんは、生徒に、各パートのイメージを訪ねます。
『何を思うか?映画だったらどんなシーンか?』などなど。
音楽の設計図として図面がありますが、その設計図を施工図に落とし込んでいくのに近いでしょうか?
生徒は、答えるのが難しそうですが、自分のイメージを説明し、多少の修正も加えながらイメージに従って音符を解釈していきます。
そして、音量が変わるタイミングや、テンポの変更解釈など指示を出していきます。
各パートの役割と、主役の引き渡し方など、聴くだけの素人には分からないところです。
生徒の演奏を聞いていると見事に聞こえるのですが、講師は更に対話(Dialogue)を重ねて磨きをかけていきます。
技巧的な部分や音は、生徒のほうがむしろいい感じに聞こえるのですが、細かい部分(講師にとっては大きな部分)にダメなところがあるのだそうです。
生徒は、指摘された部分を譜面に書き込んでいきます。
途中で、講師が生徒に、そこはピアノかピアニッシモか、というようなところを尋ねると、譜面の版が違っていて一致しないようなところもありました。
こういうところは、プロでならではのこだわりで発見してしまいます。
11時から13時までの予定でしたが結局13時半までかかりました。

次は昼食休憩を挟んで、メンデルスゾーンのピアノ四重奏曲第2番ヘ短調作品2。
塾長の大山さんがヴィオラ、ヴァイオリンが小林佳奈さん、チェロが佐古健一さん、ピアノが小形然さんです。
今度は、連続して演奏していきます。
ピアノがあるほうが合わせやすいのかもしれませんが、よくわかりません。
順調に終わるのかと思うと、そうではなく、更に磨きを掛けられていきます。
ちょっと変な質問もありました。
『ユダヤ人だけの国はどこか?』
メンデルスゾーンはユダヤ人なので、そういうユダヤ人としてのある種の特性があるのでしょうか?
もちろん文化や民族としての特性と音楽性との関係はあるのでしょうが自分にはよく分かりません。
ブラームスのときと同じようにイメージを大切にすると、民族や文化の特性まで理解しなければならないのでしょう。
途中、ピアノに対しても多く指導が入りました。
そこは右手で全部弾くとか、音が省略されている、とか、専門的な指摘になると、私の頭の中はグルグルです。
この部屋は、外部から採光されるようになっているのですが、途中急に日差しが強くなることがありました。
すると、障子に外の木の影が映ってまるで屏風絵のようになりました。
そこに譜面めくりをしていた有冨さんにいい感じで逆光があたって、屏風がに美人画を加えたような瞬間がありました。
もちろん本人はそんなことは思っていなかったでしょうけど。
話を戻すと、メンデルスゾーンは順調に進んで予定より早い1時間半ほどで完了しました。
完了後も小林佳奈さんはずっと自分のパートのイメージを復習していました。

最後は、ドヴォルザークのピアノ五重奏曲イ長調作品81です。
ヴァイオリンは、福田麻子さんと大塚百合菜さん、チェロは佐古健一さん、ピアノが平間今日志郎さん、そして、ヴィオラが塾長の大山平一郎さんです。
予定を切り上げて始めたので、最初は福田さんがいない状態で第二楽章から始めました。
福田さんは、時間ピッタリに加わって、いきなり途中から弾き始めました。
調弦もせずに凄いです。
やっぱりこういう方々は、自己研鑽の程度が半端ありません。
みなさん見事なのですが、そこにも指導が入り、磨きをかけていきます。
塾長はずっと出っぱなしですが、べつにどうっていうことはありません。
指揮者の小林研一郎さん同様超人っぽいです。

最後は、聴講者は自分の他は3名になっていました。
自分のような素人がそういう場にいるというのはいささか場違いでしたが、聞いているだけでいいのでそういう意味ではなんとか最後まで聴ききることができました。

素人の考えなんかどうでもいいのですが、レッスンのリハーサルを聴いていていろいろと想像していました。
生徒さんは、いろいろな先生からいろいろな指導を受け、違うことを云われる場合もあるのでしょう。
しかし、さらに活動を続けていけば、違うと思えた指導が根は同じと思える日がくるのかもしれません。
それと、音楽については、自分は、イメージの解釈を聞き手に任せる感じの演奏が好きです。
でもそういう演奏をするのは難しいのだろうと想像します。

今日は、本番のファイナルコンサートで成果を聴かせてくれるはずです。
楽しみにしています。

by mcap-cr | 2020-02-23 07:08 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

面白そうなイベント

昨日、アマゾンに注文してあった書籍が届きました。
置き配で、宅配便ボックスを指定しておいたら、ちゃんと宅配ボックスに入れてくれました。
郵便受けにも入るサイズだったので、郵便受けでも良かったのですけど。
アマゾンは無駄に大きく梱包してくるので、郵便受けには入らないことが多いですが、書籍の梱包は最低限にしたようです。
次は、プリンタのトナーの配達があるので、どうなるか様子見です。

