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カテゴリ:音楽・コンクール( 92 )

同じ曲を違う演奏で聴き比べる

先日、タワレコの通販でベートーヴェンのピアノソナタ全集を3セット購入しました。
こういうものを聴き比べるのはなかなかの楽しみです。
今回購入したのは、バレンボイム、コヴァセヴィッチ、グードの3名の演奏ですが、その前に、グルダの全集も所有しているので、CDだけで豪華4セットになりました。
蒐集趣味という訳ではありませんが、手元にあるとなんとなく安心します。

これらのCDをCDプレーヤーでかけ替えるのは面倒ですが、頑張って内容を吸い出してしまったので、ラズパイ+Volumio2を使って聴いています。
Volumio2は、最初は戸惑いましたが、慣れてくると、いろいろなCDから部分的に選択して順に再生したりできるので、CDプレーヤーより便利です。
既に所蔵CDの半分以上の1000枚近くを吸い出したので、ライブラリとしては、そこそこあります。
これらのディスクを探すことなく聴くことができるので、慣れるとCDプレーヤーには戻れません。
CDプレーヤーの代りに使用している日立のDVDプレーヤーも古くなり、いつ故障してもおかしくないので、そろそろバックアップを買おうかと思いましたが、買う必要はないのかもしれません。

ピアノのソロの作品は、ショパンが断然人気だと思いますが、私はベートーベン派です。
最近になって、ようやくショパンにもシンパシーを感じられるようになりましたが、こうやってベートーヴェンをじっくりと聴いてみると、やっぱりベートーヴェンが好みに合っています。
今回は4人の演奏者の4つの録音を聴き比べられるので、曲のいろいろな側面が見えてくるし、新たな魅力も発見できました。
聴いてみて、いまのところいちばん好きなのは、コヴァセヴィッチの演奏です。
コヴァセヴィッチの全集CDは9枚組で2000円弱で購入できます。
超お買い得ですね。

テンポのとり方、強弱、間のとり方、流れ、演奏者それぞれがみな違っていて、どの演奏者のCDも素晴らしいと思います。
それでも聴いているその時点での好みがあるので、好みの演奏を中心に聴くことになります。
コヴァセヴィッチのCDは、録音の良さが際立っています。
グードの演奏も好きで、心にしみてきますが、周囲が静寂でないとその真価を聞き取りにくいのだと思います。

このところ生でピアノ演奏を聴く機会を増やしたので、ピアノの魅力がだんだん分かってきました。
思い返してみると、最初にオーディオに触れだしたころや、大学生の頃は、ピアノ曲も好んで聞いていました。
その頃は、生のピアノは、ツィマーマンの演奏会で聴いたくらいでしたが、いまのようにオーディオの経験がなかったので、生のピアノの音にはさほど注目していませんでした。

最近は、生のピアノの音の記憶が頭に残っているので、録音の違いがよく分かります。
コヴァセヴィッチの録音は、ピアノをガーンと叩いたときの筐体の響き、音が引いていく様子、録音した部屋の響きが特に良く分かります。
しかも、明瞭に録音されています。
グードの録音もいいですが、コヴァセヴィッチに比べると、録音の分かりやすさは弱いと思います。
バレンボイムやグルダの録音はちょっと古い感じで、悪いわけではありませんが、生音の記憶と比べるとちょっとかすんだ感じがあります。
それでありながら、スピーカーシステムの問題の発見には、バレンボイム版がいちばんでした。
音の美しさがすべてではないのだと思います。
演奏がそれぞれに魅力的だと、録音の差が大きな違いになるようです。
こういうのも、一度思い込むと、脳にそういう印象がインプットされてしまうので、周囲のノイズを遮断して響きの良い空間で聴かなければこの印象を変えられないだろうと思います。

以前にコメントを頂いていた、演奏や録音の違いさえもブラインドでは判別が怪しいという情報もあります。
事実、自分が聴いていても、見ないで当てられそうなのは、いちばんさっぱりしたグルダの演奏くらいかもしれません。
バレンボイムは、録音がちょっと古くさいのと、抑揚の付け方が激しいので、何となくわかるような気もします。
たぶん、集中して、同じか違うかだけ当てろと云われれば分かるでしょうが、それも、違いのポイントを事前に記憶できれば、ということなのかもしれません。

全部を徹底的に聴いてしまったら、別の演奏者のCDも購入したくなりました。
オーディオ装置を買うよりは、CDを買うほうが音楽業界に対して多少の貢献ができるので、CDに投資するほうがいいのですけどね。


by mcap-cr | 2019-05-24 06:26 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

有富さん、惜しかったらしい

最近は、演奏会情報をTwitterで集めるようにしています。
人や団体をフォローしているとtweetを読むことができるので、そこで情報が入ります。
とはいっても、ストーカーじゃないので、あまり個人的なつぶやきはパスしますが、ウィーンでのコンクールに関する有冨萌々子さんのツィートがあったので読むと、つい最近、コンクールの決勝で演奏したそうです。
残念ながら、入賞はならなかったということでした。
有冨さんは、私が注目しているヴィオラの名手です(記事)。
東京芸大を経て現在ウィーンに留学修行中で、まだまだ、コンクールにも挑戦することは伺っていました。
Ttitter情報によると、1か月くらい前に帰国していたようでした。
今回は、リサイタルがないなと思っていたら、ウィーンに帰って大変な挑戦をしていたのですね。
それではリサイタルもしていられないはずです。

こちらに、その記事がありました。

二次予選で15名に絞られ、そこを勝ち抜いたファイナリストの6名に名前を連ねています。
名前を見ると、全世界いろいろな地域の人が参加しているようで、出身地(国籍地?)と活動地(居住地)が書いてあります。
苗字と名前の表記順がバラバラだったりします。
同じ人でも姓名表記の順番が違うこともあります。
外国の人の名前はどっちが苗字だかわからないのでしょう。

そういうどうでもいいこととは関係なく、本場での真剣勝負で、有冨さんは、一位にはなれなかったのすが、ここを決勝まで勝ち残るということで、相当な実力を認められたといえそうです。
特に大きなコンクールでは、入賞者間の優劣は一般のファンには分かりません。
ショパンコンクールも、審査結果と聴衆の評価が全然合わないので、聴衆の抗議で特別聴衆賞が出来たりしたそうです(Wikipediaの記事→第3回)。

