ローマの松
昨日は、東京春音楽祭で、春祭オーケストラの演奏、リッカルド・ムーティ指揮の演奏会を楽しみました。
オペラの間奏曲や序曲が中心でしたが、後半の最後には、レスピーギ作曲の『ローマの松』を聴くことができました。
『ローマの松』は、私が最も若い頃に生で聴いた曲のひとつです。
高校生のときに、セルジュ・チェリビダッケ指揮の読売日本交響楽団の演奏で聴きました。
しかも会場は、今回と同じく東京文化会館でした。
その時は、もっとも安い席で、舞台に向かって右側袖の3階奥のほうで、オーケストラも部分的には見えない位置でした。
チェリビダッケは、録音嫌い、カラヤン嫌い、という触れ込みで当時のFM雑誌に掲載されていたので、頑張ってチケットを東京まで買いに行きました。
当時の記事によると、カラヤン指揮のベルリン・フィル定期演奏会の日程に合わせて、チェリビダッケがベルリン放送交響楽団の指揮をして、ベルリン・フィルのほうをガラガラの入りにさせたそうです。
幻の名指揮者、という触れ込みで、インタビュー記事も載っていました。
録音では音楽の本質を再現できない、録音技術が進んで、ますます悪くなった、という意見でした。
当時はよく分かりませんでしたが、今だとチェリビダッケはオーディオマニアなのだったろうと思います。
確かに当時の録音は、マイクを無数に立てていろいろな音を同時に収録してミキシングで2チャンネルにするものが中心でした。
こうした録音は、一聴鮮明っぽく感じますが、不自然で、音楽の本質が聞こえにくい感じがします。
それ以前の録音では、そういう感じではありませんでした。
チェリビダッケは、音場を再現できない録音には懐疑的だったのでしょう。
話が外れましたが、『ローマの松』に戻ります。
そのときの演奏では、音楽そのものは、音が会場中を飛び交い、更に大音響、耳をつんざくオーケストラの迫力が凄い、という印象でした。
(チェリビダッケの凄さは同日に演奏された『トリスタンととイゾルデ』の『前奏曲と愛の死』で十分に感じました。)
さて今回は、本当に何十年ぶり(45年くらい?)でした。
演奏が始まると、オーケストラのいろいろなところで、強烈な高音が飛び交います。
本当に音の饗宴。
木管楽器が難しそうです(演奏を失敗したという意味ではありません)。
金管もバンバン飛んでくる。
大太鼓もズンズンブルブル、ドラが鳴り響く。
あちこちで微妙に趣向が違うようなそれでいて溶け合うような難しい曲です。
音楽を知る人ならこうしたレスピーギのテクニックが分かるのでしょう。
そして、最後はやはり大音響、大迫力で完了。
今回は前回と違って中央セクション、前の方の席だったので、音量は前よりも大きく感じたはずですが、さすがに大昔の記憶との比較は難しい。
東京文化会館にはオルガンがないので、電気オルガンで代替していましたが、よく聞こえませんでした(参考記事)。
しかし演奏は、流石にムーティの指揮、春祭オーケストラも抜群に巧い。
見事でした。
ローマの松は、オーディオマニアの究極の再生目標になる曲でしょう。
こういう曲を最初の頃に聴いたので、ずっと大音量再生を目指していましたが、結局は自分の稼ぎが足りないので豪邸住まいができず、今に至っています。
しかし、こういう例外的な大音響の曲以外は、生演奏でもそれほどのの音圧ではないので、99.9999%の曲は、今のチープなシステムでも十分です。
今回のムーティはこれで最後です。
次はいつ聴けるのだろうか?