このところ、新型肺炎の予防のためにマスクを求める人が多く、買い占め、転売という輩も多くいるとか。
転売は、経済の法則に合致しているとはいえるのですが、他人の健康を盾にとって金儲けというのはいけません。
こういうのは、世界的に禁止になければなりませんよね。

話は違いますが、Twitterで室内楽塾in東京というイベントを見付けました。
下記がリンクです。
このなかで特に興味深いのがレッスンの聴講です。
リハーサルを聞くことができるそうです。
演奏家の皆さんはどうやって完成度を上げていくのか、それを全部公開するとは、新しい音楽の楽しみ方に挑戦しているのかもしれません。
過程を楽しむのというのは、趣味の王道でもあることですし。


by mcap-cr | 2020-02-06 05:45 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(2)

音楽の友を買ってみた

先日、音楽の友社主催のStereo誌の自作スピーカーコンテスト表彰式を聞きに行っていろいろと考えてしまいました。
衰退するオーディオ趣味のそのまた一部マニアを読者とするStereo誌は、少しずつ回復基調にあるようです。
ということは、メインである、音楽の友誌の販売が芳しくないのではないかと思いました。
これは、応援するしかなさそうです。
ということで、音楽の友誌を買ってみました。

ページをめくってみると、最近話題(これから話題になるものを含む)の音楽家や演奏会の情報が載っています。
また、全国での音楽会の情報が別冊の付録になっています。
この情報には、主催者の申告分を含んでいるので、簡単には得られなそうな演奏会情報も見ることができます。
インターネットで情報を探すにしても、これから探すものを決めなければ情報を得られるとは限りません。
こういう雑誌として情報がまとまっていれば、それなりのガイドラインになりますね。
私の場合は、音楽を自分の知る範囲の情報と感性で選んでいますから、いまなにが話題なのかよくわかりません。
こういう雑誌を購読すると、もう少しトレンドが見えてきそうです。

昔の記憶に遡ると、音楽の友社で、『週間FM』という隔週雑誌を発刊しており、そこには、音楽情報とオーディオ情報の両方が出ていました。
いまは、オーディオと音楽とを分けているようで、それっていいことなのか、ちょっと疑問になりました。
もう少し読者層をクロスオーバーさせる方法はないのでしょうか。
なかなかいい方法が思い当たりません。



by mcap-cr | 2020-01-31 05:32 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

上野deクラシック-原裕子とジェイコブ・ケラーマン

今日は、Stereo誌の自作コンテスト表彰式ですね。
私は、そんなに興味がある訳ではないのですが、その後の飲み会が楽しみです...

昨晩は、東京文化会館小ホールまで、原裕子さんのヴィオラとジェイコブ・ケラーマンのギターによるコンサートに行きましした。
原裕子さんは、第5回東京音楽コンクールの弦楽部門で二位を獲得しています。
入賞者に対しては、主催者が、コンサートの機会を提供してくれるので、その一環のイベントです。
昨年の東京音楽コンクールがもう第17回だったので、12年も前の入賞者です。
プロファイルを拝見すると、現在は、ヨーロッパを活動拠点にして活躍されているようです。

ヴィオラといえば、忘れられないのが、一昨年の弦楽部門の有冨萌々子さんです(二次予選の記事)。
有冨さんが、ヴィオラの凄さを聞かせてくれてから、ヴィオラに注目するようになりました。
ヴィオラはオーケストラの中では地味な存在で、音域が他の楽器と被るので、全体が鳴っている中でヴィオラ部分だけ抽出して聴くことはなかなかできません。
しかし、単独演奏や小編成となると別で、その魅力を聞かせてくれる楽器です。

曲目は、前半が、ペルト作曲のフラトレスから。
弓の先端部分を使った高音の繰り返し連続音から始まります。
擦弦楽器の場合、弓の先端部分を使うのと、中間部分を使うのとでは、音が結構違います。
胴の共鳴音に対しては、違わないものでも、元となる擦過音が違うとかなり違って聞こえます。
それと、フラジオレットを多用した表現になっています。
フラジオレットは、左手の指をしっかり抑えずに軽く触るようにして、弦の共振をコントロールするものですが、これって教わる初期の段階で苦しんだりする技巧のひとつです。
かすかに触るのと安定して維持する、しかも右手を安定して動かす...
才能のない子どもたちは、このあたりで苦労したりします。

二曲目の、ブリテン作曲(ケラーマン編曲)のラクリメ〜ダウランドの投影、は更に技巧的に難しくなっていて、ダブルフラジオレットを多用しています。
ダブルフラジオレットは、パガニーニが編み出した技法らしく、二弦同時にフラジオレットで鳴らします。
単弦のフラジオレットでさえ難しいので、才能溢れない人が使うことはない奏法でしょう。
前半の二曲は、ちょっと現代音楽っぽくて難しい感じがしました。

ギターのケラーマンさんは、話すことはなかったのですが、原さんが調弦中に少し解説してくれました。
ピアノは高価なので、資金的にゆとりのない作曲家はピアノの代りにギターを使うそうです。
しかし、曲によっては調弦を少しずらして演奏可能にするなど、難しい技法があるものですね。