コンクールでは、実力伯仲の演奏者が集うので、こういう競争も時の運で、ひょっとしたら、審査員が筆をなめることもあるかもしれないし、場所を変えたら結果がひっくり返るなんていうこともありそうですが、入賞できなかった皆さんは、慢心せずに努力を続けよという神様の啓示をうける幸運に恵まれたのかもしれません。

次の帰国時には、リサイタル情報があることを期待します。


by mcap-cr | 2019-05-21 06:18 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

それまでの価値観の崩壊

オーディオ装置に対する私の伝統的価値観は、ここ何年かで既に崩壊状態という状況です。
音楽についても、演奏者の一般的な評判による価値感が完全崩壊に近付いています。

タワレコに発注していたベートーヴェンのピアノ・ソナタの全集3作品がセブンイレブンに到着予定との連絡を受けて、取りに行きました。

今回購入したのは下記の3つでした。

(1)タイトル:Beethoven: The Complete Piano Sonatas<初回生産完全限定盤>
アーティスト:リチャード・グード
(2)タイトル:Daniel Barenboim - Beethoven Recordings<限定盤>
アーティスト:ダニエル・バレンボイム
(3)タイトル:ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集、バガテル集<限定盤>
アーティスト:スティーヴン・コヴァセヴィッチ

バレンボイム版には、オペラ、交響曲や協奏曲を含む他のベートーヴェン作品も多数収録されている35枚セットです。
バレンボイムは、ピアニストですが指揮活動にも力を入れていたので、こういうセットを作ることが可能です。
指揮者や作曲家は、同時にピアノの名手であることも多いので、当然のことなのでしょう。
バレンボイムは、私が高校生の頃から盛んに雑誌などで取り上げられてきましたが、、レギュラー価格のレコードを買う余裕はなかったので、バレンボイム版はひとつも買うことがありませんでした。
CDセットの表紙を見ると、若い頃のハンサムなバレンボイムや円熟してまた格好良い紳士のバレンボイムの写真が出ています。
解説書は英語ですが、バレンボイムとベートーヴェン作品、というような簡単な解説だけです。
私が学生の頃には考えられなかった価格設定なのでこういうところはコストダウンのための省略なのでしょう。

グード版は、写真が全部同じで、解説書にはグードに関する説明もありません。

コヴァセヴィッチ版は、写真はいろいろありますが、解説書には、やはりコヴァセヴィッチの説明はありません。
コヴァセヴィッチの写真を見ると、全部違う人みたいな感じでどれがご本人の感じに近いのかよくわかりません。

それはどうでもいいのですが、最も聴きたかったのは、Sonata in C minor, Op.111です。
すぐに、この曲が収録されているGoodeのCDを吸い出してからUSBメモリーにコピーして聴きました。

なろほど...
心にしみるいい演奏です。
最初にこの演奏を聴いたら、Op.111はこういう曲だと思ったでしょう。

それから、購入した上記のCDを全部吸い出してからひとつずつ丹念に聴いてみました。
どの演奏もそれぞれ素晴らしい表現です。
確かに表現はどれも違いますが、Op.111を含め、違ってもある範囲に収まっているように感じます。

そもそもどうしてこの曲を聴きたくなったかというと、先日PTNAの特級入賞者コンサートで、上田実季さんの演奏を聴いたからです。
上田さんは、この曲を、モダンな節でジャズのように弾くところがありました。
それを聴いて、『この曲ってこういう曲だったのかな?』と思い、CDでグルダの演奏を聴き直してみても全然違います。
グルダの演奏は何度も聴きましたが、やっぱり全然違います。
それで、他の人はどう演奏しているのか気になってしょうがないので、今回、3作品も買ってしまった次第です。

グード以外にもコヴァセヴィッチとバレンボイムを買ったので以前から持っていたグルダを含めて聴き直してみると、皆それぞれに素晴らしい演奏です。

それでも上田さんの生演奏を思い出して比較するとモダンな感じはありません。
上田さんの演奏を聴いたとき、上田さんが凄い、というよりも、ベートーヴェンは、こんなにモダンな曲をつくっていたのだと感心し、『ベートーヴェンはやっぱり偉い』と思いました。
こうやって比較してみると、上田さんは、よく研究して新鮮な感覚で解釈して演奏しているのでしょう。
まだ新人の演奏で名曲を再認識することができました。

ここ何年かで、新人やこれからの人の演奏や歌唱を聴くことが多くなり、今まで自分の中に構築そてきた価値の概念が叩き潰されてきました。
上田さんのベートーヴェンを聴いてそれにトドメを刺されたような感じです。


by mcap-cr | 2019-05-20 06:57 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

TBSK Festival2019に行ってきた

コンサートに行くとその会場ごとにいろいろなコンサートのチラシをもらいます。
その中の1枚に、TBSK Festivalというのがありました。
詳しい説明はなかったのですが、2日間に分けていろいろな演奏をする無料のイベントでした。
どこかの団体が主催して何かのイベントとして実施するのかと思っていましたが、実際には、自主開催の発表会という感じでした。
TBSK管弦楽団というのは、2011年に結成したアマチュアオーケストラです。
大学のオーケストラサークル員や卒業者が中心のようです。
音楽大学のセミプロ級オーケストラとは違いますが、こういう活動で音楽のすそ野が広がるのだと思います。

私は、昨日の正午過ぎの公演に行きました。
場所は、勝どきのトリトンスクエアにある第一生命ホール。
イベント自体がどういうものかわからずにいたので、大きなホールを想像していましたが、小ぶりの良い感じのホールでした。
収容人員は767席。
ぱっと見た感じでは、東京文化会館の小ホールより座席がすくないかと思いましたが、2割増しくらいの収容人員でした。
新しく、オーケストラを配置するのに十分なステージがあり、また、快適な座席です。
どこに座っても音楽を良く聞けるでしょう。