#
by mcap-cr
| 2025-04-13 07:05
| 音楽・コンクール
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価格
今週はちょっとジャングルに行っていました。
それも終わったのでちょっとほっとしています。
今日午後は、東京春音楽祭でのムーティ指揮の公演を聞きにいきます。
それと、音楽関連では、先日売り出したウィーン国立歌劇場日本公演の2公演分を2名分買ってしまいました。
いつも買っている中央セクションは売っていませんでした。
そこでそれがない場合に買っている左端の席を購入。
通常はA席なのですが、これがS席。
全部で30万円を超えました。
コストで考えればこれでも興行は赤字なのですが、ちょっと財布に厳しい価格です。
ということで、値段について考えていました。
音楽の公演の場合、価値の評価は極めて主観的、相対的で、絶対的な価格体系はありません。
売れればどんどん高くなり売れなければ下がるが売れなくても価格を下げないものもある。
だから自分が満足するものが自分にとって最高ということになります。
コスパで考えれば、最高に感動するものが安ければそれがコスパ最高ということになります。
さて自分の場合はどうなのか。
今までに高価な公演はそれなりにたくさん聴きました。
で、自分の記憶に一番深く刻まれた感動の公演は、下記でした。
コスパ最高!と喜ぶべきか?いや、そうではありません。
本当に価値のあるものが、評価されていない、という悲しみもあります。
音楽のコンサートは、本当に価格がわからない。
ワインは値段と品質が一致しないとおっしゃっていたソムリエさんのことを思い出しました。
オーディオ趣味も価格と品質の関係がめちゃめちゃな分野でしょう。
ジャンク価格のスピーカーユニット、メーカー品のスピーカーユニット、フランジの品質意外は全然価値に釣り合わないというのも珍しくありません。
あっ、フランジも価格に釣り合わないメーカーがあったっけ。
趣味だから品質ジャンクで高価格もありか。
でも自分はそうならないように気をつけよう。
#
by mcap-cr
| 2025-04-12 09:31
| 音楽・コンクール
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ライブ録音用
オーディオ趣味歴の長い自分でも、実験すれば発見することはそれなりにあります。
メカニカルマトリックス(MMX)、差信号空間合成型マトリックス(SFMX)という実験機を聴くと、録音によりパフォーマンスが素晴らしかったり、モノラルと大差なかったりします。
結局、MMXやSFMXは、クラシック音楽のライブ録音には適切で、ミキシングして仕上げた録音には不適切なシステムであるというのが結論でした。
ミキシングして仕上げた録音には、市販・大型のマルチウェイのほうが良いのでしょう。
こう考えると、万能のスピーカーシステムの方式というのは難しそうで、だからこそオーディオ趣味にもいろいろな宗派があるのでしょう。
お知らせ
ある方のお取り計らいで、4月29日の午後に、ちょっと広めの防音室をお借りできることになりました。
そこで、MMX/SFMXのシステムを鳴らしてみたいので、興味ある方は匿名コメントやメールなどでご連絡ください。
メールアドレスは、下記にあります。
#
by mcap-cr
| 2025-04-07 06:21
| オーディオ一般
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今年も桜を見てきました
先週は、ちょっとジャングルに詰めていました。
どこのジャングルかは書けないのですが。
そんな中、今年も桜の季節になりました。
この週末が最後のチャンスだと思い、昨日は、半蔵門から武道館、千鳥ヶ淵、靖国神社というルートで花見に行きました。
その後少し足を伸ばして隅田川にも行きました。
千鳥ヶ淵も20年前はもっと見事だったのですが、その後枝を切ってちょっと寂しくなりました。
今年は特に外国からの観光客が多くて大賑わいでした。
個人的には、隅田川沿いの桜が好きです。
特に好きなのは散り際です。
今年は墨田区側には渡らずに台東区側からだけを見ました。
今年は、カモメが多かったので、カモメを一枚。
明日と明後日は東京タワー近くのオフィスですが来週のその後はまたジャングルです。
東京タワーの桜も美しいので少しは見てこようと思います。
#
by mcap-cr
| 2025-04-06 15:19
| その他
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東京春音楽祭 パルシファルを聴きました
昨日は、東京春音楽祭の公演で、ワーグナーの『パルシファル』(演奏会形式)を聴きました。
指揮はマレク・ヤノフスキーでした。
ヤノフスキーは昨年も聞きましたが、今年も凄かった。
演奏者は指揮者を正面から見ていますが、客席からは、指揮者の背中を見ています。
それだけで、指揮者の精神が見えるような感じです。
私の席は、ステージに向かって左側の隅の席ですが、ステージは良く見えました。
長い作品でしたが、ヤノフスキーの堂々とした姿を見ていました。
ヤノフスキーは、それほどポピュラーな指揮者なのかは分かりませんが、間違いなく一流の大指揮者だろうと思います。
姿だけでカリスマ性を感じてしまいました。
聴いた席は時々聴いているセクションでしたが、昨日は、やけにいい音に聞こえました。
弦楽器はよく混ざり合って豊かな響きに聞こえるし、ティンパニーは、低音側に拡張したような響きが聞こえました。
管楽器も豊かで見事。
少し驚いたのは、低音が左から聞こえることでした。
コントラバスはステージに向かって左側の私の席からは遠くにあったのですが、なぜか自分の側の左側から聞こえてくる。
何故だろうと思ってみていたら、ステージそのものがホーンのように見えました。
ホーン効果かな?
来年は、東京文化会館は大規模改善で閉館になります。
東京春音楽祭はどうなるのでしょうか?
今年いっぱいは、文化会館で聴けるものは聞いておかないと。
#
by mcap-cr
| 2025-03-31 20:14
| 音楽・コンクール
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