ギターは音量の小さい楽器なので、どう聞こえるか気になっていましたが、小さなPAを控えめに使っていました。
PAの音が良かったので、不自然さは全然感じませんでした。
クラシックギターの音は、ちょっとほっとするところがあり、優しい音色にほっとしますね。

後半は、シューベルト作曲ケラーマン編曲のアルペジオーネ・ソナタです。
ふつうの名曲になってちょっとほっとしました。
私の席からはケラーマンさんは見にくかったのですが、原さんはほぼ正面から見えました。
原さんは、藝大で有冨さんの先輩にあたります。
有冨さんとは演奏スタイルが違っていて、音楽に対してはグリグリと遠慮なく詰めていく感じです。
激しい表現が多く、座位でも体を大きく動かす演奏スタイルです。
ときには、つま先が上を向いてしまうことがあり、脚が攣ったら大変だと心配してしまいましたが、普段から鍛錬している方にはそういう心配は無用なのでしょう。
立位で演奏するほうが良かったように見えましたが、ギターと同等の高さを保持したかったのかもしれません。
演奏する様は大演奏家のように見えました。
ヴィオラは、こういうスタイルでも素晴らしいし、有冨さんのように徹底して響かせる、聴かせる、というスタイルも素晴らしいと思います。
東京音楽コンクールが原さんのプロとしての出発点になったのかわかりませんが、私が聴いてきた方たちもこうして自分のスタイルに磨きをかけて、国内外で活躍されることを期待しています。

ところで、このヴィオラという楽器の名前が気になったので調べてみました。

violaは、イタリア語では女性名詞
ヴァイオリンは、イタリア語で、violinoです。
男性名詞ですが、viola(女)のちびっこ(男)という感じの言葉でしょうか。
チェロは同じくイタリア語で、violoncello(男性名詞)。
コントラバスは、同じくイタリア語でcontrabbasso(男性名詞)。
violaだけ女性名詞です。
でもviolinoは、子供っぽい感じの男性名詞なので、母子という感じなのかもしれません。
子供ほどピーピーしていないしっとりと優しい感じというのがヴィオラなのでしょうか?
どうでもいいことですが考えてしまいました。


by mcap-cr | 2020-01-18 09:27 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

自分の限界

先日、東京音楽大学(TCM)の作曲・編曲作品発表会(記事)を聴いていて考えました。
それは、聴いている自分の能力不足は永遠について回るということです。
自分から見れば、TCMの学生さんたちのパフォーマンスはこれ以上ないくらい見事です。
作曲作品だって、有名な作曲家の作品とどちらが凄いのかわかりません。
編曲に至っては、プロの放送作曲家と比較してああだこうだいうのが困難なくらいの出来栄えです。
しかし、それは、本質を知った人から見ると違うのかも知れません。
なにしろ自分は、高いところにあるものを地べたから見ているのと同じです。
本質を知った専門家は、同じものを俯瞰して見られるのですから、別な見え方があります。
そうしていろいろな角度から見た評価と、ひとつの側面だけの評価とでは全く違って当然です。
私は、素直に素晴らしさを受け入れましたが、ど素人の私よりもうちょっとマシな素人だったら違う評価になるのでしょう。
つまり、自分の評価は、限られた条件の中の一面的な評価に過ぎません。
そんな人がああだこうだ云ってみてそこにどのような価値があるのか...
これって、根本的な問題であり、哲学的な課題でもあります。
こういう相対的な意見が絶対ではないからと云ってすべてを否定してしまうと、世の中にあるほぼすべてを否定しなければなりません。
残念ながら全知全能の神に匹敵する人はいません。
私のようなど素人であっても、素晴らしい演奏家と比較して全然違う側面なら多少マシなこともあるでしょう。
ひょっとしたら、そういうマシなことが、別の側面を評価しているということもあり得ます。
例えば、私は、音楽を聴いているといいながらも、音を聴いているほうが支配的で、流れの中での音響の工夫には気付かないが、単なる音響と音響に関する心理については、音楽家の方々が意識していないことを評価しているなんていうこともあるのかもしれません。
そういう風に考えなければ、自分の存在自体が無価値になってしまいます。
一応、価値のない人はいない、と考えておきましょう。

音響的なことです思ったことを書きます。
TCMのA館にある100周年記念ホールは、座席こそ806ですがが、どの席でもよく聴くことができ、音響的にも素晴らしいホールです。
藝大奏楽堂よりも少し小さいですが、806名埋まればそこそこの演奏会ができます。
今回は、聴衆が100名いたかどうかだったので、残響時間が短くならずに音響的には恵まれていました。
特に美しいと思ったのは高音楽器の音でした。
側面から素直に反射してくる音響は、方向感を惑わせますが、音楽に包まれる効果があります。
私が求めている、オーディオでも音響に包まれる感覚は、まさにこのホールの音響を目指したものです。
このホールの壁は、あまり凝った反射パネルの形状ではなかったので、音が素直に反射するのだと思います。
私が感じる好ましい音のホールは、さほど凝ったパネルで囲まれている訳ではありません。
それでも、座席の効果などで、適当に吸音されるし、定在波があっても超低音で気にならないので、こういう広い空間には音響パネルはさほど必要ないのかもしれません。
オーケストラの低音については、やはり33Hzくらいまでしか感じませんでした。
感じたのは大太鼓の響きだけです。
オーケストラの構成変更のときにスタッフが集まって楽器や機材を移動していましたが、おそらくこのときの床音には、もっと低い周波数があったものと思います。
耳で知覚できたという訳ではなく、皮膚や内蔵などでそういう振動を感じました。
音楽用周波数としては、やはりほとんどの場合に33Hzの法則が成り立ちそうです。