室内楽の演奏が始まると、ちょっと揺らぎが多いかな、という印象でした。
プロじゃないので他の生活を犠牲にして練習時間を確保するのは難しいでしょう。
弦楽は、相当に練習を積まないとなかなかぴったりには合せられません。
その中で、コントラバスの奏者(宮本貴幸さん)が抜群に目立っていて、良い響きを聞かせていました。
コントラバスはボディが大きいですが、音の通りがいい音域の楽器ではないので、普通はそんなに旋律が聞こえることはありません。
それが、今回はコントラバスの旋律がはっきりと大きな音で聞こえました。
コントラバスを目立たせるためのコントラバス協奏曲であればそのように作られていますが、これほど目立つのは初めてです。
低音も深々となめらかな旋律は見事なものでした。
どうしてこんなにコントラバスの音が大きいのかと考えていたら、椅子などの配置換えの時間に理由が分かりました。
床の固有振動数が低音側に寄っていてしかも固有振動が大きいです。
固有振動がコントラバスに乗ってこの響きを作り出したのでしょう。
ステージの小さな東京文化会館小ホールではこういう床の音を感じることはありません。
第一生命ホールは、室内楽の演奏に最適な空間だろうと思います。

イベントは夜の部もありましたが、昼の部の前半で失礼しました。
管弦楽団の皆さん、これからもクラシック音楽のすそ野を広げてくださいね。


by mcap-cr | 2019-05-02 06:41 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

台湾フィルハーモニック東京公演

今日から令和元年ですね。
個人的には、皇紀2679年と表記する方式に戻すほうがいいのではないかと思います。
敗戦国日本は、戦後アメリカに支配されてしまった磁気があるので、西暦より長い歴史のある皇紀は気に入られなかったのでしょう。
本当は、個々の天皇だけでなく、その歴史に意味があるのですが、西暦より歴史があるのが災いしてしまいました。

昨日平成30年の最終日に、台湾フィルハーモニックの東京公演を聴きました。
西洋音楽は、イメージ的に北半球のそれも割と北側というイメージがあり、日本のオーケストラもかなり南側に位置するのではないかと思います。
台湾というと更に赤道寄りになり本場からはどんどん遠ざかってしまうイメージがあります。
そんないイメージは関係ないほど現在は航空機、記録物、インターネットなどで本場も本場でないところも繋がっているので、そろそろそういう偏見的イメージはなくすべきだと思っています。
西洋音楽が東洋にも受け入れられているというのが、人間の共通の間隔を証明しているだけで、文化だけでは計れないところなのでしょう。

演目は、
芥川也寸志:交響管弦楽のための音楽
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
(ヴァイオリン:リチャード・リン)
江文也:台湾舞曲Op.1
シベリウス:交響曲第2番ニ長調
指揮は、リュウ・シャオチャ(呂招嘉)
台湾フィルハーモニック(オーケストラという名称がついていない)

芥川也寸志の交響管弦楽のための音楽は、聴いたことのない曲でしたが、いわゆる現代音楽とはちょっと違う感じで、クラシック音楽からポピュラー音楽に移行するその中途にある感じの音楽でした。
台湾のオーケストラが日本公演で日本の作曲家の作品を演奏するというのは敬愛の証という意味でしょう。
こういう場に演奏して頂いた芥川也寸志は感謝感激でしょう。

次は、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲といえば、ベートーヴェン、ブラームスの作品と並び三大ヴァイオリン協奏曲などと呼ばれます。
実際の人気順だとよく分かりませんが、どうしてこの3曲が三大なのかと考えると、レコード販売の都合上そうしたのではないかと思います。
三大に、人気の高いチャイコフスキーの作品を入れると、メンデルスゾーン+チャイコフスキーでLPレコード1枚、それにあと1曲入れるとLP2枚で三大作品が全部揃ってしまうことになります。
もっと買わせようと思えばどうしても3枚必要な三大にしてしまえばいい、そういう考えがあって三大が決まったのではないかと思います。
私の好みで云えば、シューマンやパガニーニは外せないので、そうすると三大の枠には入りません。
ヴァイオリン協奏曲には、他にも素晴らしい作品がたくさんあるので、どれも素晴らしいよ、と云ったのではLPレコードの販売促進になりません。
三大を全部揃えると必然的にB面のチャイコフスキーを聴くことになり、『これだった他にも凄いのがあるんじゃないか?』と考えるでしょう。
そうするともっとたくさん買ってしまう...そういう販売促進効果を狙った三大なのだと思います。
が、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が名曲であることには強く同意します。
この曲は、高校生のときに、アイザック・スターンのヴァイオリン、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏をNHKホールで聴いたことがあります。
それと五島みどりのソロで、ピッツバーグ交響楽団(指揮者は失念。マゼールだったような気もしますが)の演奏をハインツホールで聴いたことがあります。
どちらも素晴らしい演奏でした。
今回の、リチャード・リンはどうでしょう。
割と速いテンポでさっぱりと演奏していきます。
そんなに音を響かせるタイプではなく、三階席で聴いていても高音が勝っている感じです。
演奏テクニックはそれほどでもなく、ちょっとミスったかもと思わせるところも感じました。
女房曰く、『最近は上手な演奏をずっと聴いてるからちょっと...』という感想でした。
上手な演奏というのは何かと思ったら、東京音楽コンクールやその優勝者演奏会のことを指していました。
確かに、最近は、もう既に、コンクール出場者が巧すぎて、こういうソロ活動を行っている人も比較されてしまいます。
それが、すぐに伝わってしまうので、すでに実績を上げている演奏者はやりにくい時代になったのだろうと思います。
アンコールでバッハの無伴奏作品を演奏してくれました(作品名は本人が日本語で云ってくれたのですが聞き取れませんでした)。
これもサラッと弾く感じで、ねちねちと本質をえぐりだそうとする演奏ではありませんでした。

休憩を挟んで、江文也の台湾舞曲は、中国らしいいい曲でした。

シベリウスの交響曲第2番は、指揮者のリュウ・シャオチャ(呂招嘉)の得意な曲だったように思います。
シベリウスは、一部のフレーズで、直感的に聴衆を乗せるタイプではなく、前置き長くウネウネと説明を繰り返して最後に盛り上げるという曲が多いと思います。
このシベリウスの演奏は、そういう私のシベリウス観をそのまま感じさせてくれました。
途中も飽きさせることがなく最後の盛り上げ方も素晴らしかったです。
アンコールもありがとうございました。