キラキラとした高音は、反射によって方向感が分からなくなり、低音も同様に方向感覚を惑わせます。
しかし、ティンパニーの皮を叩く音は、中音以上の周波数も含むので、方向感は惑わされません。
視覚で感じた方向から音が聞こえてきました。

オーディオだったら、目指すのはこういうホールの音響だろうと思います。
録音そのものに間接音が多すぎると部屋の残響によってモヤモヤになりますが、適度に音響が録音されたソースであれば、部屋の響きを付加してちょうど良い感じになるでしょう。
それでも、高域は、指向性が強いので、全方向に音波を発する楽器のように再生するには、メーカー製の3ウェイ等ではこうはいきません。
ホールの音響を再現したいのであれば、自作スピーカーシステムを導入せざるを得ないでしょう。


by mcap-cr | 2020-01-15 05:55 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(2)

第17回東京音楽コンクール優勝者&最上位入賞者コンサート

昨日は、昨年の最上位入賞者コンサートを聴きました。
座席は売り切れだったそうですが、早いうちにチケット購入してあったので、センターのいいポジションを確保できました。

まず、最初は、フルートの瀧本実里さんです。

ロドリーゴ パストラル協奏曲
フルートの忙しい小編成の協奏曲で、フルート以外の管楽器も対話しながら曲が進みます。
1970年台の作曲だそうで、現代音楽とはちょっと違う分野の曲ですが、私のような素人には少し難しい、気を失わせる曲でした。
周囲の人も結構気を失っていました。
速くて忙しいパッセージが続くのを難なくこなすのは見事でした。
昨年は、管楽器は二次予選も本選も聞けなかったのが残念でした。

テノールの工藤和真さんが続きます。
工藤さんは、私東京音楽コンクールをが聴き始めて以来最高のテノールだと思います。
それでも、審査結果は一位なしの二位ということで、聴衆の不評を買っていました。
今回のは、四曲を謳ってくれました。

ヴェルディ:仮面舞踏会から『永久に君を失えば』
プッチーニ:ラ・ボエームから『冷たき手を』
マスカーニ:カヴァレリア・ルスチカーナから『母さん、あの酒は強いね』
プッチーニ:トゥーランドットから『誰も寝てはならぬ』

甘い声から天に届くような声。
聴衆も興奮して聴いているのが分かります。
ラ・ボエームを聴いて、甘酸っぱい回想を舌人もいたことでしょう。
工藤さんは、今後も大活躍してくれると思います。
そうでないと聞けませんから。

休憩を挟んで、ピアノの秋山紗穂さんです。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
音をひとつひとつ念入りに区切るように始まっていきました。
この曲は、お気に入りのひとつだそうです。
聴いていてハラハラ・ドキドキという展開ではなく正統的に音を刻んでいきます。
見事でした。
それと秋山さんの特筆すべき点は、お辞儀の美しさです。
手が膝まで届くほど深々と長めに頭を下げる。
日本のお辞儀の美しさを海外にも広めてほしいと思います。
いまは、マスコミに先導されてヘンテコなお辞儀をする人が増えましたが、やはり日本古来のお辞儀は美しい。
音楽とは関係ないのですが、きっと素晴らしい環境で育ってきたのでしょう。

この最上位入賞者コンサートに出られなかった方たちも、大成功して、また、東京文化会館に戻ってきてほしいと思います。
皆さん、どうも有難うございました。

by mcap-cr | 2020-01-14 06:12 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

TCMオーケストラ作品発表会

昨日は、早朝から」レンタカーを借りて千葉でひとしごとでした。
予定は順調に終わり、渋滞にもほとんど当たらなかったので午後4時過ぎには戻ることができました。

諦めていた、東京音楽大学のイベントがあるのを思い出し、開演時間を見ると、18時30分。
間に合いそうなのででかけて聞いてきました。

予定があるので聞けないだろうと思っていたので、演目などは確認していませんでしたが、とにかく聴くしかありません。
東京音楽大学のJ館スタジオには2度行ったことがありますが、雑司が谷駅に行くのが大変なので、昨日は池袋から歩きました。
途中道を間違えましたが、わかるところに出たので、そのままたどり着くことができました。
今回は、A館のホールです。
むむむ...立派です。
そして、自分のような年寄りは全然おらず、部外者感が半端ありません。
J館スタジオで聞いたときには、一般の人たちが多かったのですが、今回は、そんなに一般に人は来ていないようです。
18:30開演なので18時には会場だろうと想定していましたが、ホールに入れたのは開演の少し前でした。
ホールに入ってまたびっくり。
藝大奏楽堂と比べても遜色ありません。
音楽大学には縁がありませんでしたが、すごいんですね。

今回は、111 ORCHESTRA(トリプルワンオーケストラ)のツィートから情報を得ていたので、111 ORCHESTRAのイベントだと思っていました。
指揮は、岡本陸さん、コンサートミストレスは、松川葉月さんです。
コンサートマスターという用語は男性限定だったようです。
知りませんでした。

内容は、学生の作曲・編曲の発表です。
東京音楽大学には、作曲芸術、映画・放送音楽コース、コンポーザー=ピアニストコースなどがあるそうです。
作曲芸術コースは、いわゆる現代音楽の技法を学び、映画・放送音楽コースは、商業音楽を学ぶそうです。
コンポーザー=ピアニストコースは、イメージがあまり湧きませんでした。


作曲芸術コース専攻の佐藤奈都さん作曲の"Sonorus"
管楽と打楽器中心のダイナミックな曲で、現代音楽らしさも入ります。
いい曲だと思いました。

次の三名は、ドビュッシーのピアノ曲のオーケストラ編曲です。
3名とも映画・放送音楽コースです。
中町友洋さん"Prelude"
中井伶⾹さん"Clair de lune"
澤⽥佳歩さん"Deux Arabesques 1"

どの編曲もプロの作曲家の作品のようでした。
聞いていて感じたのは、ドビュッシーの作曲のイメージに方向性を与えているということです。
これは、おそらく意図してそうしているのでしょう。
たとえば、『月の光』は、ピアノの原曲では、月の光のイメージはあるもののそれがどういう状況であるかは、聴く人任せのように色を付けずに作曲されているように思います。
編曲された方は、そこに具体的なイメージを加えて方向性を付けています。
具体的なイメージは、聴いている人の記憶にある共通のもの。
わくわくするようなファンタジックなイメージ。
ディズニーのアニメを見るような感じです。
これは、映画・放送音楽コースの目指す方向性なのかもしれません。

同じく映画・放送横内⽇菜⼦さん"Polaris"
ご自身の田舎のイメージにチェレスタでキラキラ感を付加したそうです。
聴いていて心地よいですが、芸術的なイメージを感じました。

作曲芸術コースの赤澤凜太郎さん『黙字録〜7つのラッパの響き』
聖書の題材を音楽にした作品です。
聖書の重みを持たせた曲でした。
大太鼓の低音で精神的な圧迫を持たせるという方向性ではなく、曲想で導くところが見事だと思いました。

コンポーザー=ピアニストコースの湧上哉樹さん『ピアノ協奏曲』
今回の作品の中では最長の15分ほどの作品です。
ピアノソロは、作曲家本人による自演。
ちょっと現代音楽っぽいですが、やり過ぎではなく、聴いていていい感じです。
ソロの演奏も見事でした。

映画・放送音楽コースの後藤沙希乃さん『ヴィオラ協奏曲』
ソロは、粟國朝陽さん。
オーケストラ曲を作曲したくて主題部をヴィオラにしたそうですが、指導の先生の助言で協奏曲に変更したそうです。
粟國さんは、ドイツ留学中で、前日に帰国したそうでう。
姿勢も格好良く演奏も見事でした。
曲は、これから続きが出来そうです。

オーケストラの皆さんも昨年3月の第1回から更に磨きがかかった感じです。
岡本陸さんの指揮もスムーズな動きになってきました。

途中、岡本さんによる、作者へのインタビューがありました。
皆さん、学生ということもあって苦心したところを説明されるのですが、もう少し情熱を語ると私のような素人にも一般受けしやすくなるだろうと思います。

今回のイベントは、聴衆がすくないのが気になりました。
数えていませんが、オーケストラの人員より少し多いくらいでしょうか。
J館のイベントに並んだ方たちにも聴いていただきたかったと思います。

東京音楽大学の皆さん、これからも期待しています。
有難うございました。
by mcap-cr | 2020-01-10 06:51 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

昨年の音楽経験を総括してみた

こういう総括は、たいてい年内にするものなのですが、昨年も大晦日に『ベートーヴェンは凄い』で、ベートーヴェンの交響曲を全曲聴き、そして年が明けました。

それを無視して総括するのは気に入らないので、年が明けてから総括してみました。
タイトルに『経験』と入れたように個人的な経験だけなので、全然一般的ではありません。
聴いていなかったのは知らないのでしょうがなく、好き勝手に総括してみました。