リュウ・シャオチャ(呂招嘉)のやり方で、気に入ったのは引き上げ方です。
いつも、演奏会のあとは、どこで拍手をやめていいかなかなかタイミングがつかめませんが、最後は、オーケストラに指示を出して一緒に引き揚げていきました。
これだったら、オーケストラも早く引き揚げられるし聴衆も席を立つタイミングが明確です。

平成最後の日には、交響楽を堪能することができました。

蛇足ながら当日の会場(東京文化会館)のことをちょっと書きます。
チケットの売上は、あまり芳しいとは云えず、上階は空席が目立っていました。
空席の部分は空席が続き、売れている部分は固まっているという分布になっていました。
これは、主催者が観察して反省しなければならないことでしょう。
おそらく、席の格付けが悪く、価格の変わるゾーンは、チケットの安い方に集中し、割高と思える席は売れないということだと思います。
私の席は、3階中央の3列目右寄りでした。
ここでもA席でしたが、中央の中央セクション3列目は、全部空席でした。
ひょっとしたらそこがS席だったのでしょう。
私がチケットを購入したときは、空席状況を見ながらその中で選んでいますが、中央の中央三列目は売っていませんでした。
まさか、売り場によって売る席変えてないよね?
原始時代じゃあるまいし。
いずれにしても、これは販売方法の問題でしょう。
もっと知恵を使わないと売上は伸びていきません。
せっかく商品があっても販売の能力が低いのでは売れませんよ。




by mcap-cr | 2019-05-01 08:32 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

2018年ピティナ・ピアノコンペティション特級入賞者コンサート

昨日夕刻に、昨年のピティナ・ピアノコンペティション特級入賞者コンサートを聴きました。
場所はカワイ表参道コンサートサロン パウゼというホールです。

ピティナ・ピアノコンペティションは、カワイがピアノ演奏の指導者を育てるために開催しているコンクールです。
毎年サントリーホールで決勝が開催されています。
昨年の結果は、
グランプリ 角野勇斗さん
銀賞 上田実季さん
銅賞及び聴衆賞 古海行子さん
入賞 武岡早紀さん
でした。
この模様は、Youtubeで視聴することができます(記事)。

昨日は、古海さんが何らかの理由で演奏を辞退されたようで残念でしたが他3名を聴くことができました。
このチケットをどうして買ったかと云うと、上田実季さんの演奏を聴きたかったからです。
上田さんの演奏を聴くのは3回目です(1回目記事2回目記事)。
どちらも上田さんの演奏の素晴らしさがよく分かりました。

今回は、最前列のピアノから約3mの席で聴きました。
会場はあまり広くはなく天井も高くはない構造です。
座席は都度配置するようなので収容人数は変わりそうですが最大で100名をちょっと超える位でしょうか。

最初は、武岡早紀さんです。
シューベルトのピアノソナタ第21番変ロ長調D960
私は初めて聴く曲でした。
強いタッチでダイナミックに弾きます。
ピアノのコンディションがイマイチだったらしいのと天井が低かったので武岡さんの強いタッチで、どこかしこかビビリ音が聞こえてしまうのと、ご本人もピアノのコンディションに問題を感じていたような気もしました。
私の席では直接音がほとんどで、いままで聴いてきたピアノの音とは大分違って聞こえました。
高域が耳に突き刺さる感じなのは席が近すぎるのとホールのサイズに対してピアノが大きすぎるせいなのかもしれません。
カワイのピアノはコンサートなどでは初めて聴くので楽しみにしていましたが、条件が違いすぎてスタインウェイとは比較できませんでした。
武岡さんは東京藝大の修士課程在学中とのことで、先日聴いた同声会の新人の皆さんと同期のようです。
たまたま優秀な方が多いのかいつものことなのか分かりませんが、こうやって実績を上げているのは素晴らしいと思います。

10分間の休憩の間に少し調律作業がありました。

次は、上田実季さんです。
曲目は変更があって、ベートーヴェンのピアノソナタ第32番ハ短調Op.111です。
上田さんはこの会場の特性をよくご存知なのか、耳にキンキン来ないようしかも適度にダイナミックに弾きます。
ベートーヴェンのピアノソナタは私もときどきCDで聴きますが、CDはフリードリッヒ・グルダの演奏しか持っていないので、それと比較すると、叙情的な感じです。
音はピアノが変わったかと思うくらい耳に優しくなりました。
最後の楽章は、上田さんの演奏で聴くとクラシック音楽らしくない楽しそうな節があって、とても心地よく感じました。
40年位前の『コンペティション』というコンクールを題材にした映画で主人公の二人が恋仲になって楽しさいっぱいに連弾する場面がありますが、上田さんの演奏を聴いてそういう感じを思い出しました。
ベートーヴェンはこんなにモダンな曲を作曲していたのでした。
これがベートーヴェンマジックなのだろうと思いました。
帰ってからCDでグルダの演奏を聴くと全然違う感じで、やっぱり上田さんの演奏は素晴らしかったんだなと思いました。

休憩の間にまたピアノを調整していました。

最後は、角野勇斗さんです。
曲目は、
ショパンのバラード第2番ヘ長調Op.38
ラフマニノフのヴォカリーズOp.34-14(コチシュ編曲)
リストのメフィストワルツ第1番『村の居酒屋での踊り』S.514
でした。
最後にアンコールでリストの『ラ・カンパネッラ』を弾いてくれました。
角野さんは、流石に上手という感じの演奏でコンペティションに勝っただけのことがあると思います。
反面、音楽を楽しむ能力は上田さんにはちょっと及ばないのかなと感じました。
演奏者自身が楽しむほうが聴いている方はもっと楽しいと思います。
角野さんは、東大の大学院に在学中とのことで、藝術以外の才能も大きい方のようです。
でも、藝術を主として活動して欲しいなと思いました。

演奏終了後は、ロビーで演奏者の皆さんがファンの方をお出迎えでいい雰囲気でした。
私は、こういう芸術家の方々とは住む世界が違う野暮なオッサンなので声を掛ける行為は遠慮しましたが、直接話せば自分には得るものがあるのだろうと思います。
残念ながらそういう会話をしても私が何かヒントを差し上げられるとも思わないので、時間の無駄をさせないよう声を掛けるのを遠慮している訳でもあります。