ブログ記事に書いてあるだけでもかなりの数になりました。
この他にも上野deクラシック、で種谷さんのソプラノを聴いたのですが、書くのを失念していました。

以下ブログ記事からの抜粋です(新しいものが上)。

ベート−ヴェンは凄い!2019年末の大イベント
東京音楽大学オペラ研究サークルを聴きました
上野deクラシックVol.34聴きました
東京藝術大学ランチタイムコンサート2019(表参道)
オペラ『泣いた赤鬼』
ロイヤル・オペラのオテロ
ロイヤル・オペラのファウスト
有冨萌々子ヴィオラリサイタル
第17回東京音楽コンクール 声楽部門本選
東京音楽コンクール第17回ピアノ部門本選
第17回東京音楽コンクール声楽部門二次予選
第17回東京音楽コンクール第2次予選ピアノ部門
TBSK Festival2019に行ってきた
台湾フィルハーモニック東京公演
2018年ピティナ・ピアノコンペティション特級入賞者コンサート
ワシリー・シナイスキー指揮新日本フィル
藝大フィルハーモニア管弦楽団定期 - 新卒業生紹介演奏会
東京芸術劇場でオルガンを聴く
東京藝大・同声会新人演奏会
初めての現代音楽
ブリン・ターフェル(バス・バリトン)リサイタル
ワレフスカ チェロ・リサイタル
とっても良かった111 Orchestra 第一回演奏会
有冨萌々子・上田実季デュオリサイタル(2)
有冨萌々子・上田実季デュオリサイタル(1)
東京音楽コンクール第16回優勝者コンサート(2)
東京音楽コンクール第16回優勝者コンサート(1)
上野 de クラシック Vol.24
有田正広&上原彩子~バロックからモダンへ~

生演奏だけでずいぶんいろいろ聴いていました。

ブログに書いていないと忘れてしまいます。
ブログは、個人で勝手に好き放題書き綴るという使い方をしていますが、個人的なメモでもあります。

こうやってタイトルだけでも眺めていると、そのときの経験を思い出します。
そして、ひと粒で二度も三度も美味しく味わえるのがブログの個人的メリットなのだと思います。

自分の場合、印象に残るのは、チケット代金が高い演奏会、という訳ではないようです。
自分の価値観を持ててよかったと胸をなでおろしました。

時系列に書くと、印象の強かったのは、
まず、有冨萌々子さんと上田実季さんのデュオリサイタル。
発表会色が強かったのですが、共に名手なのですから、プロのように振る舞っても良かったと思います。

つぎに、111Orchestra。
東京音楽大学で発足したアマチュア・オーケストラの初回公演ですが、全力投球感が強く感じられました。
大田糸音さんのピアノは、今回はよくリハーサルが行き届いていたらしくよくまとまっていましたが、前年の東京音楽コンクール本番のときの、オーケストラが合わせてくれないなか、黙々と自分の音楽を奏でたときにほうが強く印象に残っています。
コンサートマスターの関朋岳さんは、プレで聞かせてくれた弦楽四重奏で抜群に存在感を出していました。
また、コンサートマスターの役割では、堂に入っていて、ソロよりもむしろオーケストラの中で力を発揮するのかもしれません。

ブリン・ターフェル
さすがの一流バリトンでした。
歌唱だけでなく、振る舞いも抜群でした。

藝大で聴いた現代音楽
何だかよく分からないながら最後まで聴いた現代音楽は、不思議な記憶で、不思議な体験でした。
ここまでよくやったと思います。
何だかわからないのに凄いというまことに不思議な体験でした。

東京藝大・同声会新人演奏会
藝大の優秀な卒業生は、やっぱり優秀でした。
川崎摩耶さんの弾いた矢代秋雄のピアノ・ソナタは作品の魅力を引き出していました。
北川千紗さんのヴァイオリンは、中学生のとき、これ以上は無理だろう、と思っていたのを見事に覆し、圧倒的な魅力を聞かせてくれました。
才能+努力でどこまでもいくのだということを証明してくれたのだと思います。
午後から夜までの長い演奏会でしたが満足でした。

藝大フィルハーモニア管弦楽団定期 - 新卒業生紹介演奏会
卒業生の中で小野田健太さんの作品、神成大輝さんの指揮、京増修史さんのピアノ、栗原壱成さんのヴァイオリンが特に凄いと思いました。
そして、オーケストラも指揮者の山下一史さんも抜群でした。
長いコンサートでしたが、最後まで集中力を切らせずに聴くことができました。
藝大の底力を感じさせてくれました。
来年もまたいきたいと思います。

PTNA入賞者コンサート
この日、上田実季さんの演目がベートーヴェンのソナタに変更になっていました。
それが、今までに聴いたことのない新鮮な印象を与えてくれました。
ベートーヴェンは、やはり偉大。
時代を100年も先取りしていたのでした。
上田さんの演奏を聞かなければ分からない発見でした。
上田さん凄すぎる。
素人の私は、上田さんが現代最高のベートーヴェン奏者になると予言します。
優勝者を含む他の2名の奏者を圧倒していました。

第17回東京音楽コンクール第2次予選ピアノ部門
午前中に始まって、夜の8時まで恐ろしく長い演奏会でした。
皆さん、それぞれの個性を存分に発揮して、レベルの高さを証明してくれました。
これだけで1年分のピアノを聴いた気がします。

東京音楽コンクール第17回ピアノ部門本選
一位にはなれませんでしたが、北村明日人さんのシューマンは心を打ち砕いてくれました。
以前に優勝者コンサートで聴いたときとは別な曲に聞こえるほど。
シューマンのピアノ協奏曲がこんなにいい曲だったなんて!
これでも一位になれないとは厳しすぎる!

第17回東京音楽コンクール 声楽部門本選
工藤さんのテノールは一位間違いなし、という実力を聞かせてくれました。
しかし、なんと一位なしの二位。
こういう審査員嫌いです。
三位以内には入らなかったものの小川栞菜さん、素晴らしかった。
次に聴ける機会をツィッターで探しています。

有冨萌々子ヴィオラリサイタル
上田実季さんとのデュオでのリサイタルです。
お二方共、抜群の実力です。
有冨さんは、私が持っていた、演奏家との距離感を縮めてくれた特別な人です。
次はウィーンで聴きたいと思います。
その前に修了して帰国しちゃうかなあ?
ウィーン国立音楽大学でも奨学生に選出されたそうなので、あちらで演奏活動を続けられるよう心の中で応援しています。
今後はさらに本場の超一流オーケストラやソロで活躍してください。
上田さんは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音するのを心待ちにしています。

ロイヤル・オペラのファウスト
おそらく自分が最も好きだろう曲を最も素晴らしい演奏で演じてくれました。
しかも、バレエ部分も省略なし!
こんな演奏が引っ越し公演で聴けるとは思いませんでした。
まさしく世界最高だろうと思います。

東京音楽大学オペラ研究サークル
ロイヤル・オペラの興奮冷めやらぬ間に聴きました。
学生の研究で、足りないところがないとはいいません。
しかし、見事に、自分のツボを突きまくってくれました。
日頃から思っている、舞台設備は本質ではない、という思いを強くしてくれました。
たとえ不足があろうとも、情熱に勝るものはないと思います。
そうした情熱が伝わって、会場で同じ空気を吸って、思いをひとつにできた経験は忘れられません。
無料の公演でしたが、お金を払っても聴きたい。
高価な一流公演でも、こういう思いはできるものではありません。
昨年の音楽経験では、最高のものになりました。

ファン・ディエゴ・フローレス(テノール)
前回ボローニャ歌劇場の公演では出演キャンセルだったので、本当に10年ぶりくらいに聴きました。
指揮者もオーケストラもじっくりと演奏してくれて、フローレスの声も抜群でした。
アンコールの弾き語りも最高でした。

もともとオーディオ趣味がきっかけだったところもありますが、結局は音楽がMasterでオーディオはSlaveの関係です。
この主従が逆転してしまったのがオーディオマニアだと思います。
オーディオは、好きな音楽を聴きたいときに聴ける、という絶対的なメリットがあります。
音楽会のほうは、期待に反して凄いものを聴いてしまった、というのがメリットなのかもしれません。
今年もいろいろと聴けるといいなあ。


by mcap-cr | 2020-01-04 07:25 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

ベート−ヴェンは凄い!2019年末の大イベント

もう年が明けてしまいましたが、昨年も小林研一郎指揮岩城宏之メモリアルオーケストラのベートーヴェン交響曲全曲演奏階で一年を締めくくることができました。
演奏会の最後のもう年が明けてから、小林研一郎先生の体調に異変があったことを伺いました。
前日の午前二時に鼻血が止まらなくなって救急車で運ばれたそうです。
6時間も止まらなかったということでした。
当日は、お医者様の2名控えで来られたとのことでした。
人望が厚いのですね。
でも、そのお話を聞かなければわからないほどの熱演でした。
初詣のときには、小林研一郎先生のご健康をお祈りしました。

今回は、座席がステージに向かって左側端の、ステージに近い場所でした。
ステージの中央がかなり右に見える位置でクビが痛くなりました。
右前方のご婦人の背が高かったので、コンサートマスターの位置は見えませんでしたが、指揮者の位置は右目で見えました。
前回は一番うしろのほうでしたが、今回はステージに近かったので、ヴァイオリン奏者がよく見えました。
コンサートマスター以外は、ポジションを曲ごとに変えながらの演奏でした。

今回は、わりとおとなしい感じのしっとりした演奏でしたが、第4交響曲が始まると、いきなりオーケストラの音が厚くなったように感じました。
自分の体調の変化かもしれないし、気のせいなのでしょう。
全体では、そういうことはなく、小林研一郎先生のそのときの最高の演奏でした。
今回聴いていて感じたのは、ベート−ヴェンは、二番までは、管楽器を主役に組み立てているのかなということでした。
もちろん弦楽器もしっかりと加わっていますが、木管楽器が重要な役目を果たすよう作曲されているように思いました。
第4番は、弦楽器を厚く載せてくる曲想に変わった気がしました。
第4番は、私の好きな曲のひとつで、目立ちませんが、いい曲なんです。
それを、すばらしく演奏してくださいました。

第5番のおなじみ運命では、小林先生の登場から、曲の一部になっています。
他の曲ではにこやかに登場して、オーケストラにうやうやしく一礼してからはじまるのですが、第5番のときは、シビアな感じで頭を下げてからはじまりました。
全曲を通して緊張感を維持したままフィナーレまで突っ走りました。