皆さん、今後の益々のご活躍を期待しています。


by mcap-cr | 2019-04-26 07:00 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

ワシリー・シナイスキー指揮新日本フィル

昨日は、すみだトリフォニーホールで新日本フィルの定期演奏会を聴きました。
指揮は、ワシリー・シナイスキー
曲目は、
(1)ドボルジャーク チェロ協奏曲
チェロ:宮田大
(2)グラズノフ 交響曲第5番

以前にも書きましたが、どうしてこの演奏会のチケットを買ったかというと、ワシリー・シナイスキーを聞きたかったからです。
シナイスキーは、1973年のカラヤン国際指揮者コンクールで金メダルを受賞。
その後、NHK FMで、ベートーヴェンの交響曲第1番が放送されました。
それがコンクールの演奏だったのかその後のものか覚えていませんが、カセットテープに録音して何度も聴きました。
それで、ベートーヴェンの1番が好きになったのと共に、シナイスキーの名前を覚えました。
その後の活躍は知りませんでしたが、順調に指揮者生活を続けてきたようで、とうとう日本でも聞けました。
プログラムには、新日本フィルとの共演(ジェイド公演)については書かれていましたが、来日実績について書いてなかったのでこれが最初かもしれません。とは思いましたが、調べてみるとジェイド公演って日本国内の公演だったようです。

まず、最初はドボルザークのチェロ協奏曲。
名曲です。
宮田大さんは、コンクールで連戦連勝だったそうでロストロポーヴィッチのコンクールでも優勝しているそうです。
最初にチェロを聴いて思ったのは、『しまった。席が遠すぎた...』ということです。
席が遠すぎてチェロの倍音域のいいところが減衰してしまっています。
節約のためにいちばん安い席を買ったのが失敗だったかも...
ひょっとしたら倍音域の弱い楽器を使っていたのかもしれません。
1710年製のM.ゴフリラーという楽器だそうです。
先日、有富萌々子さんのヴィオラを聴いたときは、時代の違う2種類の楽器を弾き分けてくれたので、違いがよく分かりました。
私には20世紀の楽器のほうが高音域が美しく18世紀のものよりもずっと良い音に聞こえました(記事)。
ひょっとしたらそんな違いもあって、席が遠いという悪条件が重なってしまったのかと、そんなことかもしれません。
アンコールでは、カタルーニャ民謡の鳥の歌という曲を聞かせてくれました。
演奏のほうは、コンクールでかじりついて聴いたときほどはよくわかりませんでした。
もっと多くを聞かなければならないということでしょう。

後半は、グラズノフの交響曲第5番。
グラズノフは名前だけ知っているのに近い作曲家です。
多分若い頃にFMで放送したものを何回か聴いたと思いますが、はっきりとした記憶はありません。
曲そのものは、わりといい感じです。
前日に聴いた藝大フィルハーモニア管弦楽団の新人演奏会のプロコフィエフが、印象に強く残っているので、比較すると普通にいい曲だと思いました(昨日の記事)。
新日本フィルは、さすがに上手いです。
前日に聴いた藝大フィルハーモニアも上手でしたが、新日本フィルのほうがリハーサル時間が長いのではないかと思います。
弦の動きが見事に揃っていました。
弦の動きが多少ばらつくとそれはそれでいい感じの揺らぎが生まれますが、きっちりと揃っているほうが私は好きです。
グラズノフもいい感じの指揮です。
実は、席が遠くて、オーケストラの前のほうがあまり見えませんでした。
たまたま、通路を挟んだ前の席には人がいなかったのでちょっとだけ見えました。
多分通路の前側はグレードの高い席なので、後ろの方は売れなかったのでしょう。
でも新日本フィルがしっかりした実力派オーケストラであることと、シナイスキーが優れた指揮者であることは再確認できました。

当日は、シナイスキーの誕生日だったそうで、演奏会が終わってから、Happy Birthdayを演奏してくれました。
得した気分です。

前日に藝大フィルハーモニア管弦楽団を聴いたとき指揮していたのは、山下一史さんで、ニコライ・マルコ国政指揮者コンクールに優勝し、カラヤンのアシスタントを務めていた方でした。
シナイスキーさんは、カラヤン・コンクールで優勝したということで、偶然こういう2人の指揮を2日連続で聴いたことになります。
どちらも私の好きなタイプでした。

気付いたのは、オーケストラの人員に、エキストラが12名いたことです。
エキストラの演奏者は、むしろ念入りに調整し、とても非常勤には見えませんでした。
ティンパニーの奏者(久一さん)もエキストラでしたが、休憩中にずっと調整していました。
演奏者のこういう気持ちが集まっていい演奏ができるのでしょう。

最近は、無料とかチケットの安い演奏会に行くことが多いですが、こういうしっかりしたプロの演奏会も自分には必要なのだとよく分かりました。


by mcap-cr | 2019-04-21 06:28 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

藝大フィルハーモニア管弦楽団定期 - 新卒業生紹介演奏会

昨日は夜の時間がとれたので、奏楽堂まで、藝大フィルハーモニア管弦楽団の新卒業生紹介演奏会に行ってきました。
当日券は、通常の場所では購入できず、奏楽堂の特設当日券売り場に並びました。
最近3回目の奏楽堂での演奏会です。
1回目は現代音楽(記事)、2回目は同声会新人演奏会(記事)、今回は、新人演奏会とは別のものです。
途中休憩が2回あり、普通の演奏会の1.5回分、カラヤンの演奏会に換算すれば2回分のヴォリウムです。
何時に終わるのか...