第7番は、小林先生のお得意曲だと思います。
他ではまず聴けない盛り上がり、会場の声援もそれまでで最高でした。

第8番は、ベートーヴェン本人のお気に入りだそうです。
人気はいまひとつですが、管楽、弦楽の絶妙な配合は、作曲家の努力を感じさせる逸品だと思いました。

第9番は、全体で七十数分の演奏でした。
現代ではすこしゆっくりめの演奏かもしれません。
小細工一切なしの正統派という感じで、独唱者の登場もポジションも地味でした。
独唱者は、第2楽章が終わった後、左からおとなしく入場し、ポジションも左端で、奥行き前後方向ではオーケストラの真ん中くらいです。
昨年はこうじゃなかったような気がしますが、記憶が曖昧です。
最後はその日最高の大歓声でした。

今年感じたのは、ベートーヴェンの全交響曲の連続演奏会といいながらも毎年違う味を聞かせてくれるということでした。
全く同じになるはずはありませんが、新しい発見がありました。
おそらく小林先生本人ももう今年で御年80年になりますが、新しい発見があるのでしょう。
今回私が気付いたのは、全曲に亘って最終楽章とその前の楽章を続けることでした。
昨年もそうだったのかもしれませんが気付きませんでした。

今年良かったのは主催者の三枝先生のお話でした。
今年は、作曲家の生きた時代を経済的な視点で見ることでした。
バロックからモーツァルト時代は、教会や宮廷のお抱えサラリーマンとして生計を立てていたのがその後、経済が豊かになって、演奏と作曲で生計を立てるように変わります。
そして、いまは、学校教育の教授としてやはりサラリーマンとして生計を立てなければならない。

昨年は、日本が米食で西洋が小麦食という違いから切り込んでおられました。
米は安定して収穫できる→伝統を重んじる→伝統芸能を重んじる
小麦は同じようにしていたら収穫できなくなる→常に変えていく→変化をもとめる

ベートーヴェンは、カントが音楽を最も低い芸術として評価したのに反発して新しい発想を盛り込んだ最初の作曲家だったそうです。
そしてヘーゲルは、新しいものが入っていなければ芸術ではないといったそうです。

そしてベートーヴェンがその音楽を芸術に変えた先駆者であった、というのが去年のお話でした。

そして、それが、現在の作曲家に苦しみを与えているのだそうです。
西洋では、商業音楽(ポップス系を指しているのだと理解しました)と音楽藝術をはっきりと分けていて、商業音楽に手を付けると、音楽藝術の世界からは切られてしまうのだそうです。
そういう現在の元になったのが、カント、ヘーゲル、ベートーヴェン...
そして、それを受け継いだのが、シェーンベルク、ジョン・ケージとなるそうです。

古典的な音楽を引き継いでも芸術としては認めてもらえないので、何か新しいものを加える。
その結果、誰も喜んでくれない作品しか造れなくなったのだそうです。

クラシック音楽の現状をよく表している分析だと思いました。
クラシック音楽の中にも経済が必要なんです。
優れた才能の持ち主には、それなりのリターンが必要です。
現状では、いくら過ぎれていてもそれに合った報酬が準備されているわけではありません。
そういうことを昨年私も書いていました。

やはり、クラシック音楽で暮らしている人たちも、芸術だけでなく、経済に目を向けてこれからを変えていかないと今後も文化として継続していくことができないのだということなのでしょう。

三枝先生、素晴らしいお話を有難うございました。

三枝先生は、他にも今回はホルンの歴史とリストが編曲したベートーヴェンの交響曲ピアノ版を準備していました。
ピアノ編曲は難曲中の難曲で、ピアノ演奏は、横山幸雄さんでした。
事前の練習では弦を切ったりしてしまったそうです。
最終楽章のマーチの部分からで、途中かなり苦しそうなところもありましたが見事弾ききりました。
全曲の生演奏はきっと体力が続かないだろうと思います。
リストの編曲は連弾するもののようです。
昨日の大田糸音さんのツィートでは、横山幸雄先生とベートーヴェンの第5交響曲のピアノ編曲を連弾するそうです。

それと、突然戻りますが、ベートーヴェンの交響曲の演奏を聴いて見ていたら、東京音楽コンクールの覇者、関朋岳さんがいたような気がしました。
プログラムで確認すると、第二ヴァイオリンのセクションにほんとうにいらっしゃいました!
そうそうたるメンバーの中で、まだ東京音楽大学3年生。
素晴らしいですね。
また、今年は第一ヴァイオリンセクションで倉富亮太さんがいらっしゃいました。
こうして、コンクールで知った人が活躍する姿を見ると自分のことのように嬉しくなります。

今年は、発売当日に、座席をゲットしようと思います。
昨年は7月13日に発売だったので、今年はその少し前から注目しようと思います。
三枝先生と小林先生がお元気でないとできないイベントなので、今年の初詣のお願いはご両名の健康でした(自分のことは神様にお願いするのを忘れた)。
小林先生も三枝先生もますますご健康でご活躍されることをお祈りします。

by mcap-cr | 2020-01-02 08:59 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

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