藝大フィルハーモニア管弦楽団は、アマチュアではなくプロの楽団だそうです。
指揮者は、山下一史さん。
山下さんは、桐朋学園大学を卒業後、ベルリン芸術大学に留学し、1986年ニコライ・マルコ国際指揮者コンクールに優勝、その後、カラヤンが亡くなるまでアシスタントを務めていたそうです。
『おらが街のオーケストラ』を育てることに尽力している方です。

最初が、新人作曲家の作品です。
小野田健太さんの作曲は、現代音楽ですが、わりと音楽っぽいほうで、夏のキラキラ感を音楽にしたようです。
こういう音楽割と好きなので、CDも出してほしいです。

次は、神成大輝さんが指揮者で、シベリウスの交響曲第7番です。
タクトが見事で、オーケストラに的確に指示を出していきます。
新人とは思えません。
藝大フィルハーモニア管弦楽団も上手いです。
コンクールの伴奏で手抜きしたどこかのオーケストラとは大違いです。
奏楽堂の音響も良いせいか、オーケストラの音も抜群です。
シベリウスをシベリウスらしく聞かせてくれました。

休憩後、山田涼子さんのオーボエで、マルティヌーのオーボエと小オーケストラのための協奏曲です。
オーボエも良ければオーケストラもいいです。
曲も好きです。今度CDを買おうと思います(こうやってCDが増えていく...)。

次は、京増修史さんのピアノでプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番です。
京増さんは、前回の新人演奏会に引き続き2度目です。
プロコフィエフの第3番...
演奏も完璧なら曲も完璧です。
この曲は、私が学生の頃に『コンペティション』という映画で、主人公がコンクールで弾いた曲です。
映画では、モーツァルトを弾く予定だったのが、ピアノの不調で中断、急遽プロコフィエフの3番に切り替えて大成功を収めました。
今回、この演奏を聴いていて、その映画でどうしてこの曲を選んだのかが分かりました。
この曲は、流れるリズムで演奏されていきますが、その途中で、予定外の流れの変更を許しません。
すべてが作曲家が決めた流れに沿っていて、足すことも引くこともできません。
他の曲だったら、『もうちょっと...でもいいかも...』と思う部分もありますが、この曲は、この通りでなければ駄目です。
一切の改良の余地がなく、少しも取り去ることができないし、何かを加えることもできません。
ピアノとオーケストラは完全に一体化され、完全に溶け合っています。
ピアノの旋律の中で音が厚くなったと思うと大太鼓やコントラバスが加わっていたり、全ては、プロコフィエフの意図通りに動いていきます。
もちろんこれは、京増さんの演奏と山下さん指揮の藝大フィルハーモニア管弦楽団の音楽が完全に一致していないと成り立ちません。
本当に唖然としました。
素晴らしい!素晴らしい!本当に素晴らしい!

休憩後、大竹悠生さんのソプラノで、ヴェルディの歌劇『エルナーニ』から、『エルナーニ!私を連れ去って』です。
大竹さんは、同声会の新人演奏会には、体調不良のため欠場でしたが、良くなったようです。
よく通る美しい声で見事です。
声を張る部分に対して抑える部分に工夫すれば更に良くなると思います。

最後は、栗原壱成さんのヴァイオリンで、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。
先日の同声会に出場した高木凛々子さんが、東京音楽コンクールで弾いたのと同じ曲です。
さすが藝大は層が厚いです。
栗原さんのチャイコフスキーは、曲を俯瞰して演奏している感じです。
チャイコフスキーに入り込むのではなく、ちょっと間をとっている感じ。
なめらかというよりは、早い演奏で音を切りながらどんどん攻めてきます。
こういう演奏もあるんだ、という感じです。
コンクールでこれをやるには勇気が必要な感じです。
指揮者の山下さんは、独奏者が弾きたいように合わせています。
完璧な指揮という感じ。
オーケストラも見事です。
最後に登場したこともあって、大喝采で終了でした。

今日いちばん驚いたのはプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番でした。
京増さんの冷静でクールなスタイルとオーケストラが見事に融合。
私にさえも曲の完璧さが伝わるとは思いませんでした。
私的には今日のMVPでした。

そういえば、今日は、新日本フィルの定期演奏会の切符を買っていました。
昨日の驚きで忘れるところでした。

by mcap-cr | 2019-04-20 07:09 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

東京藝大・同声会新人演奏会

東京藝術大学では、同声会という制度があり、受賞制度があるのだそうです。
そして、昨日は受賞者の新人演奏会が東京藝術大学の奏楽堂で行われました。
旧東京音楽学校の奏楽堂というのが近くにあり紛らわしいのですが、藝大構内の奏楽堂は、収容人員1,100名の立派なホールです。
しかも、名のある大聖堂にあるような立派なパイプオルガンが設置されています。
演奏会は二部構成で、13時からが第一部、18時からが第二部です。
標準的なオペラ作品を2曲聴くぐらいの時間がかかりました。

第一部

佐藤初音さん(オルガン)
パイプオルガンの演奏は、荘厳な感じがあり、私には、演奏の良し悪しというのはあまりピンときません。
ヴィドールという作曲家について、まったく予備知識がなく、わからない曲だったのが自分の勉強不足だと思いました。
パイプオルガンは、オーディオ的には超低音の音源として興味のあるものです。
低音に集中して聴いていましたが、三十数ヘルツよりも低い周波数だと、もうどれくらいの周波数か、どうれくらいの音圧なのかも分からないだろうと思いました。
三十数ヘルツは、オーディオで聴いていてもよくわかるし、体や脳に対するインパクトが大きいですが、たぶんそれより低いと、ホールで聴いていてもよくわからないのだろうと思います。

上田実季さん(ピアノ)
ブラームスの『4つの小品』から3曲を演奏しました。
自分のイメージに違わない丁寧な演奏で、音をひとつずつ大切に、作品に敬意を払って奏でるということを、特に意識して研鑽されているのだろうと思います。すばらしい。
上田さんの演奏は、PTNAの入賞者演奏会でも聴く予定なので、とても楽しみにしています。

川崎愼耶さん(ピアノ)
矢代秋雄のピアノ・ソナタです。
まさに現代音楽という感じですが、先日このホールで聴いた現代音楽(記事)のような、不思議な感じではなく、CDがあれば買いたいと思いました。
強奏から静寂まで巧みに弾き分け、強いインパクトで、作品の狙いをえぐり出すようでした。
見事というしかありません。素晴らしい演奏でした。
しかしながら、途中で弦が切れてしまっていたたそうです。
そういえば、最初の方にあれ?と思う部分がありましたが、そこだったのかどうかは分かりません。
ピアノ線は鋼なので、疲労で切れます。
おそらく、亀裂が成長してきていて、ちょうど切れる頃だったのでしょう。
弦が1本なくなっても、素人にはよくわからない作品だったのが幸いでした。
予定外の修理による休憩となりました。

地咲由里さん(ピアノ)
ラヴェルの作品です。
ラヴェルが目指したであろう、音と光と色とすべてが印象的に表現されていました。

京増修史さん(ピアノ)
第一部でただひとりの男性です。
ショパンを、感情で突っ走るような感じではなく、淡々としかも叙情的に奏でていきます。
ここまでで4人目のピアノですが、皆さんそれぞれに音楽性の違いがあって、意図があって演奏曲目を選んでいるのでしょう。
京増さんのピアノは、原曲への忠実さを意識して演奏しているのではないかと思いました。

間世田采伽さん(ピアノ)
はじめて聴きましたが、ハチャトリアンのピアノ・ソナタは、現代音楽的な感じなのですね。
ババジャニアンの作品も含めて、素人の知らない世界を奏でてくれました。

北川千紗さん
北川さんは、2012年に東京文化会館少ホールで行われた、ガダニーニ・コンクールという楽器の会社のイベントで初めて聴いてショックを与えてくれた人です。
当時15歳、ふつうの中学生という感じでしたが、演奏は、キリッと引き締まり、はじめて聴いた当時、こういう演奏家がいることにショックを受けました。
そのときには、すでに、演奏家として完成しているという印象を持っていました。
今回は、どうか。
北川さんは、自分の演奏に酔って満足してしまうことはなく、常に前進を続けるタイプのようです。
曲と作曲者に敬意を払い、表現を研究し、地道に積み重ねていく努力家なのだろうと思いました。
過度に演出すること無く、姿勢良く、さらっと、力強く、情緒を込めて演奏します。
15歳のときは、これ以上の完成はないだろうと思っていましたが、更にずっと進化していました。
演奏家の鏡のようなタイプなのだろうと思います。
演奏が見事なだけでなく、演奏家として見事だと思いました。

高木凛々子さん
高木さんは、東京音楽コンクールは制することができませんでしたが、ハンガリーでソロを演奏するなど、あちことで活躍中で。演奏家として絶頂期にあるのだと思います。
自信がみなぎっていました。
その裏に、ちょっと危険な香りが...

堀真亜菜さん
バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番です。
ヴァイオリンの音を深く奏でますが、まだ弓のストロークには余裕があります。
素人の私には、少し個性的な演奏なのかと思いました。
カザルスが、軽んじられていたバッハの練習曲をひたすら弾き続け、とうとう曲そのものの地位を最高位まで引き上げてしまったという逸話を思い出しました。
堀さんの奏でるバッハは、本当に見事、高音の輝きから深々とした音まで、バッハが意図したであろうことを研究してえぐり出すようでした。
見事でした。

弓場友美子さん
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第3番を演奏しました。
藝大の同声会で受賞された方は皆さん見事な演奏だと思いました。
バッハ、ベートーヴェンと続き、小難しく曲と向き合うのから、少し解放してくれて気持ちが和みました。

安保有乃さん
ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第4番です。
弓場さんに引き続き、しんみりと、気持ちを和ませてくれました。
こういう曲が、私の音楽を聴く趣味としては、ベースになっていることがよく分かりました。
心地よいひとときを有難うございました。


第2部

三井千絵さん(長唄)
私は日本人でありながら、邦楽は、積極的に聴くことがなく、貴重な経験でした。
長唄は、西洋的な曲や歌唱方法とは違い、直接的に感情に訴えるのではなく、聞き手の感情を通して訴えるような表現なのだと思いました。
徐々に声量も上がってきました。
伴奏の三味線の音は、遠く離れていても高音がバチバチと攻めてきて心地よいひとときでした。

町田夢子さん(箏曲生田流)
楽器の『コト』といえば、琴だと思っていましたが、箏もことなのですね。
伴奏に三絃という楽器がありますが、三味線とは名称が違うので別な楽器なのでしょうか?
途中から歌唱が入りました。
町田さん本人が歌っているようにも見えましたが、よくわかりませんでした。
自分にはちょっとむずかしい曲でした。

河合雪子さん(フルート)
ニールセンのフルート協奏曲ですが、オーケストラではなくピアノの伴奏です。
考えてみれば、練習のときにオーケストラが付き合うのは大変なので、練習用のピアノ伴奏には楽譜があるのでしょう。
ピアノの伴奏だと、ソナタのようかと思いきや、協奏曲は、ピアノとフルートの掛け合いになり、その微妙な距離感を演出してくれます。
ソナタだピアノとの関係が同時進行のことが多い印象がありますが、協奏曲だと、それぞれが微妙に距離をとったハーモニーになるのだとこのとき初めて感じました。
河合さんのフルートは、心地よく、とてもいい印象でした。

三界達義さん(クラリネット)
シューマンの幻想小曲集です。
音が伸びてなめらかです。叙情表現も素晴らしいです。

吉本拓さん(クラリネット)
ライネッケのソナタ『ウンディーネ』は、聴いたことのある曲でした。
体を揺らしながら伸びやかに演奏します。
ピアノとの掛け合いが見事です。

米本紋子さん(トランペット)
ネルーダのトランペット協奏曲です。
ネルーダのことは知りませんでしたがいい曲だったのですね。
トランペットも伸びやかでとてもいいです。
昨年の東京音楽コンクールのときは、金管の皆さんとても苦労していましたが、それは審査員が難しい曲を強いただけなのかな?
米本さんは、リラックスしていた感じでとても素晴らしい演奏でした。

安久津理子さん(テナートロンボーン)
トロンボーンにも種類があったのですね。
WWEでウッズが吹いている(似つかわしくない比較ですが)のと比べて割と長く見えました。
小さい音から大きいおとまで表現の幅が広いし、体も揺らしながらいい感じです。

足立歌音さん(ソプラノ)
深々として声で伸びやかです。
メゾでもいけるのではないかと思いました。
素晴らしいです。

五十嵐彩香さん(メゾソプラノ)
よく通る響き渡る声で、破綻がありません。
声の伸びも見事です。

西田幸里海さん(ソプラノ)
マイアベーアの『私につきまとう軽やかな影』は難しそうな歌でした。
西田さんは無理に声を出さず、丁寧に歌い上げます。
伸びた声も特に高音が美しいです。

森實あかりさん(ソプラノ)
コスプレのような金や銀のようにきれいに染めた髪で登場し驚きました。
出で立ちとは対照的に中田喜直を日本語で歌ったのはまた見事でした。
メゾのような深々として声で、声量も十分でした。
美しい声で、喝采も多かったのは、素晴らしさの現れでしょう。

渡邊美沙季さん(ソプラノ)
ロッシーニが見事です。
ああ、これがロッシーニの声だ!
もっと体力を付けると更に素晴らしいでしょう。

佐藤克彦さん(バリトン)
よく響き渡る声で、ステージの左右で声が反響するのが見えるようです。
これがオペラ全曲に亘って続けば本当に最高の歌手になれるでしょう。
最後は、緊張からか、ピアノを無視してスタスタと歩いていってしまったのが残念でした。

鳥尾匠海さん(バリトン)
ヴェルディの始まりがちょっと弱い感じがしました。
後半のトスティでは調子が上がりました。
終了時に"Bravo!"の声が聞こえたときあまりにも美声だったので本人が言ったのかと思ってしまいました。
そんなわけないですよね。
その声がとてもいい声だと他の方も思ったようで、その方向を向いている人もいました。

中尾奎五さん(バリトン)
ずっと仁王立ちでフィガロを歌います。
仁王立ちではありますが、肩に力が入っているという感じではなく、これもいいですね。

牧山亮さん(バス)、平塚太一さん(ピアノ)
深い声がよく通ります。
とても心地よい。
最後は、牧山さんと平塚さんが握手、抱擁してたたえたり、和ませてくれました。

今回は、大学が、優秀な卒業生にプロモーションをプレゼントするための企画なのでしょう。
皆さん本当に素晴らしい演奏・歌唱でした。
プログラムとして全体が構成されている訳ではないので、名演奏家、名歌手のパフォーマンスではありながら、都度空気が変わってしまうという結果として面白い演出でした。
とにかく長いので、全部聴いた人は多くなかったかもしれません。
本人は出番以外はないので、自分の番が終了した後は、リラックスして聴いていたのかもしれません。

これから演奏を職業としていく皆さん、ぜひともこの世界で大成して続けていければいいなと思います。

奏楽堂は素晴らしいホールですが長時間座るにはシートが硬いのが気になりました。
次回は、飛行機の座面に置くクッションを持っていこうと思います。


by mcap-cr | 2019-04-14 08:59 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

またチケットを買ってしまった

昨日は、アンドレ・プレヴィンの生誕90年の日だったそうです。
90歳を目前に亡くなってしまったのですね。
アンドレ・プレヴィンの指揮は一度だけ聴いたことがあります。
1993年くらいのことだったと思います。
ピッツバーグ交響楽団の前音楽監督だったプレヴィンの客演での演奏でした。
それまでピッツバーグ交響楽団の演奏はいまいちシャキッとしない印象だったのがそこから変わりました。
指揮者が良ければオーケストラは真価を発揮するのだと、このとき初めて実感しました。

話は現在に戻ります。
コンサートやリサイタルなどの公演にいくと、公演のチラシを大量にもらいます。
私の場合、中心になるのは東京文化会館の公演ですが、その公演に行くと、他のホールの公演のチラシももらいます。
そういうチラシを眺めながら、ついつい別なホールの公演も聴きたくなって買ってしまいました。

購入したのは、まず、4月14日(日)の、アマデウス・ソサイエティー管弦楽団の定期演奏会です。
オーチャードホールでワレフスカさんのリサイタルを聴いたときにもらったチラシに入っていたのだと思います。
曲目は、レスピーギの『ローマの噴水』、ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調、サン=サーンスの交響曲第3番です。
どうしてこのチラシが入っていたかというと、ラヴェルのピアノ協奏曲を演奏するピアニストが、ワレフスカさんの伴奏を務めた、福原彰美さんだからだと思います。
福原さんのピアノは、リサイタルのときは聴きにくかった印象でした。
チェロを殺さないように抑えていたのだと思います。
今度は、オーケストラとの共演なので、しっかり聞こえるでしょう。
場所も、音響的にはベストと思う東京芸術劇場です。
それと楽しみなのは、サン=サーンスのオルガンです。
なかなか生で聴く機会はありません。

次は、4月20日(土)の新日本フィルの定期演奏会です。
曲目は、ドヴォルジャークのチェロ協奏曲とグラズノフの交響曲第5番です。
どうしてこの演奏会を聴きたくなったかというと、指揮者が、ワシリー・シナイスキーだからです。
シナイスキーは、1973年にカラヤン・コンクールで金メダルを受賞したということで、中学生のときに、FMで放送されたベートーヴェンの交響曲第1番を録音して何度も聴きました。
シナイスキーが良かったという訳ではなく、レコードも高価で買えない時代だったので、カセットテープに録音した音楽ソースが貴重でした。
その後、シナイスキーの活躍は知りませんでしたが、チラシで久しぶりにその名前を見て懐かしくなったので、つい買ってしまいました。
すみだトリフォニーホールというこれも音響の良い広すぎない会場です。
いちばん安い席が買えましたが、それでも4000円しました。

それと、まだ買っていませんが、4月13日(土)の東京藝術大学奏楽堂での、藝大同声会新人演奏会にも行こうと思います。
昼から晩までの長い公演ですが、ちょっと聞きたい演奏家が出演するので楽しみにしています。

このところ、オーディオには、さっぱり投資していませんが、生演奏を聴く機会が多くなりました。
音響にしても、緊張感にしても、生の演奏はオーディオでは代わりにならないものです。
これからもなるべく演奏会に行こうと思います。


by mcap-cr | 2019-04-07 07:07 | 音楽・コンクール | Trackback | Comments(0)

音楽は生演奏が最高ですが、レコード音楽は、工学オーディオによってリーゾナブルなコストで楽しみましょう。


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